敬震丹はいわゆる「救心」のような処方。「胸が痛い・動悸がする」と病院に駆け込んでも「特に何もありませんよ?!」と言われてしまう「ストレス」の影響で起こった胸の詰まり、頭のモヤモヤ感。目に見えない気の暴走や停滞に効果のある処方です。
敬震丹ってどんな効果?
敬震丹の服用方法
敬震丹は1cmぐらいのチョコレート片のようなお薬です。かみ砕いて服用します。内容成分の麝香や竜脳などは香りが強く、かみ砕くことでアロマのような効果があります。少し口の中で溶かした後は白湯にて服用してもかまいません。味は苦く、ややピリっとした感触と芳香性が強いです。いい意味で、漢方薬らしい香りです。
苦みが苦手な方は、真ん中で二つに割ります。ゴディバのチョコレートのようにパリンとうまく割れますので、白湯にて一気に服用してもらいます。1日3回という定期的な服用をオススメしていますが1日1~2回の頓服にする場合もあります。
敬震丹の効能効果
敬震丹は添付文書には下記のような動悸・息切れなどが中心に書かれていますが、狭心症のような不安感・息切れ、不整脈のような動悸では使いません。ストレスから起きたような不定愁訴・不快感に効果があると感じます。
動悸,息切れ,気付,消化不良,胃腸虚弱,食欲不振 犬伏製薬 敬震丹
イメージですが、ヤカンを火にかけて沸騰させたとします。蒸気はヤカンの中に充満して蓋をコトコトと押し上げます。これが、気の滞り。熱感であったり、ぼーっとした感じであったり、不定愁訴の原因にもなります。ストレスなどで頭に充満した気の滞りや熱を、蓋を開けてあげることで緩和する。漢方では「開竅」と呼び、敬震丹が得意としていることの一つです。
中医学的には上記のような気の停滞、つまり肝気鬱結・(胆気虚)、心気虚・心陰虚で使っています。
敬震丹の処方構成
敬震丹は麝香を主成分としています。
生薬 | ||
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麝香・牛黄・龍脳 | 開竅薬 | 興奮など熱にまつわる症状の改善 |
サフラン | 活血化瘀薬 | 血行循環、冷え、不眠などの不定愁訴の改善 |
香附子・沈香・甘松・木香 | 理気薬 | 気の巡りの改善・(脾胃の改善) |
桂皮・丁子・生姜 | 袪寒薬・辛温解表 | |
人参・(甘草) | 補気薬 | |
牛胆 | 化痰薬 |
ざっくりと分けていますので、詳細は「中医臨床のための中薬学」を参考に
症例:ストレスから逆上せ
敬震丹の症例集に投稿して掲載された症例(改変)です。
50代歳女性、朝起きると腕や手が冷たく痛い、痺れる。痺れは昼過ぎになると若干改善する。若い頃は生理周期不安定。食欲正常。睡眠はしっかり眠れている(中略)ストレスが強いときに頭がのぼせて、顔にも熱がこもった感じになったり、頭頂部が熱くなったりすることがある。(中略)整形外科では問題は無いと言われているが、湿布を貼って生活をしている。
ストレスが強いお仕事で、疲れてくると動悸もするとのこと。「柴胡疎肝湯+ +敬震丹」での服用をオススメしました。敬震丹はしばらく1日3回の服用だったのですが、服用すると頭のモヤモヤ感(上にのぼせてボーっとした感じ)が改善すると喜ばれていました。
その後、症状はほぼ出なくなったのですが、ストレスがあると再発しますので柴胡疎肝湯は継続。敬震丹は頓服してもらっています。
敬震丹のメモ
商品名 | 敬震丹(販売元犬伏製薬) |
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ジャンル | 第二類医薬品 |
内容量 | 160片/80片/40片/10片 |
商品単価 | 160片 38000円(税抜)/ 80片 19500円(税抜)/ 40片 10000円(税抜) 10片 2800円(税抜) |
摂取方法など | 1日3回 |