胃全摘後の口内炎で悩んでいます、効果のあった漢方処方

60代、男性、やや長身、やせ形。ご夫婦でのご来局いただきました。数年前にある病気で胃を全摘したのですが、最近口内炎が出来やすくなったとのこと。市販薬を使っても病院の処方薬を使っても口内炎が治りにくいし、治ったと思ったら繰り返し起こってしまうとのことで、来局されました。

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口内炎って、私も熱~い天ぷらうどんを食べたときに、よく起こすのですが(やけど・・・ですね)。痛いですよね。始終ピリピリしていて、どうも集中できない。口の中の細胞って新陳代謝が早いので、治るのは早いハズです。それが、繰り返すと言うことは何か内臓に問題があるのでは?と気になって奥様が知り合いからご紹介いただいたとのこと。

色々と口内炎についてお話ししました。実は、胃摘出後は「鉄欠乏性貧血」を起こしやすくて、そこから口内炎を起こすこともあります。「貧血から口内炎?」とびっくりですが、本当に起こるんですよ。細胞の新陳代謝がうまく起こらなくなってしまいます。ですので、病院の血液検査を見せてもらったのですが、、、、鉄関係の数値(Hb)は低いながらもそれほど悪くはありません。

ついでに、胃全摘手術後、ビタミンB12欠乏も起こりやすくなります。病院で定期検査を受けるときに「注射で補充」することになりますので、通常の生活・通院をしていると「ビタミンB12欠乏の問題が出る」・・・ということは少ないです。

赤血球を合成するためには、鉄やビタミンB12、葉酸が欠かせませんが、胃切除後の長期経過中には、ビタミンB12・葉酸・鉄欠乏を来すことがあります。胃切除後には胃酸分泌が減少し、鉄の吸収が低下します。

また、食事で摂取したビタミンB12は、胃粘膜から分泌される内因子(ないいんし)と呼ばれる糖タンパク質と結合し回腸末端で吸収されるため、ビタミンB12の吸収には胃粘膜で分泌される内因子が必要です。このため、胃切除後や自己免疫による疾患、萎縮(いしゅく)性胃炎では、内因子が不足してビタミンB12欠乏に至ることがあります。ただし、ビタミンB12は肝臓で貯蔵されているためにすぐに貧血になることはなく、数年後に症状が現れてきます。徳島新聞・胃切除後貧血・鉄分葉酸、異常ないが

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漢方での改善方法

じゃぁどうしてかな-?とお話ししていると、どうも最近「食生活」が乱れてきているとのこと。会社に復帰をして、、、、数年前は気を遣っていたことが緩んできたのでしょう。胃摘出の方が、食生活を乱すとすぐに何らかの影響が出てきます。

じゃぁ!と、漢方の処方としては(体調についてお聞きしたのですが)板藍茶+参苓白朮散料+ササヘルスをお薦めして、養生についてもかっちりお話ししました。ササヘルス、特に口内炎などには好きで使っています。短期的にもいいのですが、ぜひ長期で服用して欲しい処方ですね。また、鉄の成分も含まれるため、胃摘出の方としても丁度いいです。

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さて、その後ですが、2~3週間たった頃奥様からお電話いただきまして。調子が良かったようで!、継続していただいております。男性はしっかりと毎日継続・・・は難しいのですが。それはそれとして、口内炎が酷くなる、二つも三つも出来る、というのが無くなっただけでもいいかな・・・と、奥様とお話ししています。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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