腰痛と漢方薬(痛みは酷くないが、長く続いている)

腰痛は冷える時期や梅雨の時期になると、ご相談が多くなります。急性の腰痛、例えばぎっくり腰などは病院を受診することが多いようです。が、慢性の腰痛では病院でなかなか治らずに漢方薬を試してみたいとお話しされることが多いです。 

今回は「虚証」のタイプを解説します。

虚証のタイプ、色々とありますが、まず「実」のタイプと違い、鎮痛剤などでもほぼ効果がないことが多いです。

  1. それほど激痛ではない
  2. 比較的慢性で、しくしくと反復する (病院では、特に異常はないと言われている) 

虚証のタイプ別、漢方処方

1)寒証

冷え症・下腹部痛・月経痛・冷房病・痛みはあるがそれほどでもない・冷えると辛い
冷えをとる処方:五積散、温経湯、疎経活血湯、独歩顆粒など

2)腎虚

比較的高齢・冷え気味・動きにくい様な腰痛・かすみ目・慢性的なしびれ
腎を補う処方:参馬補腎丸、八味地黄丸、牛車腎気丸など

3)全体の虚弱

全身の疲労倦怠感・全身の衰弱や重だるさ
全体的な気血を補う処方:十全大補湯、人参養栄湯、参茸補血丸など 

虚証の腰痛

 

虚証の腰痛の症例:80代女性の腰痛、季節の変わり目で足が痛くなる

80代女性で、腰の痛みでご来店になった症例です。改善してからも予防のため継続して服用されています。坐骨神経痛で、季節の変わり目で、特に冷えたりすると痛む。激烈に痛いわけではないが、シクシクと続いてつらい。病院を受診しており、湿布や痛み止めをもらっているが今ひとつ効果がない、ということで漢方相談になりました。

毎年繰り返し、また高齢のため優しい補う処方も考えて、独歩顆粒、芍薬甘草湯、四物湯を加減してお渡ししました。服用し始めると、痛みも楽になるとのことで、暫く継続した後、独歩顆粒の量を減らして、冠元顆粒を加え調整しています。

降圧剤なども服用していまして、朝にやや血圧が高くなることもあったとのこと。併用してからは血圧も安定し始めました。現在も元気にご来店いただいています。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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