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小建中湯のポイントを解説!注意点や早く治るためのコツも紹介

小建中湯といえば「子供の処方」で有名です。虚弱体質の子供を強くするようなイメージで使われる場合が多いのですが、、、、じつは大人にも使える処方です。

小建中湯の効能効果

まず効能効果を見てみましょう。

体力虚弱で、疲労しやすく腹痛があり、血色がすぐれず、ときに動悸、手足のほてり、冷え、ねあせ、鼻血、頻尿および多尿などを伴うものの次の諸症:小児虚弱体質、疲労倦怠、慢性胃腸炎、腹痛、神経質、小児夜尿症、夜泣き

なんとなく虚弱な子供・・・に使うと言うことはわかるのですが「具体的に?」といわれると分かり難いのが小建中湯。効能効果を見て、鼻血やあつがりの寝汗や動悸で小建中湯を飲んでも効きません。

小建中湯の処方構成

小建中湯は処方構成を見ていくと分かり易いです。

桂枝・生姜・大棗・芍薬・甘草・膠飴

桂枝加芍薬湯に膠飴を足したのが、小建中湯の処方構成です。桂枝加芍薬湯は「痙攣・引きつり・痛み」などに使われる処方で、そこに「建中(お腹を元気にする)」の「膠飴」を足しています。

小建中湯:参考/図解漢方処方のトリセツ・中薬方剤マニュアル

小建中湯が改善したい病気の原因は「脾胃の冷え」です。冷えが脾を虐めて色々な症状が出てくるのですが、まずはこの「冷え」と「脾の機能低下」を何とかしようということで、小建中湯は使われます。

図の右側を見てください。下痢・腹痛なら早く治りますよ。ただその左側の「気・血・水の生産不足」。結構時間かかります。「工場の生産活動」ってボタン一つですぐにガチャンガチャンと動き出す、ことはないです。材料を選別して機械を掃除して細かい整備をして、、、やっと製品ができあがります。同じように、この気血水の生産をするには時間がかかる、長期的な処方になっています。

これだけだったら改善も遅いかも。そんなときには小建中湯に四物湯を足したり当帰芍薬散を足したりして対応しています。

こんな症状に

お勧めなのが下記の症状です。

下痢・便秘

冷えや虚寒で起こる子供の下痢には便利です。時々お腹が緩いというタイプや、冷えたら下痢を起こす、逆に便秘の時もある、こんな脾胃の動き・脾胃の調整が取れていないタイプには小建中湯がお勧めです。食べたらすぐにトイレに行くけど大丈夫かな?とか、腸が元々家系的に弱いんだしとか。食べても食べても太らないぞ、とか。そんなタイプです。

ただ、熱性、急性の下痢・感染性の下痢でしたら正露丸などの止瀉薬や、漢方の場合でしたら葛根黄連黄芩湯に五行草茶などなどを加えたりします。

大人の便秘にも

大人の便秘にも使うことがあります。下剤を使うとすぐにお腹が痛くなる、腸が動いていない、強い処方は使えないタイプですね。そんな「虚証の便秘」にはいいかもしれません。穏やかな小建中湯辺りでお勧めします。

朝の腹痛・頭痛

学校に行く前になったら腹痛を起こす、頭痛を起こす。ストレスからの登校拒否だけでもないんです。朝に胃腸が動いていなくて、、、起きてバタバタ・・・!!!急にご飯を食べたり水を飲んで胃腸が動き出すと痛みが出ます。こんなときも小建中湯ですね、胃腸を優しく動かしてくれます。意外と早いんですよ。効果も。

「小建中湯はストレス・過敏性腸症候群に効果がありますか?」という質問を頂きますが・・・。小建中湯だけでは難しいかも知れませんね。別の処方と併せて使う可能性が高いです。

メーカーの違いが大きい

メーカーに用法用量の差が激しいのが小建中湯です。有名メーカーのコタローもツムラを見ると、桂枝加芍薬湯に純粋に膠飴を加えています。この膠飴に差があります。

膠飴がポイント

膠飴は”もちごめ・うるち米・小麦粉”に麦芽を加えて練った飴糖(麦芽糖)で、水飴の原料です。ショ糖が主成分の砂糖とは兄弟の関係です。

膠飴は腸内細菌の餌になって、腸内環境を調整します。ビオフェルミン+食物繊維みたいなイメージでしょうか。昔はこれだけでも腸内環境が整ったのでしょうが、現代ではコンビニ食・スナック・加工食品・酒タバコにストレスと腸内環境を悪化する原因はたくさんあります。小建中湯を服用するときは、食事の改善・生活習慣の改善はかならず行いましょう。

コタロー小建中湯エキス細粒(医療用)

1包あたり3gのコタロー(医療用)は、じつは大人の用量は1回3包です(1日27g/大人)。子どもの場合だとちょうど1回1包、15歳や体格がしっかりとしていたら1回1包半でもいいぐらいです。

膠飴が1日27g(大人量)中で20gと7割強を占めていて、甘みがあり子どもが飲みやすいというメリットがあります。ただし、大人には「1回3包です」と説明するとちょっと厳しい視線を浴びてしまいます。大人に服用してもらうときは、桂枝加芍薬湯1包+小建中湯半包ぐらいにするといいでしょう。

その他、ツムラ・一元(錠剤)の比較

ツムラ小建中湯エキス顆粒(医療用) 

1包あたり2.5gのツムラ(医療用)は大人の用量が1回2包です(1日15g/大人)。膠飴が15g中で10gと6割強を占めています。ただ、コタローよりも甘さを感じないんですよね・・・どうしてだろう。コタローは細粒なのですが、ツムラはツブツブの塊が大きめ。製法も少し違います。

コタローもツムラも、添付文書を見ると「小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]」と書かれています。ドラッグストアでは小児の処方として売り出しているのにね、不思議です(^-^;;;

ツムラ漢方小建中湯エキス顆粒

ドラッグストアで販売されているツムラ漢方小建中湯エキス顆粒(99番・一般用)は、用法用量が15歳までに限定されています。7才以上15才未満で1日2回、1回1.875g(1日3.75g)と、大人の用量のちょうど1/4になっています。大人で1/2、一般販売用で1/2で合計1/4。となると1日分の膠飴が2.5g(子供量)、つまり1包で1.25gしかありません。その他の生薬はさておいて膠飴に関しては少ないですね。麦芽糖を使った飴を足してあげたい気分です。

錠剤小建中湯(一元)

錠剤の小建中湯は(探せる範囲で)一元のみになっています(一般用)。昔は、別メーカーからもチュアブルタイプが発売されていたりとバリエーション豊かでしたが、いつの間にか、減っていました。これも膠飴の含有量が少ないんです。

用量を見ると1日3回、1回4~8粒(1日最大24粒)です。子ども用量はだいたいその半分が目安です。100粒中に水飴が13gで1日分の膠飴が3.17g。子供として計算すると1日1.585g。上記のツムラ漢方小建中湯エキス顆粒よりもさらに少ないのです。粒にしないといけないので、どうしても膠飴の量が制限されるのはわかりますが・・・。ここにも麦芽糖を使った飴を足してあげたい気分です。

錠剤小建中湯(一元)は桂皮末・芍薬末などの使用量を他メーカーと比較すると少ないように感じますが、これは粉末の生薬を使っているからです。単純に量では比較できません。

飲み合わせ

小建中湯は穏やかな処方なので、長期服用も特に問題はありません。ただ、麦芽糖を含んでいますので、糖尿病の治療中(糖尿病の一部の内服薬)は注意が必要で、桂枝加芍薬湯に変更することもあります。

小建中湯と大建中湯の違い

小建中湯と大建中湯。力が強いので大建中湯>小建中湯なのですが、成り立ちの基本骨格は全く違います。小建中湯は桂枝湯からの派生、大建中湯は附子理中湯からの派生と考えられます。

また、小建中湯は散寒剤、大建中湯は温裏剤と別のジャンルと考えます。

小建中湯は、その源を桂枝湯に発している。桂枝湯から、芍薬を増やしたものが桂枝加芍薬湯。病位が太陽病から太陰病になり「腹満し時に痛むもの」となる。芍薬・甘草が引きつり痛む異常な腹直筋の緊張を緩め、腹痛を治す。桂枝・芍薬は腹中を温める。
裏証がさらに深くなると腹満がひどくなる。その場合は、甘味の膠飴を加えた小建中湯になる。小建中湯の大棗・膠飴・甘草・芍薬は陰虚証の腹痛や急迫した腹痛・緊張を改善する、血行を良くして腹痛を改善する作用がある。

症例・口コミ

症例:腹痛・疲労倦怠感

6歳、男子。新小学1年生。朝に学校に行く前に腹痛、学校自体は好きだが、帰ってからすごく疲れている。ご飯はたくさん食べる。便通はやや軟便か下痢気味のことが多い。冷たい物が好き。やや偏食気味。(後略)

最初はお母さんの体調の相談だったのですが、息子さんも気になるということで一緒にお話ししました。学校は好きらしいのですが、小建中湯+麦味参顆粒を服用してもらっています。

症例:子どもの「おねしょ」

11歳、男子。おねしょ(夜尿症)での相談。1週間辺り3回程度のおねしょ。おねしょをしても起きず、母親が気がついて処理をしている。整体や病院に行って相談したが改善しなかった。朝起きて頭重・頭痛有り。立ち眩みも起こしやすい。やせ気味で食は細い。兄弟で空手をしていて、体力はついてきた気がする。夏のクーラーには弱く、すぐにお腹を壊す。便秘よりも下痢が多いタイプ。後略)

母親やご家族が気になって・・・の「おねしょ」の相談は意外と多いです。ホルモンや膀胱に問題があるのはごく一部で、あとは「成長するにつれて治るでしょう」と経過観察のパターン。実際そうなんですが、やはり親としては気になります。

この子の場合は、冷たい物が好きでお腹が冷えやすい。腹部緊張感有り(腹直筋が張っている)。典型的な脾胃を虐めすぎて虚寒になっているタイプです。小建中湯と別の処方を組み合わせて服用してもらうと、だんだんと回数も減ってきました。小建中湯ってすぐに効果が出る処方ではありません。もうほんと毎日コツコツなんですよ。あと、生活習慣の改善。これも大切です。口を酸っぱくして、冷たいモノばっかり取るなと、繰り返します・・・。

  • この記事を書いた人

ゆうき先生(福田優基 薬剤師[pharmacist]/国際中医師)

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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