清心丸は中国で人気の処方で、脳梗塞・脳卒中、麻痺、精神疾患や心疾患(動悸)などに使われています。それを日本流に改変したのが、日本で発売されている清心丸。この清心丸ですが、日本では疲れ・気付け・動悸といった穏やかな作用になっています。
こちらで中国と日本の処方の違いを解説しています。
長城清心丸と日水清心丸などの違いを表にまとめました
「清心丸」と名前がついていても、処方の内容が会社ごとに違っています。基本的に「牛黄・人参・羚羊角」がメインの生薬になり、含有量で金額も変わってきます。同じ生薬の量なら同じ効果か、というと、やはり製法・生薬の産地もちがってきますので全く同じ効果にならないのが漢方の面白いところです。
現在、当薬局で清心丸の取扱はしておりません(メーカーの廃盤や欠品などの理由により)。代替え処方をご利用ください。
用法用量 | 牛黄 | 甘草 | 羚羊角 | 人参 | 芍薬 | 桂皮 | ||
長城清心丸 アスゲン製薬 廃盤 | 1回1丸 1日2回 | 300mg | 300mg | 270mg | 300mg | 240mg | 180mg | 防風・川芎・ 当帰・阿膠・龍脳 |
健創清心丸 健創製薬 旧:日水製薬 | 1回1丸 1日2回 | 248.7 | 309.6 | 278.8 | 309.6 | 309.6 | 298.6 | 防風・川芎・ 当帰・阿膠・ 茯苓・山薬・龍脳 |
胡慶餘堂 牛黄清心丸 一元製薬 廃盤 | 1回1丸 1日2回 | 300 | 300 | 270 | 300 | 240 | 180 | 防風・川芎・ 当帰・阿膠・龍脳 |
太上安宮丸 八ツ目製薬 廃盤 | 1回1丸 1日2回 | 240 | 300 | 270 | 300 | 300 | 240 | 防風・川芎・ 当帰 |
星火牛黄清心丸 イスクラ産業 廃盤 | 1回30丸 1日2回 | 50 | 300 | 210 | 300 | 240 | 180 | シベット散 防風・川芎・ 当帰 |
日水清心丸は、2020年4月から親会社が日水製薬株式会社→ゼリア新薬工業に変更になりました。発売元の日水製薬医薬品販売株式会社も健創製薬に名称変更されました。日水清心丸→健創清心丸への名称変更があり、価格も変更になりました。
※生薬量は1丸中(もしくは1回服用量中)に統一しています
※1回単価は用法用量での服用においてかかる金額(概算 2020年)です
※牛黄の価格はかなり変動しております。購入時価格は購入店舗にお問い合わせください。
※製剤上の添加物(トウモロコシデンプン・蜂蜜・金箔など)は記載していません
清心丸が無くなる?!
日本で販売されている「清心丸」は、今後消えていく運命にあります。理由として、
- 牛黄の値上がりが激しい
- 羚羊角が入手できない
この2点が考えられます。
原因1:牛黄の値上がりが激しい
牛黄は毎年かなりの勢いで値上がりが続いて、高値で安定しています。牛黄が主薬ですから、抜いて作ることは出来ない、赤字のため製造しなくなった清心丸が増えました。牛黄の純末でも販売価格は1g(1000mg)あたり20000円~50000円なので・・・。他の生薬も加えて練って金箔を貼ってという工程がありますから今後とも厳しいでしょう。
原因2:羚羊角が入手できない
羚羊角は中国から輸入に頼っていましたが、ワシントン条約のため現在は輸入が規制されています(ほそぼそと許可が下りる場合もあるらしいです)。今後、日本国内の生薬量が少なくなったら、製造されることは無いでしょう。
よく似た処方、牛黄清心元との違い
牛黄清心丸に似た商品名に「牛黄清心元」があります。日本製薬工業の「妙泉 牛黄清心元」、栃本天海堂の「廣東 牛黄清心元」、明治薬品の「東方 牛黄清心元」と複数のメーカーから販売されていますが、だいたいは下記の処方構成となっています。
牛黄清心丸から牛黄など動物生薬の量が減り「麝香・柴胡」など気の流れを良くしたり補気の生薬が加えられています。
用法用量 | 牛黄 | 甘草 | 羚羊角 | 人参 | 芍薬 | 桂皮 | ||
長城清心丸 アスゲン製薬 廃盤 | 1回1丸 1日2回 | 300mg | 300mg | 270mg | 300mg | 240mg | 180mg | 防風・川芎・ 当帰・阿膠・龍脳 |
牛黄清心元 | 1回半丸 1日2回 | 15 | 160 | 108 | 80 | 55 | 65 | 麝香・茯苓・川芎 桔梗・柴胡・山薬 蒲黄・神麹・阿膠 大豆黄巻・黄芩 麦門冬・当帰 防風・白朮・龍脳 白蘞・生姜・大棗 |
※生薬量は1回服用量に統一しています
※1回単価は用法用量での服用においてかかる金額(概算)です
電話でお客様から「楽天で牛黄清心丸って検索したら黄色いの売ってるけど?!」という問い合わせがありました。ビックリして検索したのですが、、、これ牛黄清心元ですので要注意。
清心丸の代替処方
牛黄清心丸が無くなっていくので代替え処方を問い合わせいただきますが、、、、。当薬局の場合、こんな感じで提案しています。
「敬震丹1回1片+柴胡剤+α」というように代替えを提案しています。霊黄参を代替につかっていたのですが、あまりに値上がりして・・・予算的な問題で敬震丹をお勧めしています。効果的には敬震丹でもよく効いています。
敬震丹・救心感應丸気・霊黄参と、先ほど説明した牛黄清心元を表にしてみました。
用法用量 | 牛黄 | 甘草 | 羚羊角 | 人参 | 芍薬 | 桂皮 | ||
敬震丹 | 1回1片 1日3回 | 2.4 | 17.7 | 19.6 | 11.8 | 麝香・サフラン 香附子・沈香 カンショウ・牛胆 丁子・木香・龍脳 | ||
救心感應丸気 救心製薬 | 1回3粒 1日3回 | 3.3 | 3.3 | 25 | 麝香・沈香 動物胆・龍脳 ウルソデオキシコール | |||
霊黄参 | 1回2粒 1日2回 | 50 | 300 粗エキス 150 | |||||
牛黄清心元 | 1回半丸 1日2回 | 15 | 160 | 108 | 80 | 55 | 65 | 麝香・茯苓・川芎 桔梗・柴胡・山薬 蒲黄・神麹・阿膠 大豆黄巻・黄芩 麦門冬・当帰 防風・白朮・龍脳 白蘞・生姜・大棗 |
※生薬量は1回服用量に統一しています
※1回単価は用法用量での服用においてかかる金額(概算)です
※製剤上の添加物(トウモロコシデンプンなど)は記載していません
※価格は2023年現在です。価格は変更される可能性がありますので、お問い合わせください。
基本的に、敬震丹は牛黄と人参だけの処方なので他の処方と組み合わせやすいです。例えば清心丸を服用するための主訴が、
- ストレスによって頭がぼーっとする:敬震丹+柴胡疎肝湯
- 体が疲れやすくて頭がふらつく:敬震丹+麦味参顆粒
- からだが慢性的にだるい:敬震丹+補中益気湯
- 体に元気がなく腰や足に冷えがあり痛い:敬震丹+真武湯(or 独歩顆粒)
あくまで一例ですがこういった処方も考えられます。敬震丹や救心感應丸気は牛黄の量は少なく感じると思いますが、代わりに麝香が含まれています。麝香はアロマのようなもので芳香が強く、これもストレスからの胸の詰まり・頭のつまりに効果があります。
牛黄の純末の価格はこちらです。