ノロウイルスは冬期に流行る症状ですが、今年は4月になってもまだ時々ニュースに出ています。
同保健所と県警によると、8日昼に同支部が運営する同市山王5丁目の「ふきみ会館」で調理したミックスフライ弁当を出前で注文して食べた県警本部の職員43人のうち、20~40代の男女7人が相次ぎ下痢や腹痛を訴えた。2014/04
学校薬剤師としての配付資料で感染性胃腸炎についてをまとめていましたので、それを簡略化してメモします。質問がありそうな所に絞って抜粋などをしています。
感染性胃腸炎の症状
感染性胃腸炎とは、主にウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎の総称。1〜2日間の潜伏期間を経て、典型的には、嘔気・おう吐、下痢・腹痛、37℃台の発熱。症状は1~2日程度。対処療法が中心で、下痢がひどい場合は水分補給に注意。
※ロタウイルスに乳幼児が感染した場合、白い便が出ることが多くこのウイルスは症状が5~6日程度続きます。
ウイルスの特徴
肉眼で見えないほど小さい。1つは20nm~1000nmほど。nmとは、1mmの1000分の1(μm)の1000分の1(nm)。
ひとりで動いたり増殖する能力はない。どこかに感染して増える。
感染する場所はそのウイルスごとに決まっていて、粘膜が多い。
アルコールでの手指消毒が有効。アルコールはウイルスの外膜(エンベロープ)を壊す作用がある。アルコールは濃度が高くても効果がない、50%~70%が有効。
※ノロウイルスはエンベロープを持たないため、アルコールでは死滅しない。
ノロウイルスの特徴
他のウイルスに比べて、ごく少量でも発症する。
感染しても症状が出ない場合もある。
症状が無くなっても1~3週間以上、便から排出される。
原因食材は貝といわれるが、感染者が調理に従事したことによって起こる感染も多い。その場合の原因食材は貝だけとは限らない。
耐久力が強く自然界で20度で3~4週間生存可能。胃酸にも強く容易に通過する。アルコールで死滅しない。
ノロウイルスの退治方法
日々の心がけとして手洗い。すべてのウイルスに有効な方法。
嘔吐物の処理には次亜塩素酸が有効。
次亜塩素酸の調整方法
次亜塩素酸は濃くても効果がないので希釈すること。アルカリ性にして製品の安定性を高めているため。希釈して、中性に近づけることで殺菌力(HCLO濃度)が出てくる。
市販のキッチンハイター(約6%)を使う場合、キャップ(25ml)2杯を2Lの水に溶かすことで使うことの出来る濃度(1000ppm程度)になる。(かなりざっくりした計算ですが、私はこれが現場で便利な覚え方だと思います)
作り置きはしない。(調整後余ったら破棄する)
カビキラーなどを使うと便利。
※ppmは濃度の単位です。ひとまずこの場合は、10000ppm=1%濃度(一万ppmは1%濃度)、ppm≒mg/Lと覚えてください。
嘔吐物の処理 | 0.5% 5000ppm 10倍希釈 |
便や嘔吐物で汚れた衣類の処理 |
0.1% 1000ppm 50倍希釈 上記の希釈方法はこれ |
トイレの持ち手やドアノブ、トイレの床 |
0.02% 200ppm 250倍希釈 |
参考:大阪薬剤師会会報誌:ノロウイルスの対応及び注意点 Vol65 No4.(2014)
ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省)
感染性胃腸炎(ノロウイルスを中心に)(東京都感染情報センター)
花王お問い合わせのページ