口腔乾燥症(ドライマウス)

漢方薬には口腔の症状に効果のある場合もあります。

例えば、

  • パサパサのクッキーなどが食べにくい。
  • ガムを噛むと楽になる。
  • 口の中がネバネバする。
  • 口臭がある。
  • 口が粘って話しにくい。

というような、ドライマウス(口腔乾燥症)や、味覚障害舌の痛み(舌痛症)などにも漢方薬は使われます。 

ドライマウスの症例:

07~08年来局、女性、60代 口が渇く、舌がピリピリと痛みがある。ガムを噛んでいる時は楽。喉のつまりあり。喉のあたりの違和感あり。口腔外科で診察して貰ったが特に問題がないと言われた。人工唾液を使ってみたが気持ちが悪いし不便だった。 

この方の症状の場合は、ストレスからの口の渇きが酷く、舌痛も続いて現れたとのことでした。麦門冬湯加減と、加味逍遥散加減の処方を検討して、数ヶ月で軽減、その後、終了となりました。ドライマウスの症状は、ストレス、更年期障害、薬の副作用などで多く見られます。原因がはっきりしない場合も多く、抗不安剤などを漫然と長期投与されてしまい、困ってご相談頂く、という場合もあります。 

ドライマウス

養生法(唾液腺のマッサージ) 

漢方薬を服用しつつ、唾液腺を刺激するマッサージを毎日続けることで、唾液が出やすくなります。一例をご紹介します。 

  1. 指先で顎の下を圧迫。ここは押すだけで揉まない。やや強めに。
  2. 指先で顎から顎関節まで揉むように下から上へ。唾液が出るまで優しく。
  3. 下唇から顎にかけての場所を口角から。指の腹でグルグルと小さく回しながら揉む。優しく。
  4. 上唇の上、鼻の下の部分。歯茎を意識しながらマッサージ。

 口腔の漢方薬、代表的な処方

ドライマウスの症状には、潤いを与える漢方薬が中心になります。 

  処方名
体力比較的あり。口の渇き、熱感あり 白虎加人参湯
体力中程度。 麦門冬湯、百潤露*
比較的体力が無い。高齢。 六味地黄丸、杞菊地黄丸、二至丸

特に、陰虚症状のある方は、上記の漢方薬や瀉火補腎丸などを加減します。原因+対処療法をする必要があるため、複数の処方を組み合わせることが多いです。

陰虚症状とは、舌をべーっと出してみたときに、舌が苔が無くて赤い、割れているなど外見的な状況が見られます。体が火照る、のぼせやすい、皮膚が乾燥しやすい、ドライアイ、などの潤い不足の体質がでることもあり、漢方的には津液の不足などといわれます。西洋医学的には老化といわれたり、年を取ったからだよ、といわれたり、特に検査の数値にはでないけれども、身体がなんだか火照るし思わしくない、そんな状況が陰虚です。陰虚が進み、舌の割れが酷くなり、「醤油が滲みてピリピリする」という方も過去におられました。 

*百潤露は「百合、北沙参、玉竹」を含む健康食品です。類似処方として沙参麦門冬湯があります。

参考:クロワッサン第32巻第7号、読売新聞2010年5月9日くらし健康・医療特集

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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