加味逍遥散。本当に日本人にはよく合う処方だと思います。「友達との喧嘩を思い出して落ち込む」ことはありませんか?あとで思い出して「あー、あんなこと言わなければ良かったな、これもダメだった、あれはどう思ったんだろう、こんなこともあったなぁ・・・」色々と考えてしまいます。翌日起きても気が重い。そんな方への漢方処方です。
時々、ストレスが強くても「キレる、手が出る、文句を言う」発散型は、別の処方がありますのでそちらがいいかもしれません(^-^;;;; また別の処方を併用することが多い処方でもあります。漢方的には、逍遥散類「気血両虚・肝気鬱結」の代表処方といわれます。
加味逍遥散の効能効果
加味逍遥散の添付文書には下記のように書かれています。
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加味逍遥散:体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症: 冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症注)、不眠症(ツムラ加味逍遙散添付文書より引用)
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これだけを読むと何でも効果がある処方に思えますが(^-^;;; 基本は「憂鬱感・イライラ・怒りっぽい」などの肝気鬱結の症状がポイントです。ただの疲れ、肩こり、そういった症状だけでしたら別の処方の方が効果的です。
肝気鬱結ってナニ?!
漢方の先生方がよく使う「肝気鬱結(かんきうっけつ)」という言葉。なんとなーく聞いているかたも多いんじゃないでしょうか。詳しく解説するとややこしくなりますが、つまりは肝気が溜まってしまって色々な症状を起こす・・・下の図のようなイメージです。
昔、テレビ番組でありましたよね。問題を間違えると巨大なバルーンが膨らんでいく。大きくなると爆発して粉まみれになるクイズ番組。あれです。小さい風船でも割れるとビックリするのに、あれだけ大きい風船だとどうなんでしょうね。大きくなった肝気は早めに解消した方がいいのです。
加味逍遙散の構成生薬
こうした肝の気を押し流す処方(疎肝理気薬)は色々と考えられています。もっとも基本的な「四逆散」とその発展系の「柴胡疎肝湯」、加味逍遙散を比べてみました。
処方名 | ||
---|---|---|
加味逍遙散 | 柴胡・薄荷/白芍・当帰 | 白朮・茯苓・炙甘草・生姜・(牡丹皮・山梔子) |
四逆散 | 柴胡・枳実/白芍 | 炙甘草 |
柴胡疎肝湯 | 柴胡・枳実/白芍 | 青皮・甘草・川芎・香附子 |
四逆散、柴胡疎肝湯、どちらも「気の流れをよくする生薬」がたっぷりと入った処方です。逍遙散は「気の流れをよくする生薬」に加えて、補血・健脾など別の生薬も含まれています。別の生薬、これが加味逍遙散の特徴です。
肝気鬱結を起こす人のベースには「脾虚・血虚」がありますし、「脾虚・血虚」もより酷くなります。この脾虚血虚を治すことが体質改善になります。つまり、
- ストレスなどで肝が不安定
- →肝気鬱結:のぼせ感、肩こり、疲れ、精神不安、いらだち
- →(同時に起こった)気血両虚:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症
こんな流れです。「怒り・落ち込み」の症状の改善だけなら病院の抗うつ剤・抗不安薬が良く効くと思います。切れ味はすごくいいですよね。それでも漢方を服用してもらうと「西洋薬より良く効いた!」という方がおられます。それは、今まで悪かった状況だけでなく「体質」も改善したから。
漢方は「バランス良く処方されている」ため、西洋薬よりも改善を体感できる場合もあります。もちろん併用することも出来ますよ。
逍遥散と加味逍遥散の使い分けは?
逍遥散の柴胡・当帰・芍薬・茯苓・白朮・甘草・生姜・薄荷にからだの熱を取る牡丹皮・山梔子を足したのが加味逍遥散(別名:丹梔逍遥散)です。
- 火照り感が強い・興奮が強い・微熱がある=加味逍遥散
- 特に熱感が無い=逍遥散、逍遥丸
基本的には、それほど気にしなくても・・・なんですが、使ってみると逍遙散のほうが合っている人もいます。
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加味逍遙散に併用する処方
残念ながら、加味逍遙散の最適なタイプのハズなのに、、、加味逍遙散では効果が無い、という方もおられます。他に別の処方を併用をすればよかったのかもしれません。下に記載しているカミセーヌCは、加味逍遙散に四物湯を加えていますし、逍遙散に熟地黄を加えて黒逍遙散(煎じ薬のみ)という処方もあります。
加味逍遙散の錠剤 ↓↓↓ カミセーヌ
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これで効かなければ女神散という選択肢もありますし、それ以外に血虚をまずは改善したい場合(婦宝当帰膠や当帰芍薬散+加味逍遙散)もあります。
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