漢方解説

星火亀鹿仙と亀鹿霊仙廣の違い

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漢方の補陽の処方といえば動物生薬をつかった海馬補腎丸を筆頭に色々な処方がありますが、滋陰の処方といえば地黄丸類しか無くて正直なところ処方に困る場合が多かったです。瓊玉膏がありましたが・・・廃盤になってしまうし(泣)

近年、亀の動物生薬をつかった滋陰の処方が複数発売されて「便利になったなー」と思っておりました。

亀鹿仙と亀鹿霊仙廣の違いって何ですか?

という質問があったので簡単に解説します。

亀鹿仙・亀鹿霊仙廣

星火亀鹿仙も亀鹿霊仙廣も「亀甲・鹿角」を使った滋陰の処方です。原典になる亀鹿二仙膠と併せて、さらっと紹介します。腎陰や滋陰ってなに?という方は下記のページを見てくださいね。一言で言えば「蝋燭の蝋」のようなものです。燃料であり、潤すものであり、物質であり、栄養であります。

補腎(ほじん)ってどういう意味?

漢方薬局で相談をすると出てくる「腎」という単語。 薬局の先生方はあまりに説明をしすぎて、当たり前のように使ってしまいます ...

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原点の亀鹿二仙膠とは?

亀鹿二仙膠は原点となった処方ですが、こちらの解説は中国のサイトから引用してみました。漢字圏は便利です。言葉がわからなくてもある程度の意味はなんとなーくわかります。

龟鹿二仙胶,中医方剂名。为补益剂,具有滋阴填精,益气壮阳之功效。主治真元虚损,精血不足证。腰膝酸软,形体消瘦,两目昏花,发脱齿摇,阳痿遗精,久不孕育。临床常用于治疗治疗内分泌障碍引起的发育不良、重症贫血、神经衰弱以及性功能减退等疾病属真元不足,阴阳两虚证者。
鹿角、龟版、人参、枸杞子 baidu

腰膝の辛さ・体の消耗・目や歯・遺精・不妊症などに精血を補い滋陰する効果、、、すべてが改善する!というものでもないのですが、書かれていることは「陰(特に根本的な部分の精も)を補う」ということです。

処方は「鹿角、龟版、人参、枸杞子」ですから亀鹿霊仙廣のほうが出典に近い処方構成です。

成分は?

亀の甲羅

星火亀鹿仙と亀鹿霊仙廣とで表記は違いますが、亀板(中薬:龟版)・亀甲はほぼ同じものを指していて、クサガメの(腹の)甲羅です。ただし、原材料や加工方法などは違いが出る部分だと考えています

星火亀鹿仙の工場見学の時に某先生が「近所の亀を煮ても同じですか?」という質問を投げかけたのですが、、、「純粋なもの(を交配させること)がポイントです」と言われました。中国でも異なる地域を跨ぐ交配が多いらしく、起源を守るのは大変らしいです。なるほど。

大阪四天王寺に居る亀たち。彼らではダメのようです

功能主治为:滋阴,潜阳,补肾,健骨。治肾阴不足,骨蒸劳热,吐血,衄血,久咳,遗精,崩漏,带下,腰痛,骨痿,阴虚风动,久痢,久疟,痔疮,小儿囟门不合。baidu百科

効果については、滋陰潜陽、補腎の効果があり、腎陰不足に用いる。なんとも言えない微熱(陰虚火旺による骨蒸潮熱)や吐血、鼻血、咳や、遺精、崩漏、帯下、腰痛、骨の弱りetc陰虚の症状に用いられる、との記載があります。

甘・鹹
帰経 肝・心・腎

性味帰経は「中医臨床のための中薬学」を参考にしています、Baidu百科など中国サイトでの表記は違う場合があります。 

スッポンの甲羅

星火亀鹿仙には「スッポンの甲羅」も使われています。鼈甲というと黄色い甲羅のイメージですよね。あれはウミガメ(タイマイ)です。

スッポンの甲羅(土鼈甲)

スッポン(鼈)はこの漢字なのに、甲羅になると「土鼈甲(どべっこう)」と違う呼び方を使うのですが、なんでだろうなーと思っていたら・・・

①江戸時代、タイマイの甲羅を装飾品として使うことが禁止され、スッポン(鼈)の甲羅と言いのがれたことから。漢字ペディア

なんと江戸時代の風習の名残でした(^-^;;;;

功能主治为:滋阴潜阳,退热除蒸,软坚散结。用于阴虚发热,骨蒸劳热,阴虚阳亢,头晕目眩,虚风内动,手足瘈疚,经闭,癥瘕,久疟疟母。《中国药典》2015版 xjlz365

帰経 肝・腎

効果を見てみると亀板と同じような効果で、軟堅散結(硬いものを柔らかくする、しこりをとる)ぐらいが違います。漢方では同じ方向性の処方を重複させて効果を上げる、という方法は良くとられます。

シカの骨化した角(鹿茸)

補陽薬の鹿茸も含まれています。陰の処方にも少しだけ陽を足す。陽の処方にも少しだけ陰を足す。全く逆のものを使います。砂糖と同時に塩を少々入れると味が良くなるイメージですね。漢方ではよく見られます。

プラスマイナスでゼロにするわけではなく、副作用を緩和したり、やり過ぎを防ぐ働きがあります。鹿茸については別のページ(補陽薬)で詳しく解説予定です。

亀鹿仙・亀鹿霊仙廣の違い

星火亀鹿仙についてはこちら↓↓↓に解説しています。

体に潤いを与える星火亀鹿仙

星火亀鹿仙(せいかきろくせん)は、亀鹿二仙膏(亀鹿二仙膠)に似た処方です。色々使い道のある処方で、お勧めしていて効果も良 ...

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亀鹿霊仙廣はサラサラの粉末です、口当たりは悪くありません。

比較の表

星火亀鹿仙
せいかきろくせん
亀鹿霊仙廣
きろくれいせんこう
構成処方 鹿角・亀甲・鳖甲西洋人参
枸杞子・山茱萸・山楂子・大棗
鹿角・亀板・枸杞子・朝鮮人参
取り扱い イスクラ産業 救心製薬
原材料名
表記
麦芽糖、亀の甲羅、スッポンの
甲羅、シカの骨化した角、
砂糖、蜂蜜、枸杞、山茱萸、
西洋人参、山楂子、ナツメ
価格 7.5g x 60包 17500円
ペースト状
2g x 28袋 5600円(税抜き)
粉薬

東洋薬行より「貴禄宝」が販売されていますが、内容としては亀鹿霊仙廣の処方構成と一緒です。

まとめ:使い分け方

色々と比較してみましたが、ではどちらがいいのか。どちらも補腎陰の処方ですが、星火亀鹿仙の方がやや涼性に寄っていますので炎症があったり陰虚が進んだ場合にいいでしょう。例えばホルモン剤を頻用していたり炎症性の疾患には使いやすいと感じています。

星火亀鹿仙は煮詰めたシロップ状のままなので、効果としても良いです。ただ、お値段が高い。

メモ

星火亀鹿仙:効果を重視、陰虚傾向が進んだとき、しこりこわばりがある

亀鹿霊仙廣:お値段少し安い

私見ですが、しっかりと効果が必要な症状の場合は、星火亀鹿仙、他にメインの処方があって予算的な・・・ことがあるならば亀鹿霊仙廣を加える感じでいいかなと使い分けています。

  • この記事を書いた人
福田優基

ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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