大阪府薬剤師会で、漢方委員会の講演「初めて学ぶ漢方:臨床でよく見る処方を中心に」をさせていただきました。
お話ししたかったことは、添付文書などに書かれている表現だけでなく、その元となる理論を知ると、より漢方処方は使いやすく(伝えやすく)なるということで、気滞と加味逍遥散を例にとってお話しさせていただきました。
加味逍遥散: 体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症: 冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症
よく女性の更年期障害(気滞症状)に使われている加味逍遥散ですが、添付文書の効能効果を見ると、あれっ?と疑問に思うことがあります。
のぼせ感があって冷え性も一緒に?月経不順や月経困難症が改善するのか?不眠症に使う処方?睡眠導入薬代わりに使えるの?
自然に流れる「気」は、高速道路を走る車に例えられます。ストレスやほかの病気で「渋滞」が起こる、これを気滞と呼びます。気滞が起これば、荷物が正常に送られず資源が足りなくなる「脾虚・血虚」が起こり、さらに気の停滞が起こるという悪循環になります。
組成:柴胡6 白朮6 茯苓6 当帰6 芍薬6 甘草3 生姜1 薄荷1 山梔子3 牡丹皮3
効能:疎肝清熱・健脾養血
主治:肝鬱化熱・脾虚血虚
そのときに改善するのが加味逍遥散。気の渋滞を改善し脾虚血虚を改善する生薬も含むため、精神不安やいらだちを解消し、脾虚・血虚という虚証から起こる症状(虚弱体質・疲れやすい・月経不順・月経困難・不眠症)を改善します。