不妊治療なのに胃腸虚弱の漢方?!

 34歳で第二子不妊でのご相談です。ご主人が兄弟に囲まれて育ったので「ぜひこの子にも!」と頑張ってはいたのですが、なかなか授からない。上のお子さんが幼稚園に通い出したので、もうそろそろ本腰を入れて・・・ということでご相談いただきました。

急がば回れ、胃腸から改善する不妊治療

基礎体温を見せていただきますと、特に問題なく二相になっていて。しっかりと28日周期です。最近通い出した不妊症の専門病院では「次の周期から人工授精にしましょうか!」とのこと。ただ、できれば自然周期での妊娠を希望しています。

「体調はどうですか?」とお話をお聞きすると・・・。食が細い。疲れやすい、風邪を引きやすく、下痢をしやすい、午後になると疲れて眠くなる、お腹が冷えて痛くなる、という自覚症状。漢方で考えると「脾気虚」といわれる証が考えられます。最初は「帰脾湯(きひとう)」という処方を中心に複数の処方を服用してもらいました。

加味帰脾湯(カミキヒトウ)という方剤です。胃腸を丈夫にし、貧血症状を改善します。また、不安や緊張、イライラ感をしずめ、寝つきをよくします。体が弱く繊細で、貧血気味、さらに微熱や熱感をともなうときに向きます。加味帰脾湯

加味帰脾湯にはどこにも不妊!とは書かれていませんが、不妊症に悩む方に加味帰脾湯はいい処方だなと考えています。ただ、なかなか胃腸虚弱といわれても納得できないらしく、こんな質問も。

胃腸も心配ですけど、不妊症は治りますか?」 

『胃腸は栄養を取り入れエネルギーに変える体の基本です。漢方では「脾」といって、脾の調子が整うと、全体の調子がよくなります。これは卵にもしっかりと栄養がいくことに繋がります。体調も実感できるはずです。』

漢方的に考えると、脾が弱くなると、気も血も作られにくくなり、子宮・卵巣などの「腎」のバランスも悪くなります。こういった場合、少し遠回りですが、脾から立て直していく必要があります。

その後様子を見て参茸補血丸に小建中湯・六君子湯などを加減してお渡ししていました。最初のご相談から、半年ぐらい経った頃、 「連絡がないな・・・」と思っていたら。「授かりました!」との一報を頂きました。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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