連珠飲の効果とは?

要約:この記事では、漢方薬「連珠飲」の効果について解説しています。連珠飲は主に更年期障害や貧血、立ち眩みなど、自律神経の乱れに伴う症状を改善するために使われます。また、当帰芍薬散などとの違いや具体的な使用例も紹介されています。

連珠飲(れんじゅいん)はマイナーな処方で、触れる機会も少ないかも??漢方の参考書ですら掲載も少ない処方です。※「聯珠飲」と旧字でかかれている場合もあります。

目次

連珠飲の効能効果

まず効能効果を見てみましょう。

連珠飲:体力中程度又はやや虚弱で、時に逆上せ、ふらつきがあるものの次の諸症:更年期障害、立ち眩み、めまい、動悸、息切れ、貧血

ぱっと見た感じ、女性の起立性調節障害や更年期障害に使うイメージです。

動悸とか息切れの記載はありますが、不整脈ではありません。ホルモンバランスや自律神経の乱れ、そういったもので起こる症状に使います。年齢で言えば40~60代がちょうど使いやすいです。

連珠飲の処方構成

連珠飲は参苓白朮散+四物湯を合体した処方構成です。比較してもらおうと思って抜粋しましたが、

コタロー苓桂朮甘湯茯苓4.8g、白朮2.4g、甘草1.6g、桂皮3.2g (略
ツムラ四物湯:地黄3.0g、川芎3.0g、芍薬3.0g、当帰3.0g (略
コタロー連珠飲:地黄2.4g、川芎2.4g、芍薬2.4g、当帰2.4g、茯苓4.8g、白朮2.4g、甘草1.6g、桂皮3.2g(略

見比べると、同じ比率で合体させた処方です。江戸時代の原南陽という医師が考案し「内科摘要」という書籍に掲載されています。

『最近、塩とコショウを一緒に使うことが多いぞ・・・じゃぁ、塩+コショウを合体させてみるか!』→塩コショウ誕生。というイメージの連珠飲です。江戸のこの時代、連珠飲を使うような虚証の女性が多かったのでしょうね。

こんな症状に

具体的には「起き上がったときに眩暈があったり、体が揺れている感じがある」+「顔の血色が悪いなど貧血傾向」がある。こんな体質に使われます。

あくまで貧血傾向、貧血のような症状です。本当の貧血なら鉄剤を併用してくださいね。

他には、水分代謝異常からくる耳鳴り・聴力低下にも使われますし、更年期のような症状でホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗など)がある場合にも、連珠飲は効果があります。

聯珠飲の漢方的な解説

苓桂朮甘湯の体質(上の図の左側)で、さらに貧血・顔色が悪いという血虚の症状(上の図の右側)があれば連珠飲です。苓桂朮甘湯は下のページを参考にしてください。

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当帰芍薬散と連珠飲の違い

当帰芍薬散と連珠飲はよく似ています。どっちがいいですか?という質問には、私は「どっち使っても治りますよ」ぐらいでお答えしています。

それでも、あえて言うなら、当帰芍薬散は「沢瀉」がポイントです。当帰芍薬散には、目が回る・嘔吐するような、水が抜けきらない(水分代謝が悪い)ときに使う「沢瀉」が入っているおかげで、浮腫の起こりやすいタイプにも気軽に使えます。軟便のタイプにも当帰芍薬散ですね。連珠飲は逆にどっしりとしたイメージです。

1日辺り
コタロー当帰芍薬散料
(7.2g中)
当帰2.4g 芍薬3.2g 白朮3.2g 川芎2.4g 茯苓3.2g 沢瀉3.2g より抽出した当帰芍薬散エキス4/5量 4.4gを含有しています
コタロー連珠飲
(6.0g中)
当帰2.4g 芍薬2.4g 白朮2.4g 川芎2.4g 地黄2.4g 茯苓4.8g 桂皮3.2g 甘草1.6gより抽出した水製エキス4.6gを含有しています

コタロー連珠飲とルビーナの違い

アリナミン製薬株式会社の「ルビーナ」も実は連珠飲です。初回相談時に「何を飲まれていましたか?」と尋ねると「命の母」「ルビーナ」「養命酒」「ドッグマン」あたりは時々名前を伺います。

ルビーナと連珠飲では入っている生薬は一緒でも、比率は少し違っています。コタローの連珠飲と、ルビーナとで比較してみました。

1日辺り
コタロー連珠飲(6.0g中)当帰2.4g 芍薬2.4g 白朮2.4g 川芎2.4g 地黄2.4g 茯苓4.8g 桂皮3.2g 甘草1.6gより抽出した水製エキス4.6gを含有しています
ルビーナ
(9粒中)
連珠飲エキス散3.15g
当帰1.5g 芍薬1.5g 蒼朮1.5g 川芎1.0g 地黄0.5g 茯苓2.0g 桂皮1.5g 甘草0.5gより抽出

どちらがどう、とは(仕事上)いえませんが、使ってもらうと違いは感じます。

症例・クチコミ

連珠飲の症例です。下記のような症状の場合、(当薬局の)店頭で「連珠飲」をお渡しすることはあまりありません。(当薬局の場合は)苓桂朮甘湯+婦宝当帰膠といった組み合わせでお渡ししている症例が多いです。(※苓桂朮甘湯+四物湯と方向性は同じです)

症例

更年期障害に起こる眩暈、50代後半 女性、季節の変わり目、気圧の変化で眩暈があり、酷いときには目の前がくるくると回って吐き気も感じる。(中略)生理はまだあり生理量も多い。時々、寝て起きるときにふわっとすることがある。貧血気味と健康診断では言われるので気が向いたら鉄剤(サプリ)を飲んでいる。更年期の症状が強く、急なイライラや、急な逆上せ(台所掃除をしていたら顔が熱くなり汗も出てくる、しばらくすると治まる)も感じることがある(後略)

本人も更年期の症状を自覚している、というお話しでした。苓桂朮甘湯と婦宝当帰膠をお勧めしたのですが、どうも複数の処方を飲みたくない、というお話し。・・・それならと「連珠飲」にしました。

飲み始めてすぐに「かなり楽になった!」というお電話があり。気に入って2~3ヶ月服用していましたが、しばらくして治ったから中止したとのこと・・・また半年ぐらいして再発しましたとご連絡がありました。

自律神経の症状って、水たまりみたいなモノです。調子の良い、カラカラの天気の時は普通の道路、雨が降ればすぐにまた出現します。

残念ながらこれは体質というか、持って生まれたモノというか。復調には時間がかかります。服用している間は症状が治まって楽らしいので、飲んだり飲まなかったりするよりも、このまま続けてもらっています。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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