冷えると関節が痛む、腰が重い、雨の日になると体がだるくなる。そんな経験はありませんか?
「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」は、そんな冷えや湿気が関係する痛みやしびれに使われる、体を温め経絡を通す漢方薬です。
桂枝加朮附湯の効能効果
桂枝加朮附湯は「痛み止めの漢方」として有名です。効能効果を見てみると、
桂枝加朮附湯の効能効果:体力虚弱で、汗が出、手足が冷えてこわばり、ときに尿量が少ないものの次の諸症:関節痛、神経痛(ツムラ)
腰痛で「痛み止めのロキソニン」を連用しているご高齢の方に「こっちの漢方に変えてみて」と、病院からロキソニンの代替として処方されたりします。そんなことから「痛み止めの漢方」と言われていますが、すべてに効果はありません。適切な使い方で「すごく良く効く漢方」です。
どんな時に効くのか・・・私のイメージはこんな感じです。

イメージが伝わりますでしょうか。江戸時代の名医:吉益東洞(よしますとうどう)が、古典『傷寒論』にある「桂枝加附子湯」に「朮(白朮・蒼朮)」を加えて創案した処方とされています 。いわゆる湿気の多い日本にカスタマイズした処方です。
桂枝加朮附湯の使い方
生薬の構成を見ていきましょう。桂枝加朮附湯は、桂枝湯に蒼朮・附子を加えた処方です。
蒼朮:湿邪を排出する
附子:補陽(陽気を補う)・利水(余分な水を追い出す)・散寒(冷えを取る)
桂枝湯は主に風邪に使われる処方ですが、蒼朮(または白朮)・附子を加えることで方向性が変化していきます。単に温めるだけでなく、組織の余分な水分を除きながら、関節や神経の痛みを根本から和らげる働きが生まれます 。
| 処方名 | 処方構成 | |
|---|---|---|
| 桂枝加朮附湯 | 桂枝・芍薬・甘草・ 生姜・大棗・ 蒼朮・附子 | 処方により蒼朮or白朮のことがある |
わかりやすいように図にしてみるとこんな感じです↓↓↓↓↓

中医学的に効果を考えてみましょう。
| 温通経脈 | 経絡を温めて巡りを良くする |
|---|---|
| 散寒除湿 | 寒邪を散らし、余分な湿気を除く |
| 調和営衛 | 体の表面の守りと栄養のバランスを整える |
当たり前ですが桂枝湯によく似ています。+散寒除湿が加わります。
桂枝加朮附湯の応用
桂枝加朮附湯は処方を分解することで、色々な応用が可能です。

例えば、桂枝加芍薬湯+(附子・白朮)と考えると、桂枝加芍薬湯の散寒を強化して利水作用をアップした処方とも考えられます。
真武湯(附子・茯苓・蒼朮・芍薬・生姜)+(桂皮・炙甘草・大棗)と分解するなら、臓腑の虚寒があるタイプ(脾胃の虚寒)が寒湿をうけて浮腫みや下痢を起こした方にも効果があると考えられます。
使用上の注意
桂枝加朮附湯は、体を温める処方ですので、下記のような人には使いません。(使う場合は、慎重に使う必要があります)
関節炎で関節が赤く腫れている
発熱中もしくは体質的にのぼせやすい
附子に過敏な人
市販の代表的な製剤
- コタロー「桂枝加朮附湯エキス細粒G」
- クラシエ「桂枝加朮附湯エキス顆粒」
などがあります。服用の目安は、1回1包を1日3回、食前または食間に服用。
冷えが強い方は、温かい白湯での服用がおすすめです。
整形外科領域での活用
桂枝加朮附湯は整形外科など病院でも広く使われています。痛みの症状、例えば坐骨神経痛(腰椎椎間板ヘルニアなど)・ヘバーデン結節・ブシャール結節(手指の変形性関節症)・閉塞性動脈硬化症にも使われます。
6週間ほどの服用で効果が実感できる例が多く、冷えによる末梢循環障害に伴う痛みに有効と考えられています。附子末の追加(少量)や、越婢加朮湯の併用による相乗効果も報告されています。
また、
- 肩関節周囲炎(五十肩)で冷えが関係するタイプ
- 頚椎症による上肢の神経痛
- 疎経活血湯との併用で、冷え+血行不良のケース
脳出血後の後遺症・麻痺・顔面の疼痛・冷えによる腹痛にも応用されるなど、使い勝手の良い処方です。
まとめ 冷えによる痛みに
桂枝加朮附湯は、「冷えると痛い」そんな痛みに効果のある「温めて楽にする」温・補を兼ね備えた処方です。痛み止めでは治らない、体の内側からくる冷えや湿の滞り。その根本を整える力が、桂枝加朮附湯の真価です。

