無月経、なかなか生理が来ない、生理不順、こういった状況を改善するのにカウフマン療法という方法があります。そして不妊治療の病院でも使われるカウフマン療法。名前は聞いたことがあるけれども、何をするの?!・・・・と頭にはハテナが。そのあたりを解説したいと思います。
不妊治療のカウフマン療法の意味
小学生の頃、体育に一輪車の授業がありました。下手くそながらも乗れていましたが、テストとかで焦るとうまく乗れなくなるんですよね。そういったときは壁に手をついたり、友達に手を貸して貰って乗っていると、また乗れるようになります。
同じように、次の周期のための助走期間、そういう働きをするのがカウフマン療法です。カウフマン療法中は、擬似的にホルモンを与えて卵巣をお休みさせるため、排卵は起きずその周期はほぼ妊娠しません。
排卵が起きない、だけを聞くと「妊娠を希望していない人向けの治療」と誤解しがちですが。不妊治療をしていて排卵誘発剤で卵巣を刺激し続けていますと、卵巣もへたってきます。周期がなぜかずれてきたり、内膜も薄くなってきたり。さらに体外受精の採卵のため排卵誘発剤で刺激をしてもあまりいい卵が取れない可能性もあります。そこで、卵巣にお休みをあげて調子を戻して貰う。こんな風にカウフマン療法を使うこともあります。カウフマン療法が終われば排卵はおきますので、ご安心ください。
※不妊治療中で無排卵(又はPCOS)の場合、排卵誘発剤での治療を優先する場合が多いです。
漢方とどう組み合わせるのか
「カウフマン療法中は、卵巣がお休みの時期だから漢方もお休みですよね」こんな質問もありますが、逆に私としてはお休みの時期こそ漢方で回復してして貰いたいと考えています。
こういった症例もありました:不妊専門病院に通院中、36歳の女性。不妊治療は2年目。体外受精を希望、その前にカウフマン療法。身長160cm程度、やせ形で色白。声が小さい。ため息が多い。眠ると怖い夢を見る。普段は食欲がない、疲れやすい。冷え症あり、手を触ると冷たい。夜間尿の回数が2~3回。生理周期はもともとは安定していたが、不妊治療を初めてから崩れ始めたとのこと。ホルモン剤を使わない場合で、28~35日周期。
この方の場合は、不安感が強く、疲れも酷かったので、その改善から始めました。良い卵を育てるためには、良い体調と体力から。漢方的には体の中心部分である脾(胃腸)が元気でないために、エネルギーを取り入れられない、と考えて帰脾湯・霊鹿参などの処方を服用してもらったところ。
1週間後にお電話を頂きました。眠るのが楽で、気力が充実してきたとのこと。手足もぬくもってきたらしく、顔色がほのかに赤くなってきたように感じました。
その後、採卵にうつったときに良いグレードの卵が取れたらしく、「漢方を初めてよかったです!」とご連絡をいただきました。私としては、漢方で体調・体力などの「全体の改善」をすることで、病院の治療もより多くの効果を上げることが出来ると考えています。