疲れると膀胱炎のような症状になる:清心蓮子飲

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  • 清心蓮子飲は「尿のトラブル」によく使われる処方
  • 泌尿器機能低下だけでなく不眠やイライラにも使える
  • 急性期には使えない、腎を補うのは単体では弱い

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目次

清心蓮子飲の効能効果

まず、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)の効能効果を見てみましょう。

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体力中等度以下で、胃腸が弱く、全身倦怠感があり、口や舌が乾き、尿が出しぶるものの次の諸症:残尿感、頻尿、排尿痛、尿のにごり、排尿困難、こしけ(おりもの)

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残尿感、排尿痛、尿の濁り、こしけ・・・と書かれていると、膀胱炎・尿路感染症なら効果があるのかな?!と思ってしまいますよね。しかし、清心蓮子飲は「今、違和感が!」という状況ではあまり効果がありません。

一般的に店頭で「違和感がある」と言われたときには猪苓湯をお勧めすることが多いです。じゃぁ清心蓮子飲は??

まずは、猪苓湯と清心蓮子飲を比較してみましょう。

猪苓湯と清心蓮子飲の比較

効能効果を表にしてみました。

処方名 効能効果
猪苓湯 体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの次の諸症:
排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみ
清心蓮子飲 体力中等度以下で、胃腸が弱く、全身倦怠感があり、口や舌が乾き、尿が出しぶるものの次の諸症:残尿感、頻尿、排尿痛、尿のにごり、排尿困難、こしけ(おりもの)

猪苓湯は?

猪苓湯の効能効果をみると排尿異常と書かれています。おしっこの途中に違和感が・・・というときありますよね。尿路の感染を猪苓湯は洗い流す!というイメージです。急性期によく使います。

清心蓮子飲は?

清心蓮子飲の効能効果を見てみましょう。「胃腸が弱く、全身倦怠感」と書かれています。そう、清心蓮子飲は「菌による急性期の症状、違和感、炎症」とは関係ありません。老化、疲れ、ストレスなどの体の内側に原因があります。

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老化・ストレス・疲れで「腎」が冷却水不足、かつ「脾」の弱りでエネルギー低下(復活が遅い)→→→→それによって「心」が冷却出来ないためオーバーヒート

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具体的には、

  • 腎の低下:頻尿・尿閉・夜間尿・こしけ・生殖機能低下
  • 腎の潤い不足:過敏性膀胱炎・頻尿
  • 脾の低下:ふらつき・元気のなさ・食欲不振
  • 心の過熱:口渇・イライラ・不眠・のぼせ・火照り

全てでは無いですが、こんな症状が起きます。清心蓮子飲を使いたいタイプの方には、上にのぼせや不眠・イライラ、下に冷えを持つ方が多いのですが、漢方の言葉ではこれらを心腎不交といいます。

腎についてはこちらもご覧ください↓↓↓↓

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図にまとめてみました。

猪苓湯と清心蓮子飲

繰り返しますが、外因(外邪)によって起こったら猪苓湯・五苓散・五淋散などを使い、内因なら清心蓮子飲を使います。

清心蓮子飲の構成生薬

清心蓮子飲は泌尿器の処方として猪苓湯などと比較されることが多いのですが、どちらかというと仲間は補う処方である八味地黄丸、牛車腎気丸、天王補心丹などです。生薬を比較してみました。

処方名 構成生薬
清心蓮子飲 蓮肉・茯苓・車前子 麦門冬・人参・黄耆・甘草・黄芩・地骨皮
八味地黄丸 茯苓・地黄 沢瀉・山薬・山茱萸・牡丹皮・桂皮・附子
天王補心丹 茯苓・地黄・柏子仁 当帰・麦門冬・酸棗仁・天門冬・遠志・桔梗・丹参・党参
五淋散 茯苓・地黄・車前子 黄芩・山梔子・沢瀉・木通・滑石・甘草・当帰・芍薬

まとめてみると思っていたよりバラバラです(^-^;;;

地黄は腎を補う力は強いのですが、やや胃にもたれる傾向があります。それを蓮肉に変えていますので、胃もたれを起こしやすい方には清心蓮子飲は良い処方ですね。

効果が薄い傾向がありますので、清心蓮子飲+牛車腎気丸、清心蓮子飲+八味地黄丸(冷えているとき)、清心蓮子飲+四逆散(ストレスの強いとき)などとして組み合わせて使うと良いかもしれません。

虚熱(ほてり)があって頻尿でという場合は、杞菊地黄丸を併用するとか。亀板などの生薬、亀鹿仙を併用するのもいいかなと思います。

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清心蓮子飲のポイントは「蓮肉」です。「蓮」といえば、7~9月に大輪の花が咲き・・・上野公園が有名ですね。当薬局の近くの公園でも蓮が咲いていますよ。そして蓮葉茶は「おしっこを良く出す」民間薬として販売されています。

しっかりと尿を出し切る・・・利尿剤としてなら蓮葉を使えばよかったのですが、清心蓮子飲は「内果皮の付いた種子(蓮肉)」を使っています。なぜなら、蓮肉には①腎を補うこと②尿の漏れを止ること(固渋)③心の熱を冷ますこと、と3つの働きがあるためです。

と、よい生薬をうまく組み合わせた処方なのですが。なぜか「効果がいい!」という方が少ないので他の処方を組み合わせています。

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症例、口コミ

50代女性、疲れると膀胱炎のような症状

[st-mybox title=”50代女性” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]

50代女性 身長155cm程度、デパートの衣料部門で働く。バタバタとした日を送っていたが、決算期に長期間勤務をして以降疲れると残尿感(違和感)が出始め、1時間に1回ぐらいトイレに行く。病院で検査をするも、菌が無い、自律神経の問題と言われて困って来局。40代の頃から逆上せあり。更年期を感じることも。口は渇く。昔から仕事は早いと言われていた。テキパキするのが好き。便通は正常。睡眠はやや短め、疲れが抜けない、食欲が細くなってきた気がする、(後略)

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尿のトラブルは思ったよりも深刻です。仕事・通勤で尿意を感じても、手近にトイレがあるとは限りません。

この女性の場合、よく状況をお聞きすると、ポイントは「疲れる・イライラすると酷くなる」ことと感じました。「もう50代だし、膀胱が弱ってるのかねー」としょんぼりしていましたが「疲れなかったら大丈夫ですよ」と、清心蓮子飲と○○○○○を組み合わせてお渡し致しました。

良く効いたようで、1ヶ月ほどして「最近はそういった症状がないの」とお電話いただきました。ただ、仕事はまだ忙しくて疲れやすいようで、それを改善する処方は継続してもらっています。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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