藿香正気散(かっこうしょうきさん)はこんな処方です

藿香正気散(かっこうしょうきさん)は「からだの外から攻めてきた風邪(ふうじゃ)」と「からだの中から湧いてきた湿」を改善する処方です。

なんだかややこしい処方ですね(^-^;;; まず外側から。風邪(ふうじゃ)とは自然界の風に似たような症状をおこす病邪。症状が移り変わりやすく、体表部に起こりやすい症状です。冷えによって起こるものを「寒邪」と呼びます。一般的にいわれている「風邪」と一緒です。

「からだの中から湧いてきた湿」とは食事によるものが多いです。「冷たいもの」「甘いもの」「消化しにくいもの」などが消化器官に溜まることで「胃腸の消化吸収機能の調和が乱れ」ます。乱れると、吐き気・下痢・身体の重さ・だるさ・腹部膨満と言った状態が起こります。

湿邪が脾胃に停滞すると、昇降機能が失調して、上は吐き気、下は下痢、吐き気と下痢が同時に起こったりもする。

湿邪が脾胃に停滞すると、昇降機能が失調して、上は吐き気、下は下痢、吐き気と下痢が同時に起こったりもする。

これらを改善する処方が藿香正気散です。藿香正気散は脾胃の乾燥剤で、湿濁をとることで、胃腸機能を改善する処方です。

藿香正気散
【効能効果】夏の感冒、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠 クラシエ
【効能効果】体力中等度以下のものの次の諸症:感冒、暑さによる食欲不振、急性胃腸炎、下痢、全身倦怠 JPS製薬

冬の寒さからの「風邪」の場合は身体を温める葛根湯や麻黄湯が効きます。ただ、冷たいものを食べたことによる内側からの胃腸の冷え(湿)とクーラーから起こった寒さが同時に起こると藿香正気散を使うことが多いです。夏によく使われるので「夏風邪」の処方とよく言われるのですが、夏だけでなく上記の症状、特に「身体の湿気」があれば一年を通して使える素晴らしい処方です。イスクラ勝湿顆粒という製品名で扱っています。

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70代男性:「そうめん」ばかりで食欲がない

8月前半はすさまじく暑くなりました。ある日の夕方ですが「食欲がないんです・・・」という70代の男性が来局されました。

食欲がなくて、身体がだるい。夏バテかな。体力が続かない。汗がうまくでない。頭痛がする」さらに聞いてみると「そうめん」「アイスクリーム」といった口当たりの良いものばかり食べている。また、テレビで報道されていた「熱中症対策に水を飲みましょう!」を律儀に守り、ペットボトルを片手にちょくちょくと服用。さらにさらに、クーラーの効いた部屋で一日を過ごしている。

まったくもって、外寒・内湿の典型的な状態です。病院では点滴ばかり受けていたとのことですが。「これは・・・」とお話しつつ、藿香正気散と川芎茶調散をお勧めしました。

ガーデニングもそうなんですが、土壌に水がずーっと停滞すると、根腐れの原因になります。対策としては、土の排水能力が高くするか、与える水を少なくするか。排水能力を高める処方が、藿香正気散です

一週間後には、「おしっこが出るようになって、身体が軽くなったよ!」と喜ばれてお電話を頂きまして。今の季節は、毎日服用していただいております。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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