「唇の皮が良く剥ける」という方がおられます。私も熱いものを食べたり、噛んでしまったりすると、皮がぺろっと剥けますが、そんな一時的なものでなく、年間を通して唇がガサガサして気になる。リップクリームが手放せない。そういった状態です。
漢方では唇は「脾胃(胃腸)」と関係すると考えています。脾胃が過剰であるか、虚弱であるかで症状は違いますが、まず唇に問題は出やすいです。もうひとつ、「血虚」の状態は唇に乾燥感が出てしまいます。
と、いえばちょっと難しいですので、こんな感じで考えて下さい↓
漢方の考え方では「唇」は「花」です。土壌(胃腸)の栄養が豊富でも、貧弱でも問題は出ます。「血」は「恵みの雨(水)」です。水がなければ「唇」も枯れてしまいます。
土壌の栄養が貧弱な状態
日本人に多いタイプです。「栄養を与えてもすぐに流れてしまう」のが正確なところで、やせの大食い、食べても太らない、もしくはすぐにもたれる、食べたいのに食べられないというタイプです。中医学では気陰両虚と呼ばれます。
この状態では土壌改良から必要なので、漢方処方としては六君子湯、参苓白朮散などの処方を中心とします。
この状態が長く続くと、唇が乾燥してひび割れ、剥けたりだけでなく、唇(唇の端も)が切れたり割れ出血したりします。
雨が足りない状態
雨が不足しているタイプ、これを血虚といいます。、血虚についてはこちらに記載しましたのでぜひご参考にして下さい。
冷え症の方が、唇の乾燥も改善した症例
最近来られた血虚タイプの方に、温経湯+αの処方を出しました。その方は、冷え症だったのですが、同時に唇が乾燥しやすいことに悩んでいました。温経湯の文献にこう書かれています。
下腹部や腰の冷えと疼痛・下肢の冷え、冷えのぼせ、腹部膨満などの虚寒の症候に皮膚に艶がない、口唇の乾燥、眼精疲労や手足の痺れなどの血虚の症候が見られるとき。
こういった処方は、冷え症だけでなく、全体のお悩みの解決に役立ちます。ぜひご相談下さい。