夏冷え・夏バテの改善は衛気虚に注目!

毎日暑いですね、六月頃から熱中症という言葉はよくテレビやニュースで聴くようになりますが、夏バテのご相談も、10年前に比べて多くなったように感じます。高齢化社会だからなのか冷房が標準になったためか。屋外・屋内の温度差によって自律神経が乱れ、体がだるい、疲れやすいといった症状が現れます。 

昔は、冷房と屋外の往復の多かった営業さんや運転手さんが多かったのですが、最近では、一日中クーラーに当たる場所で仕事をしている、百貨店の販売員さんや病院の看護師さん、会社の事務員さんからの相談が増えています。 

食事を取ろうとしても食欲がない、食事が美味しくない、すぐに下痢をしてしまう、こうした胃腸虚弱(食欲不振)のご相談の場合、なかなか西洋薬で改善する事は難しいですが、漢方では勝湿顆粒という処方を愛用していますしそれ以外の体質にあった処方によって改善する事は多いです。

体がだるい、なんだか重い、夏なのに冷える、指先が冷たい、そういった症状は上記の胃腸虚弱とは違っていて、感覚的には「体温調節機能の低下」と考えてもいいです。 対処法としては、クーラーの設定温度を上げる、屋外で汗をかく運動する、などありますが、クーラーの設定温度を自分で調節できませんし、時間もなかなか取れませんよね。 

漢方での夏冷え・夏バテ対策

漢方でクーラーのために起こる症状は「衛気虚えいききょ」と考えられます。「えい」とは、なかなか聞き慣れない単語ですが、 たとえば、地球と大気の関係、 地球は人体、衛は大気です。大気がないと、隕石でボッコボコになってしまいますが、地球は大気に守られていることで、少々の隕石ではびくともしなくなります。 

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 同じように、人体も、「衛気」があることで、少々の異変、たとえばクーラーの風であったり、花粉症、ウイルスでも、問題なく過ごせる、逆に、衛気が不足すると、風邪を引きやすくなったり、疲れやすい、花粉症、風邪を引きやすいといった症状が出てきます。現代でいうところの、免疫力の概念でしょうか。 

衛気虚を改善する漢方としては「黄耆・白朮・防風」のエキスを抽出した処方:「玉屏風散ぎょくへいふうさん」が有名です。玉屏風散(製品名:衛益顆粒えいえきかりゅう)で全身のエネルギーを増やすこと、体の元気がない場合は生脈散しょうみゃくさん(製品名:麦味参顆粒ばくみさんかりゅう)、人参湯など気虚症状を改善する漢方薬、当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとうなど体を温め手足の血流を改善する漢方薬を併用すると楽になります。

数年前、珍しいことですが夏に起こるしもやけで困っていた奥様が来店されました。職場はクーラーの当たりやすい場所で、なかなか冷え性も改善しないとのこと。詳しくお話をお聞きして、衛益顆粒と当帰四逆加呉茱萸生姜湯をご説明し、生活の改善点をお話ししたところ、1ヶ月ほどで冷えもなく快調に生活できるようになったとご連絡がありました。その後は調整をしながら、年間を通して服用していただいています。

ご予算について

気虚を治す玉屏風散に当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桂枝伏苓丸、冠元顆粒といった活血系統の漢方薬を検討することで、夏の冷えや手足のしびれが改善します。その他、人参湯や麦味参顆粒などは体質に合わせて組み合わせ方が変わりますのでご相談ください。目安としましては、1ヶ月あたり8千円~2万円程度になります。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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