五積散のポイントを解説!注意点や早く治るためのコツも紹介

五積散(ごしゃくさん)という処方があります。添付文書の効能効果には、胃にも腰にも冷えにも風邪にも痛みにもと書かれたオロナインのように万能。そんな不思議な処方です。

目次

五積散の効能効果

五積散の効能効果を引用すると、

五積散の効能効果  体力中等度又はやや虚弱で、冷えがあるものの次の諸症:胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒(クラシエ五積散より引用)

このように適用範囲がとても広い処方です。五積散の「五」の数字ですが、寒・湿(食)・気・血・痰の「停滞(積)」に対応するという意味で「五積」と名付けられました。

ただ、むやみに使っても効果はありません。見分けるポイントは「寒(特に下半身に)」がどこかに絡んでいるかどうか。熱の時はつかいません、「寒」によって起こる場合に五積散を使います。

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五積散、更年期の治療:上半身はのぼせるのに下半身が酷く冷え、腰痛や下腹部もあるという時に用います。
五積散、腰痛の治療 :中年から更年期の女性に見られる慢性の軽い腰痛に良くきくことが多く見られます。ある程度の期間続ける必要があります。引用:新漢方薬教室:稲木一元先生

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例えば、女性に多いのですが、長時間冷房に当たって痛む・下半身が冷えて痛む・胃腸も冷えて弱い、、、こんなときに効果のある処方です。

五積散はこんな時に使います

症例:冷房(クーラー)による冷え

30代女性、OL(事務)、職場でクーラーの風が直接あたり、体が冷え体調が悪くなる。特に太ももあたりを触ると冷たく感じる。冷えは1年を通して感じるが、冬と冷房の入る時期は辛い。生理不順で25~40日ほどと周期が安定しない。生理痛もあり、1日目に強い痛みを感じる・・・。

夏場での相談だったのですが、職場のお昼休みで時間が無い・・・とのことだったので、軽く問診をして処方をしました。「五積散+婦宝当帰膠」をオススメしましたが、1ヶ月後にご来店いただきまして、冷えも改善したとのこと。服用していると調子がよい、とのことで継続していただいております。

個人的な考えですが、冷房病はからだの元気がなくなった冷えではなく、いわゆる強制的に冷やされたものですから、寒や痰も一緒に改善できる五積散は併用しやすい処方です。

閑話:冷房病の予防として、首の周りにスカーフを巻くことも大切。首のあたりは特に冷えを感じやすいのですが、直接冷気にさらされることで血流が悪くなり慢性の頭痛や肩こりを起こしている方、多いです。

五積散の処方構成とは?

五積散は比較的多くの生薬で構成されています。一覧にすると、何でも入っています(^-^;;;;

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五積散の構成生薬:桂皮・乾生姜・麻黄・白芷・当帰・川芎・白芍・大棗・炙甘草・蒼朮・茯苓・半夏・陳皮・厚朴・枳実・桔梗

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処方の組成として、眺めてみると色々と考えられます。この中には、

平胃散・二陳湯・四物湯・桂枝湯・麻黄湯・苓桂朮甘湯・半夏厚朴湯

などは思いつきますし、

桂枝加芍薬湯・当帰芍薬散・続命湯

も近いかな、と考えられます。色々な処方の意図があり満遍なく効くようになっていますが、そのかわり一つ一つの生薬量が少なくなるため、ぶっちゃけた話、効果は感じにくいです。

昔ならば煎じ薬で、五積散の処方構成を基本にして症状・体質に合わせて加減しますが、今は、現在の症状にあわせて他の処方を併用することになります。

例えば、

  • 散寒を強めたいときは人参湯・附子人参湯・桂枝人参湯
  • 利水を強めたいときは真武湯・桂枝加苓朮附湯・苓姜朮甘湯
  • 悪心嘔吐が強ければ呉茱萸湯・半夏厚朴湯
  • 気虚が強ければ六君子湯・人参湯・参苓白朮散
  • 血虚が強ければ四物湯・十全大補湯

漢方処方の構成と適用第二版より

上記の症例では、むくみや血行循環不良による冷えに加えて、生理不順などを伴うことがあったため全体の改善をする婦宝当帰膠を併用しましたが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯や鹿茸をつかった処方を併用することもあります。

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和剤局方「中焦脾胃を調え、気を巡らし、風寒邪を追い出し、痰飲を除く。脾胃が元々冷えて、腹脇が張って痛み、胸隔に痰が停滞し、嘔逆悪心、或いは外から寒邪を受け、生冷の飲食に脾胃を傷つけられ、心腹痞悶、頭目昏痛、肩背拘急、四体怠惰、寒熱往来、飲食物の消化不良を治療する」

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古典になりますが、和剤局方には五積散は、上記のようにも書かれています。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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