なかなか眠られない。不眠時の漢方薬

西洋の睡眠薬、例えばハルシオンなどでは「入眠障害」には効果的です。ただ、睡眠の質」は改善されていますか?とお聞きすると、「それでも、熟睡できなくて・・・」という方がおられます。

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 不眠症には

  • 夜中に寝付けない→入眠障害
  • 途中で目が覚める→中途覚醒
  • 朝に早く目覚める→早朝覚醒
  • 眠りが浅い・眠った気がしない→熟眠障害

などがあります。漢方でお話ししていて、よかったな、と言われる部分は、「熟眠」の部分。漢方で体を立て直すことで、睡眠の質が改善します。

 

1)思い悩むタイプ

息子の受験、不登校、親の介護と悩むことが多い、思うようにならない。といったストレスなどが酷いタイプ。この体質があれば帰脾湯などを使えばゆっくりと眠れるようになった、ということがあります。 

帰脾湯とは、気血を同時に補い脾気虚・心血虚を治療する処方。すべてのエネルギーの根本である脾から治療する処方として、帰脾湯といわれています。帰脾湯は気血不足の不眠などにも使いますが、月経不順や微熱傾向など様々な症状に使われる処方です。更年期のような症状、例えば上半身の火照りのぼせがあれば天王補心丹をつかう場合もあります。 

2)取り越し苦労タイプ

1とよく似ていますが、元来持っている体質で「ああしよう、こうしよう」と、自分では「神経質とか気が小さい」とか。友達からは「あなたは気を使い過ぎよ」と言われるタイプ。色々と夢を見て眠られない、悪い夢を見るなら温胆湯などの処方をお勧めしますが、状況を見て加味逍遥散、抑肝散、開気丸などが有効な場合もあります。 

3)気力低下タイプ

ご高齢で気力も体力も低下し、疲れやすくて、、、という気力低下タイプの方。昼も眠い、夜も眠いというご高齢の方には、朝夕のメリハリを付けるのに酸棗仁湯をお勧めしたりします。「気虚」:補中益気湯、人参湯、や「腎虚」:八味地黄丸、六味地黄丸の処方を考えることもあります。 

尿意で起きてしまう?!

意外と多いのが、60歳を超えたぐらいの方。

  • おしっこが行きたくなって、起きる。寝付けない。
  • 夜起きて、頻繁におしっこに行きたくなる。

夜間のおしっこの回数が3~4回になってくると、睡眠が邪魔され、冷えた夜には酷くなります。病院に行くと「高齢だから仕方ないね~」といわれる症状ですが、漢方の場合は「腎虚」を考え改善することが可能です。

清宮寿桃丸、八味地黄丸など「腎を補い」「体を温める漢方薬」を加減してお勧めすると、3~4回が1~2回になったりと、楽になります。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生(薬剤師・国際中医師)|大阪・福田漢方薬局
大阪で46年以上続く漢方専門薬局「福田漢方薬局」二代目。薬剤師・国際中医師として25年以上にわたり、体質改善・自律神経の乱れ・更年期・不眠・冷え性などの漢方相談を行っています。
全国の専門家が所属する「日本中医薬研究会」では本部理事を8年以上務め、中医学の普及と後進育成に携わってきました。
このサイトでは、「専門的な漢方を、もっと身近に」をテーマに、日常生活に役立つ漢方情報をわかりやすく発信しています。

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