ガンに罹患された患者さん。その患者さんの治療効果を確認する方法として「5年生存率(5年相対生存率)」があります。
国立がん研究センターによれば、
5年相対生存率:あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標。あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表します。100%に近いほど治療で生命を救えるがん、0%に近いほど治療で生命を救い難いがんであることを意味します。 注)日本人全体とは正確には、性別、生まれた年、および年齢の分布を同じくする日本人集団。(国立がん研究センター)
と定義されています。
患者さんとお話ししていて、よく5年相対生存率を「完治の割合」と誤解されています。5年相対生存率は、完治して完全回復している人も含まれますが「衰弱しているが生存している」という方も、すべてカウントされています。
ただ、数値に全く意味がないというワケでなく、新しい治療が開発されたら助かる人も増え、5年生存率も増えますので、
そのがんが、どの程度助かりやすいか(治療効果)を示す目安
になります。
現在の主な癌の死者数と5年相対生存率ですが(肺・胃・大腸・肝臓・乳がんは5大ガンと言われています)
癌の種類 | 年間死亡者 | 5年生存率 |
---|---|---|
肺 | 70293 | 36% |
胃 | 49830 | 64% |
大腸 | 45744 | 67% |
肝臓 | 31875 | 29% |
乳(女性 | 12731 | 88% |
膵臓 | 28829 | 6% |
※読売新聞 2013/04/14 暮らし面より抜粋
※統計は、2011年の人口動態統計、全国がんセンター協会のまとめより
このようになっています。乳がんの治療率が高いです。これは、治療しやすいというのもありますが、成長が遅いため早期発見可能ということもあります。こういった成長の遅い癌は5年生存率よりも10年生存率を目安にします。
10年生存率を目安にするがんとしては、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、あと乳がんなどがあります。
あと注意したいのは5年生存率とはあくまで、平均的なデータです。つまり、早期発見すればそれだけ高くなりますし、末期の場合は難しくなります。これを進行度別の5年生存率といいます。
例えば、進行度別の膵臓癌手術の5年生存率のデータによると、
(日本膵臓学会91~00年データ:データが古いのであくまで参考です)
進行度 | 全国5年生存率 |
---|---|
Ⅰ | 53% |
Ⅱ | 46% |
Ⅲ | 28% |
Ⅳa | 11% |
Ⅳb | 4% |
と、なっています。膵臓癌が5年生存率が8%といっても、初期にさえ発見すれば5年生存率はかなり上昇します。
参考文献を探したい場合、例えば、厚生労働省の人口動態調査、国立がん研究センター、などを参考にして下さい。