漢方解説 生理痛・月経不順

芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)はこんな処方です

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芎帰膠艾湯は「血止めの漢方」ともいわれます。血止め、というと切り傷、がまの油、みたいな印象ですが、女性の出血、例えば生理が多すぎるとか産後の出血が酷いとかそういった出血です。女性の生理と深く関係する漢方処方です。

主要な処方の阿膠・艾葉には血を補う・陰液を補うという特徴が有り、寒邪を排除して安胎(流産を予防する)作用があります。他の生薬にも衝脈任脈の働きを整えるため、止血(生理出血・不正出血)の効果もあります。比較的即効性のあるよい処方です。

芎帰膠艾湯

症例:子宮筋腫の出血量が多くて困った

「出血が多くて・・・」のご相談です。

症例

38歳女性 月経過多。子宮筋腫があるため生理出血が酷い。生理期間(10日近くある)は貧血状態でフラフラ、家事も満足に出来ない。病院でホルモン治療をしてみたが副作用で浮腫が出るため辛い。漢方でなんとかならないか。病院の検査では鉄分が基準値下限(後略) 既往症:糖尿病 鉄剤は処方されている

芎帰膠艾湯と「      」という処方、病院からは軽いホルモン剤が処方されたので併用してもらうことに。

12月:その次の生理期間はズンズンとした頭痛が治まった。2月:仕事が忙しいためか体調を崩し、生理中はダラダラとした出血が再開。芎帰膠艾湯は全期で継続。

4月:状況は改善。生理期間が短かった「貧血状態も改善したので仕事にも行けてます!」と電話。7月:だらだらと長かった生理期間が短くなった。調子が良いためベースの処方だけを継続して服用。芎帰膠艾湯は終了。

漢方薬は時間がかかる、、、と思いがちですが、芎帰膠艾湯は意外と効果の早い処方です。

芎帰膠艾湯の処方構成

処方構成を見てみましょう。

阿膠(あきょう)・艾葉(がいよう)・熟地黄・当帰・白芍薬・川芎(せんきゅう)・甘草 (ツムラ芎帰膠艾湯 添付文書より)

処方としては「血を養うための四物湯」+阿膠・艾葉・甘草です。血を増やし元気に(補血)しながら、止血の働きも合わせたような処方です。

メインの阿膠・艾葉が止血をしたり血を養う作用があります。阿膠は婦宝当帰膠などにも含まれていて、 補血養陰(血を補い、陰液を養う)のよい生薬です。赤ちゃんの安胎に使う場合もあります(別ページに記載したいと思います)。

弓帰膠艾湯

ただ、阿膠・艾葉・熟地黄などの生薬はやや胃に重い場合があります。当薬局では山楂子末を併用したり、晶三仙を併用してカバーをしています。

芎帰膠艾湯の効能効果

芎帰膠艾湯の効能効果ですが、

冷え症で、出血傾向のある方の、痔出血や月経障害にともなう貧血がある場合などに用いられる。(ツムラ芎帰膠艾湯添付文書より)

他社の効能効果なども眺めていると「痔出血・子宮の不正出血・血尿」など出血の症状が記載されていますが、基本的には不正出血や月経過多に使うことが多いです。

軽い血尿程度にならすぐに改善する事があります。ただ、芎帰膠艾湯で改善するがすぐに再発するなど「繰り返す血尿」の場合は、必ず泌尿器科を受診して下さい。

四物湯が加わって身体を補う力もあります。ただこれだけを使うにしては弱い。改善するためには婦宝当帰膠や芎帰調血飲第一加減など別の処方をベースに使ったうえで、芎帰膠艾湯を状況・体質にあわせて併用するなど工夫しています。

こんな時には芎帰膠艾湯はNG

芎帰膠艾湯は「やや温性に偏る処方」です。「お風呂に入ると痛みや引きつりが楽になる」そんな場合はOKなのですが、逆にのぼせ・火照りがあるような状況では籠もってしまった熱を下げるような処方(三黄瀉心湯・竜胆瀉肝湯)を使うことが多いです。

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ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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