漢方漫歩【1993】

東洋医学学んで薬の誤用少なく

東洋医学学んで薬の誤用少なく

漢方エキス製剤の保険適用(1976年)以来、日本でも漢方薬を使用する医師が増えている。

中医師の一人として好ましい話ではあるが、使い方には大いに疑問がある。(漢方漫歩より)

 

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今の中国では考えられないことだが、西洋医学的な病名による投薬が多いようだ。

漢方薬を西洋医学の理論で用いるのは、「木に竹を接ぐ」ようなもので無理がある。

 

新中国の誕生(1949年)前後、中国でも一時期「費医存薬」という声が起きたことがある。

薬だけは残して、伝統医学の考え方は一掃してしまおうという考え方である。が、今は否定されている。

日本の漢方事情を目の当たりにして、その「費医存薬」を思い出す。

 

日本では、慢性肝炎に効果があるということで、小柴胡湯がよく使われる。

その一方で、小柴胡湯の副作用の問題が新聞紙上をにぎわしている。

 

たしかに、慢性肝炎の一部のタイプには、小柴胡湯で改善効果のみられるものもある。ただし、小柴胡湯には燥性があるので、中医学で陰虚症とよばれる、体液が不足気味で乾燥性タイプの人が長期連用すると、かえって症状が悪化する可能性がある。

今回の小柴胡湯の件は、副作用というよりも、誤用の問題のような気がしてならない。

 

日本の医科大学のカリキュラムに、東洋医学の講座を組み入れて、体系的に学んでもらえるなら、誤用の問題は少なくなるだろう。

 

路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/05/23

  • この記事を書いた人
福田優基

ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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