掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、「手のひら」や「足底(特に土踏まずなど)」に生じる無菌性の膿疱(のうほう)を特徴とする皮膚疾患です。触っても感染しませんが見た目に辛く、悩む人の多い病気です。
初期には、小さな水疱ができて、1ヵ月程度で繰り返し発生し、慢性に経過します。日本皮膚科学会:皮膚科Q&A、掌蹠膿疱症も参考にして下さい。
掌蹠膿疱症はこんな病気です
掌蹠膿疱症は通常、手のひらや足底に左右対称に現れます。ただ、手のひらのみ、足の裏のみ、という方もおられます。
「手のひら・親指・小指などの丸いところ」「土踏まず・かかと・足のヘリ」などに、1~5mmぐらいの水ぶくれがでてニキビのようにポツポツと赤くなった後「かさぶた」となり剥がれ落ちます。それらを2週間から1ヶ月ぐらいの周期で繰り返します。そして、繰り返すうちに、角化が生じて亀裂がおこります。下記の方ですが、指が割れてすごく痒みがありました。
よくご質問をいただきますが、原因は菌ではありませんので「うつることはありません」。そして、残念ながら、コレ!というような原因は発見されていません。逆に言えば、掌蹠膿疱症は色々な原因のある病気です。
①40代女性 掌蹠膿疱症
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40代やせ形、女性。介護職。数年前より指先にブツブツと何かが出来ていた。水をよく使う仕事なので最初はアカギレと思ってオロナインを塗布するが改善せず。近くの皮膚科ではステロイド・ワセリンなどを処方されるが改善してもすぐに再発する。
「膿をもったようなブツブツがでてきたとおもったら、赤くなりそのうちペロンと皮が剥げて綺麗になる」ことを繰り返すため、別の病院を受診。掌蹠膿疱症と診断されました。残念ながら、なかなか改善しない。
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来局した当時の写真です。比較的落ち着いている時期の写真ですが、指先と手のひらの付け根の部分に赤みが出ています。痒みは酷かったそうです。
服用して数ヶ月後の写真です。赤みが引いて、夜でも引っ掻くことが無くなったとのこと。調子を崩すと水疱が出来るときもありますが、それでも全然マシだと喜ばれています。
掌蹠膿疱症は激しい痒みの人も痒みを余り感じない人もいます。
掌蹠膿疱症に効く漢方薬は?
漢方の場合は「症状の改善」+「体質の改善」の二本立てで治療を行ないます。
症状の治療では、悪化している状態ではまず燃えさかる火を消すことが大切です。この方は掻き崩さないように頑張っていましたので、皮膚の状態はそこまで酷くなっていませんでした。ただ、赤みと熱感は酷かったので「三物黄芩湯」「清営顆粒」という処方をメインにして検討しました。
体質の改善をすることも大切です。繰り返し起こるのが掌蹠膿疱症ですから、次に起こる状態を少しでも緩和させたいですね。多い体質として「肺腎の低下」を考えます。空気を取り込む「肺」ですが、漢方では「肺」という言葉に「皮膚・呼吸器」を含めて考えます。同じように「腎」は腎臓だけでなく「免疫」なども含めて考えます。その二つが低下しているタイプの方は、皮膚症状が酷くなりがちです。この方には漢方処方の「八仙丸」を加えています。
症状の改善 | 三物黄芩湯・黄連解毒湯・清営顆粒・桃核承気湯など |
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体質の改善 | 八仙丸・衛益顆粒・桂枝加黄耆湯・黄耆建中湯など |
もちろん、これらの処方だけでなく、掌蹠膿疱症や主婦湿疹にも桂枝湯・桂枝加黄耆湯といった処方を使うこともあります。ポイントは、その方の体質的な問題を改善する事です。すべて同じ処方でOK!というワケでもありませんよ。
介護職のため、石けんやアルコール消毒で悪化(手荒れも)起こすことが多かったので、自宅に居る間は体に優しい石けんのDシャンプーを使って貰っています。
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ビオチンはどうなんですか?という質問があったのでこちらに記載しています。「欲しければAmazonで買ってね」とお話ししています。それほど推奨はしていません。ただし、腸内の環境改善は重要です。
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ツメでガシガシと掻いていたら黄色い汁や膿が出るようになった、、、こんな細菌感染の疑われるケースはまず皮膚科を受診してもらっています。
②30代女性 掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症、今後の予防
今後の予防に今も漢方薬を継続して服用していただいています。掌蹠膿疱症の方は日常の生活習慣も大切で、禁煙・和食(濃いものを食べない)・夜更かしせず寝る時間をしっかりと取るようにお願いしています。
こちらにも症例を掲載しています。
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