漢方漫歩【1993】

「弁証論治」で機敏に対応

弁証論治べんしょうろんち」で機敏に対応

日本でも東洋医学への関心が高まり、中国漢方の医療現場がテレビでも紹介されるようになってきた。ひと抱えもありそうな煎じ薬の大きな紙包みを見て、中国ではいったい何日分の薬を出すのかと、私も良く聞かれる。(漢方漫歩より)

 

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中国では薬の量が日本の3倍、4倍はある。

あれで3日分だと言っても、簡単には信じてもらえない。中医学では、初期のうちは3日から1週間単位で薬を出すのが一般的である。

 

もちろん症状が安定すれば同じ薬を長期服用するが、日本の一部の専門家のように最初から1か月、2か月単位でまとめて薬を出すことはまずない。

 

3日から1週間服用すれば、症状に変化が現れる。症状に変化があれば、薬も当然変わるというのが中医学の考え方であり、そのことを患者もよく心得ている。

これは、中医学の病気のとらえ方からくるものだ。中医学では、患者の自・他覚症状から「証」を求め、個人差を重視し、その人に合った方剤を決めている「弁証論治」という考え方で治療にあたる。

 

この「証」とは、その時々の病気の姿であり、経過とともに変わるものだという基本認識がある。

 

症状が軽くなれば、それに対応して薬も変わる。気候が変われば、体質の変化に応じて薬も変わる。漢方が「時間の医学」といわれるゆえんもこのへんにある。

 

中国人はモノごとを百年単位で考えると言われるが、投薬に関しては日本人よりも短いサイクルで、機敏に対応しているようだ。

 

路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/04/18

  • この記事を書いた人
福田優基

ゆうき先生

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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