漢方漫歩【1993】

湿の病気代謝システム治す

湿の病気代謝システム治す

湿(注:水分代謝の異常)の病気に対して、中国漢方にはいろいろな治療法がある。それは、水分の代謝はおもに肺・脾・腎の共同作用とする、漢方独特の考え方からくるものだ。(漢方漫歩より)

口から胃に入った水分は、脾(消化器系)で吸収され、肺へ運ばれて全身を潤し、一部は汗となり、やがて尿となって体外に排泄される。つまり、肺・脾・腎を1つの代謝システムとしてとらえるわけである。肺の働きについては、説明の必要がある。

やかんのフタには穴が開いている。この穴をふさぐと、お湯の出は悪くなる。肺は体全体の水分代謝における、この穴の働きをしていると思ってもらえばよい。

肺の働きが良ければ、水分はスムーズに全身をめぐり、腎臓へ送られる。以上のことから、病理的な水分が体内にたまって引き起こされる湿の病気に対して、中国漢方では代謝システム全体が治療の対象となる。

中国漢方がよくわかる本 漢方漫歩

上半身の症状、頭重感や顔面部にむくみが顕著な場合は、システム上部の異常ととらえて肺から治療する。小青竜湯などの漢方薬で肺の働きを改善すると、上部に停滞している水分は下に降りてくる。胃のむかつき、食欲不振などの症状となって現れる脾胃(消化器系)の停水には、霍香正気散や香砂六君子湯がよい。

小便の出が悪い、足が重い、下半身にむくみが目立つといった症状には、利尿作用の強い五苓散や、腎の働きを強める八味丸などを用いる。

路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/06/06

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ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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