PCOS[多嚢疱性卵巣症候群]:その1

多嚢疱性卵巣症候群たのうほうせいらんそうしょうこうぐん(Polycystic oveary syndrome:PCOS)とは、卵子が成熟するけれども、卵巣の膜が堅いため排卵できない、もしくは排卵しにくい症状をいいます。

 

症状としては、排卵をしないため、月経不順(基礎体温は一相の場合が多い)、多毛などの男性化(多毛の方は、日本では余り見ないようです)と言われています。 

 

病院での改善法

エストロゲン作用をもつクロミッドなどが使われます。

通常の排卵誘発と一緒で、

生理開始後5日目から5日間程度、50~150mg/日を投与します。

クロミッドを服用する事で、卵胞が成長して、複数個の排卵が起きやすくなります。

 

ただ、クロミッドでは、効果のない方もおられますし、

沢山できた卵胞が、同時に大きくなるため、卵巣が膨らんだり、腫れたりする事もあります。

 

(卵巣が腫れる症状を、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。

 PCOS_20111

PCOSの原因はアンドロゲン?

現在では、「アンドロゲンが原因では?」という論文がよく見られます。

アンドロゲンなど「男性ホルモン」は、微量ながら女性にも分泌されています。

男性ホルモンは卵胞などに働き、発育に影響を影響を及ぼします。

 

では、そのアンドロゲンはどこから?といえば、

インスリン抵抗性が原因、

と言われています。 

 

インスリンとは、糖尿病などでよく聞く言葉ですね、

血液中に巡っている糖分を「インスリン」は体の中に引き込みます。

 

その血糖値を下げる働きをする「インスリン」に対して、

余り効果を示さない状態を「インスリン抵抗性」といいます。

 

インスリン抵抗性があることで、インスリンが過剰に作られ、

そのインスリンがアンドロゲンを過剰にします。

 

糖尿病の薬が処方される?

不妊症の専門病院で、糖尿病の薬を処方されて、

「???」

と思った方も、おられるのではないでしょうか?

 

メトホルモン、ピオグリタゾンなどの糖尿病の薬は、

→ インスリン抵抗性を改善して、

→アンドロゲンの過剰生産などが解消し、

→排卵につながる、

もしくは、排卵誘発剤に効果がでる場合もあります。

 

もちろん、インスリン抵抗性があっても、高インスリンになるひと、ならないひと

人それぞれです。

 

ただ、卵巣でアンドロゲンを生産しやすい方は、

インスリン抵抗性を起こしやすく、「肥満になると排卵障害を起こしやすい」。

ともいえます。

 

漢方での改善法

1)

漢方では水の流れがうまくいかない事により、排卵がうまくいかないと考えます。

たとえば、化痰利水の処方と活血の処方をあわせて使います。

 

2)

肥満の方はダイエットをお勧めしています。

特に脂質の代謝異常の方には、三爽茶などのサプリメントの併用をお勧めしています。

 

PCOSの場合は、まず排卵をすることが重要ですので、

病院に通い検査しつつ、漢方を服用して、体を強化する事をお勧めしています。

 

参考:日経DI 2010/12号

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

目次