響聲白龍散のポイントを解説!注意点や早く治るためのコツも紹介

響聲白龍散(きょうせいはくりゅうさん)の解説ですが、ちょーっと回り道をして記載しています。処方を知りたい方は下記のリンクから↓↓

 

目次

咳・喉の処方と風邪の処方の違い

ドラッグストアに行けば「風邪」コーナーとして多くの棚が取られていて、パブロンやらルルやら・・・たくさんの有名な商品がありますよね。その近くに「咳・痰」のコーナーが有ると思いますが今回はその「咳・喉の処方」のお話(^-^;;;;

「風邪」と「痰や咳」のOTC、違いはどこに有ると思いますか?成分を見てみると、結構共通点が多いです。専門的になりますが、抗ヒスタミン・ビタミン・気管支拡張成分、このあたりはほぼ一緒ですね。

風邪薬のほうが種類も多くお値段も安く「じゃぁ、風邪薬を使えばいいかも!」・・・もちろん、そう言うわけにもいきません(^-^;;;; さて、どうやって使い分けましょうか。

 

ざっくり答えると「咳の処方には、解熱鎮痛成分が入っていない」こと。その変わり去痰成分が多めに入っています。熱や炎症が無いのに、熱を下げる成分は意味ないですからね。

そして、もう一つの特徴に「(トローチとかシロップとかの)工夫された処方が多い」ということがあります

変わった剤型が多い

某ドラッグストアの陳列棚の写真ですが、商品名を挙げると「ベラックT・龍角散・コルゲントローチ・南天のど飴・ビックスドロップ・のどぬーるスプレー・フィニッシュコーワ・・・」と写真に写っていない部分も含めてたくさんあります。

咳の時には、粉っぽい剤型だと飲みにくい&早く効果を出すため、シロップ剤が多くなっています。ずーっと口の中に入れておけるようにトローチ剤の場合もあります。

咳の処方の使い分け

咳の処方は大きく5つに分けて考えます(私の場合は)。

  • リン酸コデイン類配合
  • リン酸コデイン類を除く中枢性鎮咳成分配合
  • 気管支拡張成分配合
  • 漢方薬・生薬配合
  • その他(のどスプレーなど)

”リン酸コデイン類”はしっかりとした鎮咳効果があり便利な処方ですが、大量服用で良くない効果もあり、薬局では購入制限(大量買いの場合は販売拒否をする)のためカウンターの後ろに置かれていることが多いです。適正な使用が大切です。代表的な製品に新ブロン液エースやアネトン咳止めZ液などがあります。

”リン酸コデイン類を除く中枢性鎮咳成分”は、新パブロン咳止め液、ベンザブロック咳止め液など、”気管支拡張成分”はアスクロン、アストフィリンS、浅田飴せきどめ(OG)などがあります。

やっと本題です(^-^;;;; 漢方薬・生薬配合の生薬には、キキョウ・杏仁・麻黄などが有名で、それらを含む製品としては龍角散・クララ・浅田飴ニッキなどがあります。漢方処方としては麦門冬湯・参蘇飮・小青竜湯・五虎湯などですね。声がれの処方としては響声破笛丸もあります。

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この”漢方薬・生薬配合”の中に「響聲白龍散」は含まれます。この処方、咳止め・・・というよりも、ちょっと変わった処方です。まず症例から。

響聲白龍散の症例

症例:疲れると声が出ない

夏の頃にご相談いただいた症例です。

70代女性、ご家族と一緒に相談。咳や声がれ。声帯に小さなポリープがあるが、病院では「そのままでも問題が無い、取るなら取ってもいい」と言われていた。今年は夏の暑さにあたったのか、疲れた時に声が擦れる、夕方になると声が擦れて出ない、という症状になる。朝になれば、また声は出るようになる。水を飲んでも改善したように思えない。ポリープのサイズは変わっていない、と言われているが、今年に限っては大きくなっているのではないかと不安。咳は時々出るが、乾燥したような渇いた咳が出ることもある。舌:赤みが強い、熱は平熱、睡眠など正常。やや高血圧傾向(その他省略)

処方:麦味参顆粒・響聲白龍散・(その他)

ご家族から後日TELあり。「疲れても声が出る」「擦れていたのが良くなった」と母が喜んでいます、とのこと。「デイケアに行けるようになりました」とご家族も喜んでいました。3ヶ月ほど継続した後、麦味参顆粒だけ継続して貰っています(響聲白龍散は頓服で)。

このような声の擦れの症状には効果がいいかなとは感じています。もうひとつ良さそうな症例有りましたけど長くなったので省略で。

響聲白龍散って?

処方解説

こうした漢方・生薬配合の処方は、単純に咳を止める、というよりも肺(*気管支・喉を含む)を潤してあげてその結果「咳を止める」という作用が多いです。

この処方では「余甘子・桔梗・銀耳・真珠・甘草・薄荷・緑茶」で涼性(炎症を冷ます)で潤す作用を中心とした処方になっています。主成分が余甘子(よかんし)。日本では聞き慣れない生薬ですが、中国ではそれほどマイナーでも無く、中国wiki緑色百科に詳しく記載されています。イスクラ羅漢果(現在廃盤)に似ていますね。

響聲白龍散 原材料:乳糖、余甘子エキス末(余甘子エキス・デキストリン)、パーム油、キキョウ末、白キクラゲ抽出物、真珠微粉末、デンプン、酸味料、貝Ca、甘味料(カンゾウ)、微粒二酸化ケイ素、ハッカ香料、緑茶抽出物(パッケージ記載より転記)

使い方

発泡するので「水無しで服用できる」というのがメーカーからのワンポイントです。が、発泡が強く、はじめての時はむせるかも。確かに水が無くてもいいですが、飲んでおいた方がいいです。個人的には漢方と「クララ」の中間の製品だと考えています。

スティックタイプです。1包に1g入っています。

粉は比較的さらさらしていて服用しやすい剤型です

1箱あたり30包入っています。

 

響聲白龍散のおすすめのポイント

夜間に強い咳、風邪後期に残った咳など「単純な咳止め」の威力を考えると、別の処方をお勧めしています。この処方のポイントは「潤いのない乾燥感のある咳やカスレ」、そして他の処方と一緒に使えること。たとえば、漢方の麦門冬湯と合わせてもいいですし、上記症例のように麦味参顆粒と、清肺湯や麻杏甘石湯など。単純な処方であるため、ちょっと足してあげたいときに使いやすい処方だなと感じています。

患者さんの立場では、たとえば、麦門冬湯を服用されている方で「まだのどが擦れる、痛い、けど他の処方を服用すると重複が無いか心配」そんな質問をいただくことがありますが「この処方をつらいときに服用してください」と渡すようにしています。使いやすい処方です。

商品名 響聲白龍散(きょうせいはくりゅうさん)
:余甘子含有加工食品
ジャンル 健康食品
内容量 1g/袋   (1箱30包入)
商品単価 3000円(税抜)
ポイント 喉の痛みがあるときに。
販売元 イスクラ産業株式会社
摂取方法など 食品として1日1~6包を目安にお召し上がりください。
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この記事を書いた人

ゆうき先生(福田優基)のアバター ゆうき先生(福田優基) 薬剤師[pharmacist]/国際中医師

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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