漢方処方

黄連阿膠湯はこんな処方です

更新日:

黄連阿膠湯は卵黄を使う珍しい処方です。この処方が中医のテストで出題されたので、いまだ強烈に覚えています(^-^;;;

こんな処方です

黄連阿膠湯は古典:傷寒論にも書かれている処方なのですが日本ではあまり使われていないらしく。たぶん販売しているメーカーが少ないからですね。販売されていないので代替えの処方で頑張ってきた、、、ということがあるのかと思います。皮膚病と不眠症を中心に使われる処方ですが、不妊症・婦人病・ヘルペス性口内炎などそれ以外に使われることもあります。

効能効果

添付文書には次のように書かれています。

体力中程度以下で、冷えやすく逆上せ気味で胸苦しく不眠の傾向のあるものの次の諸症:かさかさした湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、不眠症、鼻血(小太郎製薬、黄連阿膠湯より)

冷えやすく逆上せ気味・・・全く逆のことじゃないか!と思われるかもしれません。冷却水の無くなったエンジンをイメージしてもらえると分かりやすいです。エンジンはオーバーヒート気味なのにうまく熱が移動しない・混ざらない。漢方では冷却水が無くなった状態を陰虚と呼びます。

そして、黄連阿膠湯。陰虚が進行してオーバーヒートが加速した、熱症が出てきたときに使われます。もう冷却できていないので皮膚も乾燥しているし、かゆいし、眠れないし・・・。

ただし、オーバーヒートってゆっくりと進行します。陰虚も進行はゆっくり~です。日焼けの熱感!虫刺されのかゆみ!ではなくて、じんわりとした乾燥感、じんわりとした熱感、じんわりとしたかゆみです。

症例:50代男性 不眠

イライラやストレスがたまりやすい生活、会社員。夜寝付いたかなと思っても、ふと起きてゴソゴソと書類整理をしてしまう。不安感?なんとも言えない煩燥感あり。眠れる日、眠れない日が1週間ごとに繰り返す。昼寝をするときにいびきをかいているらしい。疲れ気味のためか気力が続かず。食欲があまりない。緊張をすると尿が近い、会議などが多く緊張することが多いためかもしれない。精力減退傾向、やや顔が逆上せる傾向あり?(顔が赤いと言われることが増えたが、自覚は無い) その他省略

すごく頑張っている男性の症例です。この方の場合はなんともいえない煩燥感があり、眠れずといって睡眠導入剤は飲みたくない(飲むと次の日にふらふらする)とのことでした。

「黄連阿膠湯」と「     」と「       」という処方をお勧めしていたのですが、2週間程度でやや煩燥感はマシに。「  」があったので「天王補心丹」と「    」に切り替えて、しばらく継続してもらいました。ストレスは多いけれども今までよりもぐっすりと眠れる、ということで1年ほど継続してもらい、その後は時々ご連絡いただいております。

黄連阿膠湯の皮膚病とは?

アトピーの皮膚炎や接触性の皮膚炎など急性の炎症・皮膚炎では使いません。黄連阿膠湯を使うのは、、、例えば、火事のあとで建物の柱(燃えてしまったもの)がボロボロになった現場です。

火事は鎮火したのか種火になっているのかわかりませんが、建物の柱がボロボロなので表面も乾燥したり発熱していないのに赤みを帯びたりするんですね。

皮膚症状のポイントとして、発疹が小さい、隆起があまりない、赤みを帯びている、乾燥している、といわれます。(←↑説明不足しているのでそのうち書き直します)

黄連阿膠湯の不眠とは?

居てもたってもいられない

黄連阿膠湯は類方に比べて補陰の阿膠が加わっているため、不眠のニュアンスが穏やかです。教科書的には「少陰の邪が熱化すると心煩が起こり・・・」といいたくなりますが具体的には、

あ-、なんか胸苦しいなー、あついなー、横になって寝ていても落ち着かないなー、ちょっと何か飲んでこようかー、じっとしていられないなー、鍵かけたかなー、あー、しんどいし横になっていようかなー、眠れないなー、あーしんどいなー。

こんな「居てもたってもいられない」という不眠です。ちなみに同じような状況に使う処方として「天王補心丹」という処方があります。天王補心丹も黄連阿膠湯も「心腎不交」に使える処方ですが、天王補心丹は心に寄った、黄連阿膠湯は腎に寄った処方といわれています。(どちらを使ってもダメではないのです)

他に、酸棗仁湯や他の処方を併用するとよいでしょう。私の場合ですが、睡眠導入剤を使っている方には併用してもOKと伝えています。不眠の処方として他にも温胆湯・帰脾湯etcを使うこともありますので、ご相談ください。

もう少し詳しく

ここから先は少し詳しくなりますので、先に宣伝から(^-^;;; 当薬局では黄連阿膠湯など各種処方をそろえておりますので、ご相談ください・・・ということで、続きます。

黄連阿膠湯の処方構成

黄連・黄芩・阿膠・芍薬・卵黄 で構成されています。清熱滋陰の働きがあります。

黄連と黄芩で瀉心湯群

黄連と黄芩が含まれている処方を「瀉心湯(群)」といいます。黄連と黄芩は対薬(セット)になっていて、黄連は心熱、黄芩は三焦の熱を冷ますといわれています。心に留まった熱を排泄する、文字通り「瀉心」ですね。

心熱の症状とは「ピキピキピキ 腹が立ってきた!」頭に血が上るというイメージですが、黄連阿膠湯を使う状況は少しおとなしめの状況です。「黄連阿膠湯は少陰病の瀉心湯」といわれています。

瀉心湯(類)は兄弟の処方が多いです。似た処方で一覧にしてみました。

瀉心湯類 黄連・黄芩に加えて
黄連阿膠湯 阿膠・芍薬・卵黄
温清飲 芍薬・当帰・地黄・川芎
山梔子・黄柏
黄連解毒湯 山梔子・黄柏
三黄瀉心湯 大黄
生姜瀉心湯 半夏・人参・甘草
大棗・乾姜・生姜
黄芩湯 -黄連・芍薬・甘草・大棗

温清飲も兄弟なんですね。黄連黄芩の組み合わせ、私の認識では↑↑↑ぐらいなのですが、より詳しい分類が書かれていましたので転記します。”続きを読む”

黄連黄芩を含む漢方処方

龍野の
分類
芩連剤
乾姜黄芩黄連人参湯・烏梅丸・六物黄芩湯・白頭翁湯
・白頭翁湯加甘草阿膠湯・旋覆代赭湯
奥田の
分類
瀉心湯類 黄連湯類 半夏湯類
大黄黄連瀉心湯・瀉心湯(三物瀉心湯)
・附子瀉心湯・三物黄芩湯
黄連湯・黄連阿膠湯・黄芩湯
・黄芩加半夏生姜湯
半夏瀉心湯・生姜瀉心湯
・甘草瀉心湯
後世方 黄連解毒湯・温清飲・柴胡清肝湯・荊芥連翹湯
・清上防風湯・竹茹温胆湯

大阪府薬雑誌Vol60 No6 2009 漢方学術シリーズ 黄芩・黄連と芩連剤より抜粋

詳しくは原典をご参照ください。

黄連阿膠湯の作り方(煎じ薬)

煎じて作る黄連阿膠湯も作り方が変わっています。黄連・黄芩・芍薬を煎じ詰め、滓を除き、阿膠を加えて溶かし、少し冷えてから卵黄1個を入れてかき混ぜ3回に分けて食間に服用しますと記載されています。卵黄から抽出した成分、ではなくタンパク質を含めて全部が活用されています。きっと昔は滋養(体の材料)の意味もあったのでしょう。

黄連阿膠湯エキス細粒G

メーカーさんに「卵黄はどうやって添加してるんですかー?」って聞きましたら(詳しく教えてもらえませんでしたが)抽出した後から添加しているとのことでした。
黄連阿膠湯エキス細粒G「コタロー」は小太郎製薬匙倶楽部で84包入り 11200円(税抜)です。ちなみに、2歳未満にも適応のある珍しい処方です。(※1歳未満の乳児にはやむ得ない場合のみとの注意書きが有り)

商品名 黄連阿膠湯エキス細粒G「コタロー」
(販売元:小太郎製薬)
ジャンル 第二類医薬品
内容量  84包
商品単価 11200円(税抜)
摂取方法など 1日3回

※最後にですが、中医学プロの先生方、あくまで初心者にわかりやすくをコンセプトにしたサイトです、クレームはやさしくお願いします。こっそり修正します。

  • この記事を書いた人
youz

ゆうき先生

大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

-漢方処方
-,

Copyright© 福田漢方薬局|漢方家族.com , 2018 All Rights Reserved.