登校の前におなかが痛くなる「過敏性腸症候群」

過敏性腸症候群かびんせいちょうしょうこうぐんとは?

春は、新学期や配置転換、新入生、卒業生と移動の時期です。こういったときにご相談が多いのが、起床後にお腹が痛くなる、登校しようとすると下痢をする、といった過敏性腸症候群。 

【通勤中に途中下車をしてトイレに行ってしまう。商談中に急に腹痛に襲われて困ってしまう】そういったお悩みでの相談が多いです。 

過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群とは、消化管全体の運動性の障害により腹痛、便秘あるいは下痢が起こる状態です。 この障害が起こると、消化管がさまざまな刺激に対して非常に敏感になります。ストレス、食事、薬、ホルモン類、その他のわずかな刺激が消化管の異常な収縮を起こし、通常は下痢になります。下痢と下痢の間に便秘が起こることもあります。過敏性腸症候群は女性の方が男性の3倍多く起こります。メルクマニュアル過敏性大腸炎という方もおられますが、正確には「過敏性腸症候群」です

  「炎症がなく、潰瘍もない」など「器質的な異常が見つからない」ことも特徴です。 ある日、ケロッと治ってしまうこともあり、『気のせいでしょ!』と理解されないことも多い症状です。 

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 漢方薬と過敏性腸症候群

東洋医学では「腹満、服張満」と呼ばれる症状があり、傷寒論中に陽明病篇を中心に多くの記載があります。過敏性腸症候群も腹満の一つに考えられ、こういった症状には、漢方薬では気の流れを整えるような漢方薬、例えば柴胡桂枝湯、桂枝加芍薬湯、小建中湯、開気丸(舒肝丸)を検討します。

ポイントとしてはこういった漢方薬と共に、食を改善すること。乳酸菌を含む健康食品を加えることもあります。自律神経の調整も必要なので、イメージトレーニングも大切です。 

普段の食事で、肉食を減らす、高脂肪、牛乳、コーヒーなども減らすことで自然とお腹に溜まったガスも改善し、便通も定期的に良質な便が出るようになり、改善します。  過敏性腸症候群とは診断されなくても、ストレスによる腹痛には、上記の漢方処方が使う場合も多いです。 

 参考:図解傷寒論(たにぐち書店)・伝統医学2003.06.01夏号(東洋学術出版社)・漢方の君臣方剤学

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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