漢方薬を保存する本当の方法

漢方薬の保存方法、を調べると、

煎じ薬、エキス顆粒は、「冷蔵庫や湿気の少ない場所」で「日光も避けて保存」

と書かれています。冷蔵庫?湿気の少ない?と結構「漠然」としていますね。 

粉末の漢方薬の保存方法のまとめ

劣化する原因は「湿気」によって、微生物が活性化すること。パンがカビる事と一緒です。保存するためには、湿気を極力少なくすることが正解です。

グラシン紙(写真参照)で分包している場合。チャック付きビニール袋に入れて、室温に保存して、目安として1ヶ月程度は大丈夫です。時々、冷蔵庫で保存される方がおられます。冷蔵庫って意外と湿度が高いです。その場合は、必ず「チャック付きビニール袋」に入れて保存してください。

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※ 先ほどはだいたい1ヶ月程度は大丈夫、とお話ししましたが、特殊な処方もあります。製法上の特製もあるのですが、とても吸湿性がよく、気を抜くとすぐに固まってしまいます。当薬局では(特定のものについては)湿度に気をつけつつ2~3週間程度は問題が無いと考えています。

アルミの分包紙の場合

一般的に製造日から3~5年は問題ありません。分包されている漢方薬なら、まず軽く振ってみてください。カサカサ・サラサラ、と粉状ならまず大丈夫です。逆に、アルミの分包なのに固まっている場合は吸湿している可能性がありますので、破棄してください。

カバンの中に入れていて、押しつけられてピンホール(目に見え無いぐらいの小さな穴)が空いてしまった。そんな可能性があります。 

粉状ならどうして大丈夫??もうちょっと詳しくお話しすると。

お菓子の「オカキ」は乾燥していると長持ちします。湿気が多くなると、カビが生えてしまいます。種類にもよりますが、乾燥している漢方薬はほとんど劣化しません。逆に、湿気が多くなると、ケーキングという「粉が固まった」状態や、変色などが起こります。 

一つの目安として、漢方薬で水分含量が7%を超え、水分活性が0.5%を超えると微生物の繁殖が起こるといわれています。 例えば、補中益気湯(10~12%)など吸湿性の高い漢方処方の場合。梅雨の時(湿度:60%)に、グラシン紙で保存すると、10日程度で水分含有量は7%を超えます。しかし、チャック付きビニール袋に入れると30日経過後も水分含有量は5%台になります。 

すべてがグラシン紙で、或いは吸湿するとはかぎりません。ただ、ご高齢のため服用量を減量してお勧めする場合など、店頭では、まず、チャック付きビニール袋にいれて保存することをお勧めしています。 

※参考:TSUMURA QUALITY&TECHNOLOGY REPORT NO2

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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