漢方解説 胃弱/下痢/軟便/浮腫

温胆湯(うんたんとう)はこんな処方です

温胆湯の話をしていると「お腹を温めるお薬ですか?」と質問されることがあります。「温める」とはあまり関係なくて「胆」を働かせる(動かす・発揮する)ような意味合いで使われています。

温胆湯の働き

大胆不敵という言葉をgoo辞書で検索してみると、

度胸がすわっていて、まったく恐れないこと。また、そのさま。▽「大胆」は度胸があって物事に気後れしないさま。「不敵」は恐れを知らず敵を敵とも思わない意。goo辞書

と書かれています。

漢方の五臓六腑でいう「胆」には胆汁を保存する働き以外に「物事の決断をつかさどる」という働きがあります。胆の機能が低下すると、思い悩んで物事が決められない、不安感、不眠そういった症状が出ます。それらを改善するのが温胆湯です。

漢方の痰は「喉に引っかかっている痰」ではなくて、何となくモヤモヤとしたものを指します。ストレスや食事の不摂生など何らかの原因で「痰」が発生して停滞すると・・・。

本来なら脾胃が頑張って掃除をしてくれるのですが、それも調子が悪い。どんどん痰(ゴミ)だけ溜まる。その時に温胆湯です。脾胃の運動機能を活発にすることで痰(ゴミ)を掃除します。「水回り(シンク)の掃除」のようなイメージです。

温胆湯の症例

症例

50代女性 不安感・だるさのためご家族と来局 : 気象病(本人は天候・低気圧で悪化と)、天気図に台風がでてくると体がダルく動けなくなる。不安感が強い。何となく胸苦しい。家庭のストレス(義母)もあり、不眠傾向がある(後略)

「ストレスを受けて調子を崩し」「胃腸が弱くて、雨が降ると体調が悪い」というタイプの場合は、脾胃の調子を改善しつつ、気の流れを整えることで改善することが多いです。

この方の場合は、竹茹温胆湯・麦味参顆粒・「      」を服用して頂きました。3ヶ月ほどしてだるさも治ったので休薬したのですが、、、、

足首が見えるようになって浮腫んでたと実感しました

それ以外の効果として「家族に優しくなった」「ベットで寝てから、いつまでも目が冴えていることがなくなった」とご報告がありました。

毎年台風の来る時期にはコレがいいから!とご注文頂いています。

温胆湯の効果

温胆湯には2種類あります

温胆湯には、日本で使われている処方で大きく分けて2種類の温胆湯があります。温胆湯(加味温胆湯)と竹茹温胆湯。違いについては最下段に記載しています。

温胆湯の処方は二陳湯をベースとした処方です。

ポイント

黄連温胆湯二陳湯(半夏・陳皮・生姜・茯苓・甘草)+竹茹・枳実+黄連・酸棗仁

二陳湯はもともと「症状を緩和する」処方ですが、さらに竹茹・枳実を加えることで鎮静作用が出て全体の体質改善(痰熱上憂)に用いられます。

温胆湯の効能効果を見ると

ベースになる温胆湯の効能効果を見ると「不眠」が書かれています。

体力中等度以下で,胃腸が虚弱なものの次の諸症:不眠症,神経症 イスクラ温胆湯 添付文書より

ただ、この不眠は「イライラして眠れない!」そんな不眠ではないですよね。なんとなくしんどいー、うーん眠れない。そんな不眠です。

では竹茹温胆湯を見てみると?!!

こちらの効能効果は、小柴胡湯に似た働きを持ち風邪の後期に使うこともあります。

体力中等度のものの次の諸症:かぜ、インフルエンザ、肺炎などの回復期に熱が長びいたり、また平熱になっても、気分がさっぱりせず、せきやたんが多くて安眠が出来ないもの クラシエ竹茹温胆湯 添付文書より

そう、このときの咳もゴホゴホゴホ!という日中に起こる咳ではなくて、夜になると咳が起こってなんとなく眠れない(微熱傾向のあるような咳)です。それだけでなく小柴胡湯の方意もあることから「ちょっとしたイライラやざわざわ感があるとき」ということで温胆湯は意外と汎用性のある処方です。

どちらも「痰湿(もやもや~)」があることで起きる、なんとなく不愉快な気分を溶かしてあげる処方です。竹茹温胆湯・黄連温胆湯、基本骨格が似通っていますので、竹茹温胆湯を風邪の後期以外で使うことも出来ます。間違いではありませんよ!

まず試してみる、楽になったら続けましょう。

温胆湯をもっと詳しく

温胆湯という名前で市販されている漢方薬には、先ほど説明したとおり、竹茹温胆湯と加味温胆湯(温胆湯)があります。もう少し詳しく見てみましょう。

竹筎温胆湯と加味温胆湯の違いは?

どちらも二陳湯(半夏・茯苓・甘草・生姜・陳皮)に竹茹・枳実を加えたものが基本骨格となります。ただ、効能効果を見てみると、全然違いますよね(下記表の最下段)。

竹筎温胆湯 温胆湯 加味温胆湯
半夏・茯苓・枳実
甘草・生姜
陳皮・竹筎
半夏・茯苓・枳実
甘草・生姜
陳皮・竹筎
半夏・茯苓・枳実
甘草・生姜
陳皮・竹筎
柴胡・麦門冬・黄連
桔梗・香附子・人参
黄連・酸棗仁 遠志・玄参・人参
地黄・大棗・酸棗仁
ツムラ(医療用)
松浦薬業
クラシエ薬品
イスクラ産業
東洋漢方製薬
小太郎漢方製薬
クラシエ薬品
インフルエンザ、風邪、肺炎
などの回復期に熱が長びいたり、
また平熱になっても、気分が
さっぱりせず、せきや痰が多く
て安眠が出来ないもの
体力中等度以下で、
胃腸が虚弱なもの
の次の諸症:
不眠症、神経症
体力中等度以下で,
胃腸が虚弱なものの
次の諸症:
神経症,不眠症

効能効果では、竹茹温胆湯はインフルエンザの後期、温胆湯は不眠・神経症となっています。別にインフルエンザでなくてもいいですよ、竹茹温胆湯は、風邪が治りきらず微熱があって・・・布団にはいると眠れない。特に、ご高齢の方で風邪は治ったけれども何となく痰が多い、そんな方にもお勧めです。

竹茹温胆湯の応用として、温胆湯の症状に「肝鬱(イライラ・ストレス)」が絡む場合に使うこともあります。温胆湯+小柴胡湯にしたいところを、竹茹温胆湯で代用してしまいます。ほんと温胆湯って応用が利く処方なんですよ。

ところで「心配や不安感での不眠」で温胆湯を使う場合も多いですが、温胆湯以外にも帰脾湯も不眠に使います。どっちも虚証で似ている症状なのですが、ちょっとした使い分けもあります。があります。と、、、とりとめもなく、書いていましたが、どちらも専門的な話なので、また別の機会にでも。

処方名
温胆湯 心胆気虚・痰熱・痰火擾心(タイプ:小心)
帰脾湯 心脾両虚(タイプ:心配性)
  • この記事を書いた人
福田優基

ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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