漢方漫歩【1993】

「気」の不足働き過ぎで消耗

「気」の不足働き過ぎで消耗

 前回、日本人には冷え症の人が多いという感想を述べた。それと関連して、体質的にもう一つ目につくのが、“気虚(気の不足)”タイプの人が多いということである。(漢方漫歩より) 

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 中国漢方では、体内を流れ、生命活動全般をつかさどる「気」の働きをとりわけ重視している。 この気の働きの欠乏・低下した状態が気虚であり、元気がない、疲れやすい、胃弱、精力減退、息切れといった身体的な症状が出てくる。冷たい飲み物やナマものを多食し、冬でも薄着して体を冷やすことの多い日本人は、気の働きが弱く、体温も低めである。

 古代中国人は、「労則耗気」といって、過労からくる気の消耗を警戒している。競争社会ニッポンのサラリーマンは、明らかに働き過ぎで、気を消耗している。気の消耗は十分な睡眠によってある程度の充電もできるが、夜更かし好きの日本人にはこんな養生さえも難しい。通勤電車のなかで居眠りする人が多いのも心配だ。運動不足、高温多湿の気候、エアコンなど、日本人のライフスタイルから、気の消耗や低下に結びつきそうな要因を探ればきりがない。 

気虚に対しては、気を補い、働きをたかめる薬がある。人参精、補中益気湯、香砂六君子湯、海馬補腎丸など、どの部位の気が、どのように不足しているかによって、様々な補気薬(気を補う薬)を使い分ける。 

路京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/05/16
 

  • この記事を書いた人

ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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