安中散(あんちゅうさん)はこんな処方です

スナックのママさんが、開店と同時に駆け込んできました。

[st-kaiwa5]胃腸がチクチクして仕事にならんのよ[/st-kaiwa5]

[st-kaiwa1 r]いつからですか?[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa5]三ヶ月ほど前からかなー[/st-kaiwa5]

『病院に行って無いんですか?』とお話ししていましたら、「色々と貰ってるんだけど、効かないのよ」と手に持ったバックから色々な処方が出てきます

ドラッグストアで購入したガスター10、胃腸を改善すると言うことで勧められた健康食品のスピルリナ、病院で処方されたタケプロンに、遠くの病院で処方してもらった漢方処方「六君子湯・○○散」・・・他にもポロポロと出てきます。

『どんなん服用しても治らんのよ』と言いつつ胃の上の部分を指さします・・・。

カクテルや水割りを飲む機会の多いBarやスナックのご相談はまず「胃の冷え・水の滞り」が多いです。胃が冷えて縮こまって動きが鈍くなる、水は排出できずに翌朝には足が浮腫んだり身体が重くなったり。

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Barに行ってマスターが昆布茶飲んでたらサマになりません。お客さんから奢ってもらったカクテルも飲むわけですから。毎日毎日胃腸に氷水を掛けているようなものです。だんだんと冷えてしまって動かなくなります。胃腸が荒れているわけではありませんよ、動きが鈍くなっているんです

男性は余り感じないようですが、女性の場合、足の浮腫、手の浮腫みを感じる方は多いです。昼過ぎになると治ってくる浮腫。これ、意外と治ると喜ばれます。

この方の場合ですが今回は「脾胃を暖め、水をさばく」、そんなことを目標に「安中散と茯苓末・乾姜末」をお勧めさせていただきました。お酒を湿邪と考えて平胃散もいいです。

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安中散という処方

安中散は有名な処方です。胃痛の処方ともいわれているのですが、漢方の考えからいうと「胃腸の冷え」をラクにする処方です。「寒は痛を主(つかさど)り、寒は凝滞を主る」といいます。冷えが強くなると痛みもでます。この痛みは胃酸過多ではありませんので制酸剤の「ガスター10」で治りません。

安中散:
体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐などを伴うものの次の諸症:神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱(クラシエ)
処方構成:桂皮・延胡索・牡蛎・茴香・甘草・縮砂・良姜

桂皮・茴香といった生薬が胃腸の血流を改善して、脾胃の緊張を治めます。熱いお湯に溶かして服用してくださいねー、とお話ししておきました。

服用して2日ぐらい経って・・・

開店直後にまた来局いただきました。「アレ効いたわ、ありがとな」 お菓子を頂きました(^-^;;;;

安中散は頓服でもいいのですが、脾胃が冷える(冷えるような仕事をしている)タイプでしたら継続的に服用したほうが良い処方です。三週間ぐらい継続して服用していただいて、その後は頓服での服用をお勧めしました。金額的にはだいたい三週間分で7000円~8000円ぐらいになります。もう少し早く来たらよかったねぇ(^-^;;; 」と笑われていました。胃腸の処方は色々とありますが、漢方は特徴が有る処方が多いため、適切に使ってもらえれば、すごく良く効きます。今はクーラーで腰が冷えるといって婦宝当帰膠を愛用されています。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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