花粉症根治は「正気」高めて
花粉症の季節だ。なぜこの時期、日本で花粉症が猛威をふるうのか。杉の木が多いという外的要因もあるが、中医学の立場から見ると、日本人の体はいかにも正気(防衛力)が弱いという気がするのだ。(漢方漫歩より)
中医学には「正気が体の中にあれば、外部の邪は体内に入れない」という考え方があり、正気の存在を特に重視している。
正気が弱まると、気候や気象の変化に応じられず病気が体に侵入しやすくなる。そのことを十分理解して、食事や養生法などによって日ごろから健康増進に努めるというのが、中国人の健康法の基本である。
モノが豊かで、生活が便利になればなるほど、現代人の体から防衛能力が欠落していくとしたら、これは深刻な問題だ。
さて、花粉症対策である。
中医学では、鼻や目の症状をおさえる標治(対症)療法と、体質改善によって、外邪を寄せつけない体をつくる本治(根本)療法の、二段構えで治療にあたる。
まず標治では、花粉症特有の鼻水やクシャミを体の冷えからくる症状としてとらえ、体を温め抵抗力を高める温性の小青竜湯をよく使う。
目の角膜の充血、かゆみは中医学的にいうと風熱の症状である。熱性の症状をおさえる天津感冒片が効果を上げている。
本治では、八仙丸や八味丸などの体質改善薬によって、体の防衛能力を高める。花粉症は体質改善によって根本から治すことが重要である。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/04/11