漢方解説

芎帰調血飲第一加減のポイントを解説!注意点や早く治るためのコツも紹介

「産後の処方」として有名な芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)。ただ、最近では産後に限定せず、他の時期にも有効に使われています。

効能効果

まず効能効果を見てみましょう。

この処方の効能として古典では「産後一切の気血を調理する」と書かれています。調理は改善と置き換えてもいいです。産後の気血不足、イライラやら、血行循環不良やら様々な状況が重なったときに使います。

処方名 効能効果
芎帰調血飲 産後の神経症、体力低下、月経不順(太虎精堂)
芎帰調血飲
第一加減
体力中等度以下のものの次の諸症。ただし、産後の場合は
体力に関わらず使用できます。血の道症、月経不順、産後の体力低下
(イスクラ産業/松浦製薬)
体力中等度以下のものの次の諸症。ただし産後の場合は
体力に関わらず使用できる。:月経不順,産後の体力低下,血の道症
(小太郎漢方)

現在では産後に限定せず、月経不順など女性の生理を整える、生理痛や不妊症などにも使います。体を温める処方なので、20~40代ぐらいの冷えを感じる女性にもお勧めしています。

成分・類似処方との比較

芎帰調血飲第一加減は21種類もの生薬を使っていますが、基本骨格は「桃紅四物湯」という活血の処方です。桃紅四物湯に補血・活血・補気・温裏去寒・理気をバランス良く加えた処方です。

”表を表示する click!!!
補血
活血
瀉下 利水 補気 理気 その他
芎帰調血飲
第一加減
地黄・当帰
芍薬
・川芎
牡丹皮・桃仁
紅花・牛膝
益母草
延胡索
茯苓・白朮 甘草
大棗
陳皮・烏薬
香附子・枳実
木香
桂皮
乾姜
芎帰調血飲
(太虎精堂
地黄・当帰
芍薬
・川芎
牡丹皮
益母草
茯苓・白朮 甘草
大棗
陳皮・烏薬
香附子
生姜
桃紅四物湯 地黄・当帰
芍薬
・川芎
桃仁・紅花
桂枝茯苓丸 芍薬
牡丹皮・桃仁
茯苓 桂皮
当帰芍薬散 当帰・芍薬
川芎
沢瀉・茯苓
白朮
通導散 当帰・紅花
蘇木
大黄
芒硝
木通 甘草 陳皮・枳実
厚朴

上記の表から、桂枝茯苓丸と比べてもしっかりと活血の生薬が含まれています。瘀血もしくは瘀血+気滞があれば本当にいい処方です。ただし、芎帰調血飲第一加減は、多くの生薬を使って全方位にも効果を考えています、逆に言えば、1つ1つの生薬は量が少なく感じるコトが多いです。

瘀血の印象が薄くなれば補血の別に処方などに切り替える・瘀血の症状が強い場合は何か別の処方を併用するなど、うまく切り替えながら使うといいかなと考えています。

症例:子供を産んでから調子が悪くて(30代女性)

症例・口コミ

30代女性、6ヶ月ぐらいの赤ちゃんを連れての来局。出産してから頭痛が酷いし、ふらつきもある、胸が詰まるような気がする。睡眠がしっかりとしない。心臓が悪いのかと思って内科にかかっているが「特に問題は無い」と言われる。

生理は順調にもどっていますか?」とお話ししたところ、案の定まだしっかりともどって居ない、とのことでした。

出産とは、自分のからだの中から赤ちゃんを外界に送り出すという難事業。出血もあります。何時間もの戦いですから体力も消耗します。体を分割するのですからエネルギーの停滞もおきます。それらが酷くなると血行循環の不良・バランスが崩れて、頭痛や自律神経失調症、眩暈が起きると考えます。中医学的には「気血両虚による瘀血」と呼びます。

2015082802

この方の場合は、芎帰調血飲第一加減+婦宝当帰膠+αを中心として、お勧めしました。2ヶ月ほどで生理が再開し、半年ぐらいで職場復帰が出来るぐらいに状況が戻りました。

こんな時にも使います

芎帰調血飲第一加減は、産後だけではありません。冷えがあり虚弱体質(気血両虚)で生理のあとに色々と症状が酷い方にも効果があります。

例えば、生理痛が酷い、生理後に体や足が抜けるようにだるい。体調が悪くなって高温期頃にやっと回復してくる。不妊症のご相談でも、そんな方は多いです。子宮内膜症や月経困難症、ストレスがひどい状態にも使えます。

こんな産後の症状にも

疲労倦怠感(すぐにごろりと横になりたくなる)・母乳不足・頭痛・動悸・マタニティブルー・産後鬱・貧血・抜け毛・アレルギー症状・子宮脱・脱肛

産後の母乳不足に

母乳は自然に増えていくものですが、産後の気血が不足すると母乳が十分でにくくなります。芎帰調血飲第一加減や婦宝当帰膠などの補血薬と一緒に乳泉を加えてお勧めしています。

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産後の悪露に

悪露とは、産後に胎盤などの子宮内の組織が血とともに出てくること。一ヶ月ぐらいでしっかりと出きった方がいいといわれています。極端に短い、極端にダラダラ出る場合は、芎帰調血飲第一加減を。ダラダラ続く場合は、芎帰膠艾湯を加えてお勧めしています。

芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)はこんな処方です

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芎帰調血飲と芎帰調血飲第一加減の違い

一貫堂医学では「血の道症」に芎帰調血飲を加減して使っていて、その中でもよく使われたのが芎帰調血飲第一加減です。

補血
活血
瀉下 利水 補気 理気 その他
芎帰調血飲
第一加減
地黄・当帰
芍薬
・川芎
牡丹皮・桃仁
紅花・牛膝
益母草
延胡索
茯苓・白朮 甘草
大棗
陳皮・烏薬
香附子・枳実
木香
桂皮
乾姜
芎帰調血飲
(太虎精堂
地黄・当帰
芍薬
・川芎
牡丹皮
益母草
茯苓・白朮 甘草
大棗
陳皮・烏薬
香附子
生姜

四物湯ベースの処方、色々な処方があります。その時の状況に応じて処方を考える必要があります。生理不順、生理痛などの月経障害があるときに使う処方として、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、折衝飲、芎帰調血飲第一加減、桃核承気湯などがあります。不正出血・月経過多には芎帰膠艾湯、加味帰脾湯などなど。

こんなときは注意(副作用)

芎帰調血飲は、温めて循環を良くする処方です。なので、熱性の症状や妊娠中はあまりお勧めしていません。ただし、妊娠中でも寒証や瘀血体質の場合は継続してもらう場合が有ります。

芎帰調血飲第一加減を使いたような症状だけれども熱性の状態がある場合、通導散もお勧めしています。

  • この記事を書いた人

ゆうき先生(福田優基 薬剤師[pharmacist]/国際中医師)

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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