半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は「喉の違和感」に使う即効性のある漢方です。
半夏厚朴湯の効能効果
「喉の違和感」と書きましたが、違和感にも種類がありますよね。風邪でもエヘンエヘンとなりますし、魚の骨が刺さっても違和感が起こります。半夏厚朴湯の効能効果を見てみましょう。
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体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感
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つわりや咳、不安神経症・神経性胃炎などの「神経症」と記載されています。一般に「神経症」と聞くと、統合失調?躁鬱?と恐く想像してしまいますが、この場合は「気にしやすいタイプ」「神経がか細い」ぐらいの軽い意味です。
何が言いたいか、といいますと。風邪での違和感、熱いものを食べたときの「喉の火傷」。そんなのには効きません(^-^;;;; 神経・ストレスからきた違和感に使う処方です。詳しく解説します↓↓↓
喉のつまりの意味
よく使われている「喉のつまり」。30~50代ぐらいの女性に多いご相談で
[st-kaiwa5]ノドに何かが引っかかっていて、、、、病院では「異常ナシ!」と言われたんです・・・[/st-kaiwa5]
と、さらに詳しく聞くと
- 子供が受験期
- 親の介護
- 子供達がなかなか実家に寄りつかない
- 嫁姑関係が渋い
- 仕事が忙しいのに上司が理解をしてくれない
- 仕事場の同僚や取引先との人間関係
喉のつまりを感じている方は「大きなストレスを抱えている場合」が多いです。この喉のつまりのイメージは、水道のホースを上下に引っ張ると、きゅーーーっと細くなりますよね。あんな感じです。
具体例としては、誰しも文句を言われることが2~3日続くと、気分が落ち込みます。1週間も続くと、首のあたりが妙にしめられたような感覚になります。ネクタイで締められるとか、喉に何かを巻いたようなとか、痰が粘りついているとか、、、色々な表現がありますが、すべて「ストレスが原因の自律神経の乱れ」です。
こういった「ノドの違和感」はサスペンス溢れる中国でも多かったらしく、梅核気(ばいかくき)やヒステリー球とも呼ばれます。自律神経の乱れが原因ですから「喉のつまり」だけではありません。「肩こり、首凝り、イライラ、寝付きが悪い、動悸、食欲不振」などが同時に起こる場合もあります。
漢方的な解説
[expand title=”漢方的な解説はこちらをクリック!”]
[st-mybox title=”漢方的な解説” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
まず、何かの原因(だいたいがストレス)で「肝気が停滞」することから始まります。上半身の気の流れが悪くなり始めます。気の溜まりは、五行で考えると「肝から脾」にも影響(相克関係)します。脾胃にだんだんと影響が及び、脾胃の気の流れが悪くなります。特に「胃」は上から下にものを移動する働きがありますがそれが低下します。溜まった胃気は上にあふれ出して、症状としては「悪心・ゲップ・痞え」が起こります。上半身の気の停滞は、肺にも影響を及ぼします。肺の気が逆上すると咳になります。肺は水代謝も司っていますから「痰」が生じたり、気と痰が入り交じり結びついて(痰気互結)ノドの違和感や痞えも悪化します。
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詳しめに解説しましたが、何が言いたいかと言いますと(^-^;;;;
このストレスなどを原因として、肝・脾・肺の歪みが絡み合って「ノドの狭窄・悪心・げっぷ・胃のつかえ・息苦しさなどの気の氾濫・痰の詰まり」が起こっています。症状としては、胃の症状:悪心・嘔吐、ゲップやしゃっくり、胃のつかえ、逆流性食道炎のような気持ち悪さ、神経性胃炎、胃アトニー、呼吸器の症状:せき、薄い痰、息苦しい、気管支炎、しわがれ声、咽頭炎、・・・・色々と使えます。
最近、効かない?!
半夏厚朴湯で多い質問が「最近、効きにくく感じる」。
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昨年、喉が詰まったので半夏厚朴湯を処方されたが驚くほどすっきりと治った。今年も起こったので半夏厚朴湯を服用しているが・・・効きにくくなったように感じる。
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こんな感じです。さきほど「ストレスを原因として・・・」と書きました。半夏厚朴湯は「症状を取る力」が強いですが、体の弱い部分を補正するチカラは少ないです。半夏厚朴湯で症状が改善しても肝・脾・肺の弱さはまだ残っていたんです。
ストレスはずーーーっと続いているのですから、症状が良くなってるうちに体質を改善しないといけないんです。この方の場合はすぐに「加味逍遥散+香蘇散」をお渡ししましたが、昨年のうちから継続すれば良かったです!!
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半夏厚朴湯で改善してる間に、体質を改善すること
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類似処方・構成生薬
半夏厚朴湯は処方としてはシンプルで、
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半夏・生姜・茯苓・厚朴・蘇葉
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の5種類の生薬から構成されています。
メインは半夏。半夏は燥性でやや温めます。「化痰散結・降逆和胃」の作用があり、乾燥剤みたいな生薬です。茯苓を組み合わせて半夏の作用を強化し胃腸の動きをよくします。蘇葉で動きを、厚朴で下に押し流します。シンプルながら、よく考えられた素晴らしい構成です。
半夏厚朴湯と加味逍遙散との違い
漢方を勉強された方に半夏厚朴湯の話をすると「加味逍遥散も半夏厚朴湯にストレスに使うとのことですが、どう違うんですか?」という質問を受けたことがあります。
同じストレスに使う処方ですが処方構成や使い方は全く違っています。
同じ | 違う | |
---|---|---|
半夏厚朴湯 | 茯苓・生姜 | 半夏・厚朴・蘇葉 |
加味逍遥散 | 茯苓・生姜 | 当帰・川芎・牡丹皮・芍薬 柴胡・薄荷・山梔子・甘草 |
半夏厚朴湯は「半夏」を基本とした「痰」を解消して下に降ろす処方、加味逍遥散は「柴胡」を基本とした詰まりかけた気の流れを調整すると同時に土壌を改善する処方。
加味逍遥散のほうが長期戦の処方です。症状があろうが無かろうが服用します。半夏厚朴湯は症状が無くなれば中止する場合が多いです。もちろん、同時に使うこともあります。
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半夏厚朴湯の疑問
googleでよく見られた質問に答えてみました。
つわり・逆流性食道炎には効果があるの?
「つわり」にも実は半夏厚朴湯効果があります。ただ、胃のムカムカや嘔吐など水代謝の異常だけなら、類似処方の小半夏加茯苓湯(半夏・茯苓・生姜)をお勧めしています。逆流性食道炎にはまた別のページで紹介したいと思います。
風邪や咳には効果があるの?
症状を取るのに「風邪の処方と組み合わせて」使うこともあります。ただし、半夏厚朴湯単独で風邪に使うことはあまりありません。
やめどきは?
症状が無くなったら中止してもいいです。