生薬の石膏

ギプス、はご存じだと思いますが、あの骨折の時に使うアレですね。アレは正式な名称を石膏といい、漢方の生薬としても使います。石膏ですが、正確には、硬石膏・軟石膏があります。

まず軟石膏。

これを加熱すると半水石膏に変化します。サラサラの粉末です。骨折したときには、これを適当に成形して。水を加えて固めると軟石膏に戻ります。これがギプスです。骨を折ったときにお世話になったかたもおられるのではないでしょうか。

すごく硬いのに整形しやすく、人体に悪影響がない。すごく便利な生薬です。 硬石膏はCaSO4、軟石膏CaSO4・2H2Oという二水和物です。漢方で石膏の生薬といえば上記の「軟石膏」になります。

こんな石膏ではありますが、実際は水に対して溶けない生薬で、100gの水に対してたった0.21gしか溶けません。一回の煎じ薬あたり10~20gを使いますので、ほぼ9割は活用されていない、という悲しい生薬でもあります。

中成薬での石膏

石膏の性質として、新一般用方剤と医療用方剤の精解及び日中同名方剤の相違(愛新覚羅啓天先生 P215)によれば、「石膏は白虎とも、、清熱瀉火薬で、性味が辛、甘、大寒であり、肺、胃の経脈に入る。清熱瀉火と除煩止渇の作用がある。石膏は脾胃虚寒と陰虚内熱の病気には用いない。常用薬量は湯剤が15~60gで外用量が適量である。」

とのことで、

実際の実験でも、「口渇を起こさせたラットに対して石膏を用いると、水を飲む量を少なくさせた」という実験もあります。

日本でよく使われる石膏を含む主な漢方薬は、

白虎湯、白虎加人参湯、白虎加桂枝湯、麻杏甘石湯、木防已湯、五虎湯、大青竜湯、竹葉石膏湯、小柴胡湯加桔梗石膏、厚朴麻黄湯、小青竜湯合麻杏甘石湯、越婢湯、越婢加朮湯、越婢加半夏湯、柴葛解肌湯、続命湯、駆風解毒湯、辛夷清肺湯、釣藤散、小青龍加石膏湯、消風散、洗肝明目湯、防風通聖散、麻黄升麻湯

などがあります。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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