漢方解説

実母散、命の母、中将湯の違いは?

「昔、お母さんが飲んでいたかも」そんな印象があるのが「実母散・命の母・中将湯」といった処方です。月経不順や更年期など、酷い症状では無いけれどもちょっと気になる、そんなときに近隣の薬局で勧められたような婦人薬です。

効能効果の違い

違いを見てみましょう。効能効果を一覧にしてみました。

昔からある処方なので、同じ処方名でもメーカーにより若干の差がある場合も。

処方名効能効果
日野実母散
日野薬品工業
産前産後,血の道,月経不順,頭痛,ヒステリー,引風によし
命の母
小林製薬
生理不順、生理異常、生理痛、貧血、便秘、にきび、肌あれ、ヒステリー、帯下、産前産後、血の道症、更年期障害、更年期神経症、めまい、耳鳴り、のぼせ、動悸、下腹腰痛、血圧異常、冷え症、肩こり、頭痛、頭重
中将湯
ツムラ
産前産後の障害(貧血,疲労倦怠,めまい,むくみ),血の道症,更年期障害,不安神経症,月経不順,月経痛,頭痛,肩こり,腹痛,腰痛,冷え症,のぼせ,めまい,耳鳴り,不眠症,息切れ,動悸,むくみ,感冒

血の道症・月経不順はどの処方にもありますね。血の道症については「更年期・プレ更年期」の症状と考えると分かり易いです。

目眩・耳鳴り・のぼせなども書かれています。単体の症状に対して使っても正直効きませんが、更年期から起こる目眩、更年期から起こる耳鳴り、すべて自律神経から起こる症状についてなら効果があります。

女性ホルモンのバランスが変動することで見られるさまざまな女性特有のトラブルを昔から漢方では「血の道症(ちのみちしょう)」と呼んで重要視してきました。(中略)血の道症の症状は、不安感やイライラなどの精神神経症状や、のぼせ、頭痛、めまい、疲労感、月経異常などの身体症状など多岐に渡ります。(中略)「血の道症」の原因は漢方では、「気」と「血」が深く関わっていると考えています。

クラシエ漢方 血の道症とは?

他に気になる効能効果。引風によし=風邪に効く・感冒という言葉があります。言葉からは「風邪薬!」と思ってしまいますが、、、。残念ながら、ごくごくごく初期の風邪、「葛湯」「卵酒」そんなぐらいの効果。コレを飲んでおけば、体が温まって風邪を引きにくくなるかな、ぐらいの考え方がいいです。

生薬の違い(成分の違い)

成分を一覧にしてみましょう。骨格の似ている「女神散」を基準として例にしています。女神散は女性のイライラ、更年期に使う処方です。

製品名成分
日野実母散当帰・川芎芍薬・サフラン・牡丹皮人参紅花甘草・桂皮・香附子茯苓木香・蒼朮・縮砂・丁子・陳皮
女神散当帰・川芎・人参・甘草・桂皮・香附子・木香・蒼朮・丁子黄芩・黄連・檳榔子
命の母当帰・川芎芍薬人参紅花桂皮・香附子茯苓蒼朮大黄・鹿の子草・呉茱萸・半夏・チアミン塩化物塩酸塩・リボフラビン・ピリドキシン塩酸塩・シアノコバラミン・パントテン酸カルシウム・葉酸・タウリン・トコフェロールコハク散エステル・リン酸水素カルシウム水和物・ビオチン・大豆レシチン
中将湯当帰・川芎芍薬・牡丹皮人参・甘草・桂皮・香附子・蒼朮・丁子黄連茯苓・トウヒ・地黄・桃仁・生姜
女神散の骨格:赤、活血の生薬:黄色、清熱の生薬:青

生薬がこれだけ連なると訳がわかんないですよね(^-^;;;; 

よくみると「当帰・川芎・香附子」が入っています。この3つは血の道症に使う、女性の自律神経のバランスを整える生薬で、メインになります。少しずつ違いはありますが、どれも同じような方向性と考えられます。

あと目につくといえば、「命の母」は生薬にちょびっとビタミンを加えています。なんとなく、昔の「アリナミンA!」の時代を思い出します(^-^;;;;

女神散についてはこちらから↓↓↓↓

まとめ:どれを飲んだらいいの?

結局、どれがいちばん効くの?!

軽いお悩みに使うならどれを使っても構いません。振り出しが使えるか、錠剤がいいか、そんな服用方法の違いでお話しすることもあります。ただ、どの処方もメンソレータムみたいな万能処方です。症状が出ている、症状が強い、そんなときに使うには・・・ちょっと心細いです。

症状を改善させたい場合は、別の処方も選択に。

症状が強い場合は・・・

私が問診をしていて症状が強いな・・・と思う血の道症、例えば月経不順によくお勧めする処方として「婦宝当帰膠」があります。補血の処方として優秀で、上記でお話しした「当帰の量」で比較してみましょう。

日野実母散1貼12g中 当帰1g
命の母12錠中 当帰300mg
中将湯1袋12.5g中 当帰2g
婦宝当帰膠1日8ml中 トウキ5.52g

婦宝当帰膠は当帰がしっかりと入っている処方(当帰養血膏)です。他の疎肝薬(加味逍遙散など)を併用する場合もありますが、単体でも使える処方です。婦宝当帰膠についてはこちら↓↓↓↓

  • この記事を書いた人

ゆうき先生(福田優基 薬剤師[pharmacist]/国際中医師)

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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