漢方処方

桂枝茯苓丸と桃核承気湯の違い

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「血の巡り」を改善する処方で「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」と「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」という処方があります。どちらも有名な処方で添付文書を確認してみると、

【ツムラ桂枝茯苓丸】体格はしっかりしていて赤ら顔が多く、腹部は大体充実、下腹部に抵抗のあるものの次の諸症 :子宮並びにその付属器の炎症、子宮内膜炎、月経不順、月経困難、帯下、更年期障害(頭痛、めまい、のぼせ、肩こり等)、冷え症、腹膜炎、打撲症、痔疾患、睾丸炎

【ツムラ桃核承気湯】比較的体力があり、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症 :月経不順、月経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)

これだけを見ると「桂枝茯苓丸は生理痛や冷え症に」「桃核承気湯は高血圧の便秘に」というイメージですね。

漢方の学生実習で添付文書を見せながら「実は、桂枝茯苓丸も桃核承気湯も似たような処方ですよ」と話すと「エッ??」と驚かれます。

血の滞りを改善する駆瘀血(くおけつ)薬

末梢の循環が悪い、老廃物が溜まってしまう、そんな「血(けつ)」の異常を漢方では「瘀血(おけつ)」という言葉で表します。イメージは、浄水場からの太い水道管が壊れている・・・というよりも、各家庭から蛇口までの辺りで「どうも調子悪い」という感じです。

この「瘀血」の症状ですが「どうも調子が悪い」と書いたとおり、状況は様々。ジンジンとした腰痛、生理前にググッとくるような生理痛、朝起きるとしびれるような肩こり、すべて瘀血と言われます。原因も血管の硬化かもしれませんし、流れる血が悪いのかもしれません。結構幅広い概念なんですね。幅広い概念ですから上記の添付文書のようにたくさんの適応があります(^-^;;;;; 

瘀血については説明すると長くなるので別のページにて解説しています、またご覧下さい。瘀血を改善する生薬で代表的なものが「牡丹皮・桃仁」で、桂枝茯苓丸や桃核承気湯はこれらの生薬を含み、駆瘀血薬といわれています。

構成生薬での違い

代表的な駆瘀血薬の桃核承気湯・桂枝茯苓丸・冠元顆粒の構成生薬の違いを表にしてみました。

  香附子 木香 桂皮 芍薬 川芎 桃仁 牡丹皮 丹参 紅花 大黄
芒硝
茯苓 甘草
桃核承気湯                
桂枝茯苓丸              
冠元顆粒            

赤い部分が瘀血を改善する生薬で、桂枝茯苓丸は「桃仁・牡丹皮」を含みます。桃核承気湯は桃仁しか含んでいません。じゃぁ、桂枝茯苓丸の方が強い??いえいえ、その代わりに「大黄」が含まれています。

大黄というと一般的には「下剤」ですが、漢方では「熱を下げたり」「血を巡らせたり」する効果もあります。つまり桃核承気湯は、牡丹皮の代わりに大黄を入れることで、余分な熱を下げつつ血を巡らせる作用が追加されました。

冠元顆粒は桃仁・牡丹皮は入っていませんが「川芎・丹参・紅花」という血を巡らす処方に加えて「香附子・木香」という生薬が含まれています。

この青い部分は気を巡らせる処方。漢方では、血も気も一緒になって巡っている(気のトロッコに乗っているようなものです)と考えますから、より効果は強くなります。同じような考え方で桂皮(桂枝)も使われています。

じゃぁどちらを使えばいいの?

こう書いていくと、だんだん「どれも同じもの」に見えてきませんか?(笑) どちらを使えばいいのか。もちろん、体調や体質に合わせて、というのが原則ではありますが、原則は「瘀血」があること。

そして区別をする部分は、熱感ですね。添付文書にある便秘は「単純な便秘(便がでない)」じゃないです。体に熱のあるような、便が硬くぎゅっとしたような、乾燥したような、締まったような便秘です。これがある場合は「承気湯類」を使うといいでしょう。

便がもともと緩い、下痢をしやすい、腹部が冷えて動かない、そんな方には桃核承気湯は余り良くありませんので、桂枝茯苓丸などを含む他の処方にした方がいいです。どちらにしよう、と迷った場合は、専門家にお尋ねください。

※上記内容は一般&初学者に判りやすいように記載しています。

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ゆうき先生

大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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