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「持病の癪」の原因は胆石や○○?!

東海道を西へ西へと歩く道すがら。前を歩く旅装束の女性が急に足を止めて、うずくまります。『もし、どうされました』「持病の癪が・・・」とこんな時代劇のワンシーンですが。この「癪(しゃく)」って一体なにでしょうか。

病気の名前のように思いますが、実際は胸から腹部の激痛をすべて「癪」と表現していたようです。そうですよね、昔はレントゲンやエコーなんてありませんでした。なかでも「胆石が多かったのでは?」ともいわれています。漢方的な腹部の激痛対策をご紹介します。

腸炎、胆嚢炎、胆石などの炎症性の腹痛

胆石は普段は無症状で胆のうの中で大きくなります。何かのきっかけで胆管に詰まってしまうと?!苦しい苦しい胆石の疝痛発作(せんつうほっさ)の始まりです。うずくまって苦悶の表情を浮かべ、しばらく耐えていると急に治まります。友達も胆石を持っていたのですが、発作が起こると床に転がってのたうち回っていたことがあります。

漢方では大柴胡湯の加減方(大柴胡湯去大黄)もしくは竜胆瀉肝湯を使っていました。今は、潤勝散という処方があります。潤勝散は胆石を流すとともに芍薬などの作用で痛みで固まった筋肉の緊張を緩めてくれます。

鑑別

疝痛発作には色々と種類がありますが胆石や腸閉塞が多いです。胆石による急性胆嚢炎を診断する方法のひとつにマーフィー兆候(MurphySign)があります。痛む右の肋骨辺りを押さえて深呼吸をすると「痛みのために」息が吸えなくなります。腸閉塞(イレウス)の場合は腸がねじれて内容物が詰まった状態、いわゆる「ホースがねじれて水が出ない」状態です。間欠性の痛みがあり、嘔吐も起こります。自然に治らないので病院を受診しましょう。

胃炎や十二指腸潰瘍なら、食事後の時間経過で痛みが変化します。病院に早めに行った方が良いのは虫垂炎。最初はみぞおち付近に痛みを自覚して、徐々に右下腹部に痛みが移動します。

コワイ病気ばかりではありません。それ以外の場合も、もちろんあります。急に痛みが出たときにびっくりして病院に駆け込み・・・「なにも問題ありませんよ?」と言われることもあります。この場合、寒冷性の腹痛も考えてみましょう。

冷え、顔色不良、食欲不振、眩暈、浮腫などの寒冷性の腹痛

冷えからきた腹痛もあります。すごく痛むわけでは無いが、シクシクと痛い。温めたり押さえると、なんとなく楽になる。こんなときは、五積散(ごしゃくさん)という漢方処方をお勧めすることがあります。

五積散は非常に複雑な処方ですが「散寒・化湿・利水・理気・止痛」の効果を持つ応用範囲の広い処方です。寒さによる症状のだいたいに効果があります。腹痛だけなく、慢性の腰痛に使ったりもします。名前からして「気の積(気の滞り)・寒の積(寒邪の攻撃・冷え)・食の積(食べ過ぎ・消化不良)・血の積(血行循環不良)・痰(水分代謝不良)の積」の五つの積に効果のある処方です。

五積散01

五積散の効能効果:体力中等度又はやや虚弱で、冷えがあるものの次の諸症:胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒
成人1日の服用量3包(1包1.5g)中五積散エキス・・・2,400mg
〔ソウジュツ2.0g、チンピ・ブクリョウ・ハンゲ・トウキ各1.0g、コウボク・シャクヤク・センキュウ・ビャクシ・キキョウ・ケイヒ・マオウ・タイソウ・カンゾウ・コウブシ・キコク各0.5g、ショウキョウ0.625gより抽出。〕
添加物として、ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖を含有する。五積散エキス顆粒「クラシエ」

ただ、エキス剤の場合。色々な生薬が含まれている代わりに一つ一つの量が少ないので効果が薄い場合があります。その場合は別の処方にしたり加えたりを検討しましょう。

慢性的な腹部の冷えを改善するためには人参湯や附子人参湯を。関節の冷えが強ければ独歩顆粒、桂枝加附子湯を。利水を中心に考えるなら真武湯、桂枝加朮附湯、苓姜朮甘湯などを加味します。血流によって起こる冷えには当帰四逆加呉茱萸生姜湯もいいです。消化器の冷え、例えば冷たいビールなどで胃腸の冷えがあれば安中散もいいかなと思います。漢方には状況により色々な処方があります。

五積散(脾胃の症状への場合)、
慢性胃炎・胃潰瘍:嘔吐の止らないときに用いる。他の薬で嘔吐の止らぬものに用いる。
下痢・腹痛に用いる:お腹が冷えて下痢するものに平胃散合芍薬甘草湯の方意がある。
胃酸過多・胃十二指腸潰瘍:普段は食欲のある過酸症の胃炎や胃十二指腸潰瘍には黄連解毒湯を少量加えて用いる。
参考:山本巌先生に学ぶ病態と薬物の対応44の鉄則

 

その他、精神的な差し込み、腹痛

大人数の前で発表する場合、緊張をして腹部に何かが差し込まれるような、嫌な痛みを感じたことはありませんか?山本先生は漢方での「疝痛」に「陣痛のように波の如く痛む痙攣性疼痛」と記載しています。ストレスから起きた腹痛を改善する処方としては四逆散+桂枝加芍薬湯、加味逍遥散、柴胡疎肝湯などを使います。子供の場合は小建中湯などを加えてもいいかもしれません。過敏性腸症候群についてはこちらに記載しています。ご相談ください。

参考:山本厳の漢方医学と構造主義 病名漢方治療の実際 板東正造先生

  • この記事を書いた人
福田優基

ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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