遺精(夢精)と漢方薬

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夢精と遺精

男性の「精」のご相談は色々とご相談がありますが、そのなかでも遺精の相談は1年間に数回はあります。ご相談の傾向として、13~16歳の青年期・疲労感のひどい若い男性か・お年を召した男性に多く感じます。機能的に問題が無ければ病院では手の出しようもありませんが本人はとても気にしている、そんな病状ですので、漢方である程度収まってくるととても喜ばれます。

性行為やマスターベーションによらずに射精してしまうことを遺精と呼びます。夢精はこのなかで睡眠中にみられるものを指します。goo

夢精と遺精の違い

夢精・遺精とはどちらも精が漏れる(射精する)、というところでは一緒ですがざっくりと分けてみると、

  • 夢精=寝ているときに射精する、何らかの興奮によって射精する
  • 遺精=起きているときにも射精する、1日に複数回漏れることも

夢精は寝る前にオナニーをして興奮を静めることで改善する場合もあります。また、床ズリオナニーがクセになって寝ている最中に自然と押しつけ射精してしまうという例もあります。生活習慣を改善することで改善する場合も多いですが、下記の症例のように疲れていて自然に・・・という場合は漢方薬をお勧めしています。

「目が覚めているときにいつの間にか射精している」場合は「病的遺精」という状態で、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。一度、泌尿器科を受診するようにしてください。

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漢方薬と夢精と遺精

症例1 *当薬局例)30代男性の夢精

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30代男性 夏の終わり頃に来店。主訴は夢精胃腸虚弱あり。食欲が無くなってきた。やせ形。屋外で体力を使う職業だが疲労感が抜けない、夏より夢精が続いている(1ヶ月程度、週に数回)。目眩あり。その他自覚症状として気になる点はない(略

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弁証論治:心腎不交・脾気虚 (一部略
処方:桂枝加竜骨牡蛎湯+α

結果:2週間程度で夢精が無くなったとの連絡がありました。その後も胃腸虚弱を治して体力が元に戻るまで、ということで処方を変えつつ継続して終了となりました。

症例2 20代男性 陸上競技をして

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20代男性 頻繁に起こる夢精。一晩に2~3回起こることも有り。朝起きたときに頭痛が起こることも。学生の頃から陸上競技をしているが、走っているときにも局所が敏感になって擦れただけで勃起しそうになる。泌尿器科でも現状では処方はない、改善できないといわれた。仕事は営業職で、ストレスが酷く早く辞めたい。10代後半では月に数回だったが最近では頻繁に夢精するようになってきた。夢精する瞬間にすぐに目が覚めて射精したことを感じる。止めることが出来ない。アルコール(ビール)を飲むと楽になる気がする。仕事から帰ったり、陸上競技をした後はへとへとになってベットで倒れてしまう。

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処方:敬震丹・麦味参顆粒・桂枝加竜骨牡蛎湯・α

結果:症状は軽くなってきている(前ほど局所が敏感にはならなくなった)。2~3日に1回で済んでいる。

7~8ヶ月ほど継続して頂いて、処方を減らし1年ほどで頻度が減ったので終了となりました。仕事の忙しいときなど時々来店されています。

症例3 *参考文献参照)29歳・遺精

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29歳 主訴は不眠頭痛、遺精
不眠、頭部疼痛、時に目眩。夜間はだるく、寝付けず、入眠すれば盗汗、多夢、遺精あり(中略)

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弁証:陰虚陽旺・心腎不交
治法:滋陰益腎・平肝濳陽・固渋下元

処方:挹神湯加減※
※ 独自処方で日本のエキスにはありません。天王補心丹+αなどをお薦めしたいと思います。これも体の疲れなどによるもので、不眠によりからだが疲労し、始終興奮するという悪循環になっていた、と考えられます。

漢方薬のその他の処方

その他、年齢や体調、体質を考えて、海馬補腎丸などの補腎薬を使うこともあります。夢精があると翌日まで疲れが残っていますのでそれが解消されるだけでもだいぶと楽になります。ピタッと止まると言うよりも射精の回数が少なくなるというものが多いです。
参考文献:症例から学ぶ中医学弁証論治

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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