「生理不順なんです・・・」こういうお問い合わせは、年齢を問わずいただきます。19歳の大学一年生の娘さんは、お母さんに連れられて。ある事務職の女性は生理不順で冷え性が強くて。ある女性はご主人と一緒に生理不順と不妊症で悩まれて。ある女性は最近顔が逆上せるからと閉経を疑って。それぞれ症状は同じではありません。
漢方で改善できる生理不順はあります。月経の揺らぎはもちろんですが、それだけでなく付随する不愉快な症状でも、悩まれています。
初潮がない方はまず検査を
病院で検査して欲しいタイプ。高校生・大学生で今まで生理が来たことが無い(初潮が無い)方はまず病院を受診をして下さい。生理があるが不定期、もしくは今まで順調に来ていたが何らかの原因で不順になった場合は漢方などで改善できる可能性があります。漢方では生理不順を細かく分けて処方を決めていきます。
月経先期:生理周期が短くなるタイプ
月経周期は1週間以上短くなります。疲れやすいタイプで生理もタラタラ・・・という「気虚」タイプが多いですが、それ以外にも「血熱」タイプの可能性があります。
気虚タイプ
生理周期が短く生理の量が多いが色は薄い。体は疲れやすい。食欲が無くて下痢しやすい。顔色が青白い(淡い)と言われる。このタイプの方に心脾顆粒(帰脾湯)を使ったところすごく改善した例がありました。全然眠れないタイプの方だったのですが「初めて起きる時間を忘れて寝ていました!」と喜ばれました。
血熱タイプ
生理周期は短いです。さらに血熱タイプは実熱と虚熱タイプに分けて考えます。店頭に来られる方はだいたいが家庭や仕事などのストレス・食生活から変化したような印象があります。
実熱タイプは体がイライラしやすく、顔が赤い、口が渇きやすい。活動的で一秒たりとも止まっていられないリーダータイプが多いです。赤い熱性の強いニキビが多かったりすることも。
虚熱タイプは火照りのぼせが強く出てしまうタイプです。体が弱いもしくはのに逆上せてしまうタイプが多いです。頬のあたりがぽっと赤い。「冷え性なのに手足の平だけ熱くないですか?」と聞くと、だいたい「確かに・・・」と心当たりがあるようです。どちらのタイプも基礎体温表をつけてみると低温期の部分が短いことが多いです。
月経後期:生理周期が長くなるタイプ
月経先期とは逆に、月経が1週間を超えて長くなるタイプです。漢方では「血寒・虚寒・血虚・気滞」と言われ、だいたいは「冷え」から来るタイプが多いです。基礎体温を測ってもらうと低温期が延びていきます。
寒(血寒・虚寒)タイプ
生理周期が長く量が少ない。「お腹を温めると気持ちいい」とか「カイロが手放せない」タイプです。30代の女性、保母さんをしている女性でした。無認可の保育園らしくて人数をカツカツで運営しているらしいんです。なかなか休みが取れないけれどもどうしても生理前後は動けなくなってしまう。それで困ってご相談でした。「冷えもあり生理痛が酷く、腰から下が慢性的に冷える」 このときは温経湯と婦宝当帰膠の併用をお勧めしたのですが、その後2ヶ月ほどして「休まなくてすみました!」のお電話を頂きました。なかなか月経周期は短くならなかったのですが、それでも服用すると生理が楽だから、とのことで継続して頂きました。
血虚・気滞タイプ
漢方で血虚と言われる症状でも、生理周期が長くなることはあります。血虚についてはこちらに詳しく書いていますのでご覧下さい。
だいたいは上記のそれ以外にも生理が不定期なタイプもあります。少々短くなったり長くなったりや、1周期飛んでしまう、ぐらいは「漢方で大丈夫ですよ」とお話しすることも多いのですが、2~3周期飛ぶ場合は知り合いの産婦人科に紹介する場合もあります。
漢方のご相談に来られる方は、周期を整えたいわけではなく、それに付随する疲れやすさや痛み、冷えなどを改善したいのかと思います。漢方ならそういった症状も改善できますので、一度ご相談ください。また、不妊症の生理不順で使う処方についてはこちらにも記載しています。併せてご覧下さい。
参考:症例から学ぶ中医婦人科、中医婦人科の臨床応用