イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)の処方名は「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」と呼びます。衛益顆粒の「衛」は防衛の「衛」。漢方では「衛気」が身体を巡回して身体を守っていると考えています。これは現代の免疫力と同じ考え方です。
玉屏風散はイスクラの衛益顆粒S、小太郎漢方製薬の匙倶楽部ブランドなどから発売されていて、医療用医薬品、ツムラからは販売されていません。
玉屏風散の効能効果
玉屏風散の効能効果を見てみましょう。
玉屏風散:身体虚弱で疲労しやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠感、ねあせ ※玉屏風散エキス細粒G「コタロー」より
花粉症など免疫力調整への効果
北海道薬科大学大学院漢方薬物研修室鹿野教授(当時)の研究で、杉花粉によるアレルギー性鼻炎病態モデルを用いての研究で「マウスに花粉を吸入して花粉症を発症させる実験」が行なわれました。杉花粉を一定量一定期間吸入すると花粉症体質になり、その後は杉花粉でアレルギー性鼻炎のような症状を起こします。その実験の中で 1衛益顆粒を一定期間投与したマウスでは杉花粉を吸入しても花粉症体質にならないこと 2花粉症体質にしたマウスに衛益顆粒を一定期間投与していると杉花粉を吸入させても症状が軽減することがわかりました。
漢方では衛気といわれていますが、私としては「衛気が低下する=免疫力の調整機能が低下(虚弱体質)→ちょっとしたアレルゲンでも過剰反応→花粉症の症状」と考えます。花粉症だけでなく、ホコリやダニなどでも起こります。衛益顆粒はこういった体質を改善する漢方の処方です。
寝汗がダラダラ
イスクラ衛益顆粒S
寝苦しい夏。「起きると布団が汗でぐっしょり」「起きても疲れている」という60代の女性のご相談がありました。 起きているときに汗をかくのは正常ですが「寝ているときに疲れるぐらいたくさん汗をかく」のを漢方では「衛気の低下」と考えます。この場合も、衛益顆粒が有効です。この症状は、夏だけではありません。冬にも起こりますし、空調のしっかりとしている病院でなぜか汗が出るようなら、衛益顆粒の出番です。
※腸内の細菌も免疫力にはとても関係しているため、アトピー性皮膚炎など「免疫が混乱した体質」にはフェカルミンという酪酸菌の処方の併用もお勧めしています。
イスクラ衛益顆粒がリニューアルします
イスクラ衛益顆粒リニューアルのお知らせが届きました。2023/04出荷分より製法や用量が変更するようです。用量が1.3g→1.8gに増えます。漢方の処方としては2g~3gが多いので、一般的な量に近づき飲みやすくなりました。
旧 | 新 | |
製品名 | イスクラ衛益顆粒S | イスクラ衛益顆粒 |
成分 | 本品1日量3包(3.9g)中、下記成分及び分量の生薬より製した衛益顆粒エキスS 1.5gを含有します 黄耆6.0g 白朮2.0g 防風2.0g ※添加物として乳糖、結晶セルロース、部分アルファー化デンプンを含みます。 | 本品1日量3包(5.4g)中、下記成分及び分量の生薬より製した衛益顆粒エキス6.3gを含有します 黄耆6.0g 白朮2.0g 防風2.0g ※添加物として乳糖、結晶セルロース、部分アルファー化デンプンを含みます。 |
容量 | 1包1.3g | 1包1.8g |
成分欄を見ると旧は1.5g、新は6.3gと一気に4倍になっています。たくさんエキスを使ってるんだーと思いがちですが、旧は乾燥エキスの重量、新は液体状のエキスの重量。つまり湿った重量なので重くなってるだけ・・・です(水分が含まれている)。新のほうが若干甘くなっている?という話もありましたが、私には判別できませんでした。効果などに変更はありません。
人参と黄耆の使い分け
人参と黄耆。どちらもエネルギー補充の「補気薬」として使われるのですが、大きな違いがあります。ざっくりと図にしてみました、人参は気を補い潤す、イメージとしては「井戸を掘る感じ」です。黄耆は同じ気を補う生薬ですが「水路を作る感じ」です。
生薬 | |
人参 | 大補元気、補脾益肺、生津止渇、安神増智 |
黄耆 | 補気昇陽、補気摂血、補気行滞、固表止汗、利水消腫 |
Baidu百科から翻訳、中医臨床のための中薬学から抜粋
玉屏風散
もちろん、十全大補湯・補中益気湯・帰脾湯など併用している処方もあります。
この商品は店頭のみの販売になります