自律神経失調症に効く漢方薬は何ですか?

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40代女性、顔がのぼせる・眠りが浅い

つい先日のご相談です。40代ぐらいの女性。顔がのぼせる・最近眠りが浅いということで近隣のクリニックさんを受診されたらしいです。そうしたら、自律神経失調症との診断でデパスが処方されました。デパスを飲み始めたらしいのですが、逆に朝はふらつきが出て、困って来店したとのことです。

自律神経失調症・更年期のご相談は多いんですが、自律神経失調症って検索すると色々な症状が書かれています。実際店頭でも、人それぞれ訴える内容が違います。

全身的症状としてだるい、眠れない、疲れがとれないなど、器官的症状として頭痛、動悸や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、下痢や便秘、冷えなど多岐にわたります。精神的症状として、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れることもあります。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html

何かの病変があるわけでもなく、なんとなく最近バランスが悪いな、こんなふうに感じている方が多いです。で、病院で相談するとがっつりと抗不安剤が処方される、けど、本当はちょっとした軽いサポートで楽にしてほしい体に優しい漢方薬ならいいんじゃないか、そんな感じでご相談いただいているのかなーとは思って、毎日が楽になるような、バランスをとる漢方薬をおすすめしています。

また、更年期には自律神経失調症のような症状も起こります。更年期はホルモンバランスの崩れですから、、、似たようなモノです。漢方的には同じような考え方で処方を考えます。

鬱と自律神経失調症の違い

鬱(ウツ)と自律神経失調症の症状ってすごーーく似ています。簡単に説明すると、

鬱はやる気自体が枯渇して、ずーんと落ち込んだ感じ。ストレス・プレッシャーで精神がすり切れて、凄く消耗した状態が続きます。逆に、自律神経失調症は落ち込みはしますが調子の良いときもあります沈んでいるか、バランスが崩れているかの違いです。

しかし、自律神経失調症の症状がうつ病の前兆である場合も、楽しいことがあればコロッと気分が改善するお天気のような鬱(非定型鬱)もあります。ご相談中に「あれっ、これは?」と思ったら、専門クリニックの受診をお勧めしています。

自律神経失調症の漢方的な考え方

さてさて、本題ですね。わかりやすいように車の渋滞に例えてお話します。お盆期間が始まると、〇〇インターチェンジを先頭に渋滞30kmとか、ニュース報道されていますね。こんな渋滞に巻き込まれたと考えてください。

  • 渋滞が長く続き、排気ガスで路上も熱く、ドライバーさんも頭に血が上って熱くなる
  • 猛暑でエアコンもガンガン、冷却が間に合わない。エンジンはオーバーヒート気味

渋滞って「熱」の発生源です。「気」というエネルギーも停滞すると熱を発生します。漢方ではこれがイライラの正体では?と考えました。逆にモノが不足しても不安定になります。渋滞中に食事が取れずお腹が減っている、家族の会話がギスギスすること間違いありません。ママさん、余計にイライラします。漢方的な話では「血・津液」が不足すると不安定になります。

上記の図で「実」が気の停滞、「虚」が足りなかった場合です。その横の四文字熟語は・・・雰囲気で、感じてください。いずれにしてもバランスの崩れによって自律神経失調症は起こると考えています。

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症状処方その他
肝気鬱結人のことはあまり批判したくない。いい人。不満が溜まってる。首コリ。真面目な性格。怒ってもすぐに戻る。生理前に酷い。香蘇散
香蘇散合柴胡疎肝湯
加味逍遥散
鬱熱化火イライラが強い、頭痛・目の充血。すぐに怒る。家族に当たることが多い。人が変わる。上半身ののぼせ。ふわふわふらつき。柴胡加竜骨牡蠣湯
女神散
気滞血瘀刺すような頭痛・詰まったような胸悶・顔色がやや暗い・生理痛が酷い・夜に辛い。眠れない。こわばったような肩こり。芎帰調血飲第一加減
血府逐瘀丸
痰熱内擾しっかりと眠れない。怖い夢も見る。心が落ち着かずモヤモヤする。口が苦い。ゲップや食欲不振がよく起こる。温胆湯
肝陰虚損
陰虚火旺
顔や頭が火照って汗をかく。目のかすみ。ふとしたときの動悸。寝る前になると手足がほてる。ざわざわする。最近は集中力がなくなって気がする。よく眠れない。杞菊地黄丸
瀉火補腎丸
滋陰降火湯
天王補心丹
清心蓮子飲
心脾両虚不安感(杞憂)が強い。ざわざわと不安なことが思い出される。貧血気味で立ちくらみなどを起こしやすい。顔色が白いとも言われる。覇気・元気がない。加味帰脾湯
婦宝当帰膠
脾腎陽虚月経不順。お風呂から上がったらすぐに体が冷えてしまう。夏でも冬でも冷える。寝てもしっかりと寝れた気がしない。性欲が減退してきた。八味地黄丸
海馬補腎丸合参苓白朮散
自律神経失調症で使う処方の例

漢方での自律神経失調症=加味逍遥散のようなイメージですが、上記のような処方や別の処方との組み合わせをすることもあります。現代は仕事や家庭のストレスだけでなく、食生活・睡眠時間・スマホ・SNSやらとやることできることが複雑になっていますので、バランスも取りにくくなっているのでしょう。

参考:臨床応用傷寒論解説・中医基礎理論・漢方方剤ハンドブック・松浦Information

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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