高プロラクチン血症の治療薬について
高プロラクチン血症とこのページのまとめ 使われる西洋薬=テルロン・カバサールが多い。 2週間?で効果が出始める(個人差アリ)。服用は寝る前など。 吐き気や悪心が強く出て、服薬中止になることも多い。 漢方薬で使われる=炒麦芽。効果は薄いが、吐き気などは出にくい。 逍遥丸・参茸補血丸・婦宝当帰膠・芍薬甘草湯と合わせて使う。 (軽度の症状の場合は単独で、中程度以上は西洋薬と併用することがある) |
高プロラクチンと西洋薬
プロラクチンがかなり高い場合の選択肢として、手術・服薬の2つに分かれます。
中程度以下では服薬が中心になります。服薬では主に3種類の薬品がよく使われています。
それぞれのお薬は、中枢神経に働いてパーキンソン症候群の症状を改善薬でもあり、下垂体から分泌されるプロラクチンの分泌を抑える役目もあります。
一般名 | 商品名 | 正常化率 | 排卵率 | 主な副作用 | 副作用発現率 |
---|---|---|---|---|---|
ブロモクリプチン | パーロデル | 75?78% | 75?78% | 強めの吐き気 | 68% |
テルグリド | テルロン | 80% | 70% | 吐き気 | 50% |
カベルゴリン | カバサール 週1回服用 |
82% | 66% | 吐き気 | 28% |
使用量については省略しています。引用:産婦人科ベッドサイドマニュアル5版 P140
参考:今日の治療薬2005 南江堂 P359 ・ くすりのすべて
[禁忌]
麦角製剤過敏症・妊娠中毒症・産褥期高血圧
[相互作用]
一部の降圧剤・アルコール・抗菌剤で作用が強く出る場合があります。既往症があれば医師に相談しましょう。
[副作用]
吐き気・悪心・便秘・食欲不振・腹痛・肝障害・動悸・浮腫・眠気・発疹・倦怠感・発熱・悪寒・貧血など
また、高プロラクチン血症と判断されなくても、妊娠の確率をあげるために服用する場合もあるようです。プロラクチンの値を下げると妊娠確率が上がるとか。どれぐらい確率があがるのか、リスクはないのかなどは、メタアナリシスを見たことないのでなんともいえません。
患者さんでは、悪心・吐き気が強く出る人と、まったく何もない人に分かれます。
吐き気は服用した日・翌日から現れる場合が多いようです。
PRLの低下などは服用後2?3週間様子を見る必要があるようです。(個人差がありますが・・・)。
高プロラクチンと漢方薬
漢方薬では大きく「肝・腎」の2つを考え、漢方薬を選びます。
プロラクチンが高い場合はこの漢方薬という選び方ではなく、現在の症状や状態に合わせて漢方薬は選びます。
西洋薬がプロラクチンだけを標的にしたもの、とするならば、漢方薬はプロラクチンが高くなった原因を改善するために使います。
プロラクチンが高い場合には、乳汁が出やすくなります。
経血と乳汁は脾胃から生まれると考えられ、乳汁をだすのは肝と腎に関係すると考えています。
肝と腎が不安定になることで、乳汁が出るようになります。
それらを防ぐには、漢方薬で「肝と腎を調和」することが大切です。
肝と腎を調和することでホルモンバランスが改善し、妊娠しやすくもなります。
もちろん、乳汁が出ていない状態でも「証」があれば漢方薬は使えます。
一例として、
1 肝鬱
怒りっぽい・抑鬱・ため息・胸脇部が痛い・月経不調・月経痛・胸悶etc
2 腎虚
疲れやすい・手足が冷える・腰がだるい・眩暈・頻尿・顔色が薄いetc
といった症状を見ます。これを改善するための漢方薬として、逍遥丸・参茸補血丸・炒麦芽などをお勧めしています。
炒麦芽は前出の西洋薬に比べて、量が多いため、飲みにくいというかたもおられます。プロラクチンだけでなく、他のホルモンバランスも改善できるのが漢方薬の特徴です。西洋薬と同時に服用しても問題はありませんので、詳しくはご相談ください。
パーロデル・デルロンの妊娠後の服薬について
初期流産を予防するために初期の間にも服用する場合と、妊娠が確認できた時点で服用を中止する場合の2種類があります。
個人の見解として、ブロモクリプチンが米国FDA基準のカテゴリーB(ヒト妊婦での対象試験は実施されていないetc)であること、一般に妊娠初期での医薬品の服用は好ましくないことから、妊娠が確認できた時点で服用を中止する薬品かなと考えています。詳しくはかかりつけの医師にご相談下さい。