目眩には大きく分けて回転性、浮動性の二種類があります。なかでも、回転性目眩は、漢方で改善することも多い症状です。
回転性目眩とは、脳の平衡感覚を司る、内耳の異常で、「天井がクルクルと動くような」症状が起こります。また、それに付随して、耳鳴りもしくは難聴、頭痛などを起こす場合もあります。
病院では、内耳のリンパ液が浮腫を起こしたものと考え、むくみを改善する処方やビタミン剤や炎症を取る処方をされる場合が多いです。※メリスロン、セファドールやメチコバールなどはよく処方されます
目眩が治った
30代の女性のご相談です。十数年前に回転性目眩を起こしたとの事ですが、そのときも漢方薬を服用して改善しました。最近、仕事で忙しく、また、ストレスがひどくなったためか、再発したとの事で、ご相談がありました。
天が回転しているようで、地に足がつかなくて、、、起きているよりも寝ていた方が楽だけれども、”ベットで寝ていても目眩がひどくてたまらない”、とのことで、ご主人様に付き添われての来店でした。
お話をお聞きして、このときには沢瀉湯(冒眩散)という処方に少し体を元気にする別の処方を加えて、お勧めしました。1~2週間程度で、少し改善して、、、付き添い無しで歩けるようになるまで、1ヶ月程度かかりました。
その後はストレスなどによる短期間の再発はありますが、おおむね酷くならず、すごされています。
漢方での目眩の考え方
漢方では目眩の体質を「痰湿、肝陽上亢、腎虚」などに分けて考えます。なかでも店頭でよく見るのが「痰湿」と言われる体質。先の例や、一般的にメニエールといわれている方も、「痰湿」の方が多いです。痰湿は、「水はけの悪い畑」を想像してください。
「水はけ」が悪いと、土が水を吸って膨張しますよね。この膨張が、内耳という平衡感覚を司る場所で起こると、他の空間を圧迫して、目眩になります。
体質を改善するためには、水はけを良くする事、そのため、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、沢瀉湯、真武湯などの水はけを良くする処方を使います。
また、肝陽上亢、これは高血圧やストレスの多い方によくみられ、たとえば、お湯が沸いているヤカンを想像してください。
湯気を出さないようにしよう、と思ったら、ヤカンの火を止めて、熱を冷ます必要があります。同じように、ストレスなどの原因を取り除き、のぼった熱を下げる処方を中心にします。釣藤散はよく使いますが、それ以外にも竜胆瀉肝湯などもこういった処方の一つです。
注意してほしい「目眩」
下記の症状が付随する目眩には注意してください。TIAといって脳梗塞の前兆の可能性があります。症状は、急に起きて1日以内に消える可能性がありますが、念のため病院にて診察を受けてください。
「体の片側のしびれる」 「ろれつがまわらなくなる 」 「物が見えにくくなる(二重に見える) 」 「視野が欠ける 」 「お箸や茶碗を落とす(持っても落としてしまう)」