湿熱タイプ酒類は控えめに
舌を見ると、舌苔がべっとりと厚いうえに黄色っぽい人がいる。
これは、体内にたまった病的な水分(湿)に熱が加わった、いわゆる「湿熱」によって引き起こされる身体の不調である。
症状も、身体が重だるい、胃がもたれる、食欲不振、口が粘る。
大便が粘る、小便の色が濃い、イライラして怒りっぽい、顔が脂ぎってテカテカしている、ニキビや吹きでものが出やすい、など多彩だ。
湿に熱が加わる条件はいくつかある。
水分代謝の異常によって体内にたまった水分は、時間とともに体温の影響で熱を生みやすい。それも、体力的に強くエネルギーのあり余っている人、日頃から辛いものや濃厚な味、アルコールを好む人などは湿熱がこもりやすい。
連日酒の席が続き、つまみでは唐揚げなど脂っこいものにはしが向きがちな中年以降のサラリーマン諸氏は、とりわけ要注意である。
湿熱を取り除く漢方薬としては、イライラや精神的な興奮を伴う人には竜胆瀉肝湯、大便が臭くすんなり出ない人には茵陳蒿湯などを症状によって使い分ける。
養生法としては、水分や辛いもの、酒類は控えめにし、熱を除き利尿効果のあるスイカ・キュウリ・トウガンなどの瓜類や緑豆、ハト麦などを摂ることで湿熱症状の改善に努めたい。
中国では、暑気払いとして緑豆のおかゆやスープを摂る習慣がある。暑い時期の湿熱対策としては理にかなったものといえる。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/06/20