独歩顆粒のポイントを解説!注意点や早く治るためのコツも紹介

独歩顆粒

独歩顆粒(どっぽかりゅう)は腰・膝の痛みに有効な漢方処方です。独活寄生湯(どっかつきせいとう)という処方を元に開発された漢方薬で、イスクラ産業から販売されています。同じ処方として独活寄生丸という名前で、クラシエと小太郎漢方製薬より販売されています。

目次

独歩顆粒の効能効果

まず独歩顆粒の効能効果を見てみましょう。

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疲れやすく、下肢が冷えやすいものの次の諸症:腰痛、関節痛、下肢のしびれ・痛み

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よく使っているのが腰痛・関節痛など。特に慢性期に使いやすい処方です。「独歩顆粒がよく効いた~」という方は、特に冷えて痛む・暖めると楽になる方が多いです。農業やガーデニングをしているとすごく冷えるらしくて、そうした血流が悪くなって起こる痛みにはよく効きます

逆に、ぎっくり腰の急性期、打撲してすぐの時期、痛みのひどい時期など熱感のあるときや腫れのひどいときには別の処方をお勧めします。

独歩顆粒に含まれる生薬

構成生薬を見てみましょう。

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唐独活・川芎・甘草・杜仲・桂皮・茯苓・牛膝・防風・細辛・秦艽(じんぎょう)・地黄・桑寄生(そうきせい)・芍薬・唐当帰・生姜・党参

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多くの種類の処方が含まれています。ざっくりですが生薬が多ければ多いほど穏やかな処方か、慢性的な症状を治す処方です。

独歩顆粒の適応を漢方的な言葉で表すと「袪風湿・止痺痛・益肝腎・補血」となります。「風・湿・痺」これがキーワードになりますので後ほど解説します。独歩顆粒を簡単に言えば痛みや違和感を止める+体を補うことでこれからの症状を予防します。

痺証はなぜ起こるか?原因は?

「痺痛」って耳慣れない言葉ですが、神経痛・リウマチ(関節リウマチ)・座骨神経痛・椎間板ヘルニア・膝痛・腰痛など痛みの疾患を総称して「痺証(ひしょう)」と呼びます。関節炎・冷えて膝が痛い・しびれ、全て痺証ですよ。「痺」は詰まって動かない・通じないという意味ですね。

どうしてこの痺証が起きるかと言いますと、

[st-mybox title=”痺証が起こる原因” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#ccc” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”2″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]

  1. ↓加齢・怪我・ストレスといった内外の要因
  2. ↓防御力・免疫力が低下する(虚証に傾く)
  3. ↓寒さや湿気などの外邪が入り込む
  4. ↓外邪が気血の流れを阻害する
  5. ↓瘀血や滋養されないことで痛みが起こる

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風湿久痺 1肝腎不足(腰膝痿痛・屈伸不利・畏寒喜温・舌淡苔白)2気血両虚(心悸気短・脈細弱)

独歩顆粒は特に環境によるもの、冷え・寒さ・湿気・雪などで起きる風湿の邪気も取り除き、滞っていた気血の流れを通してあげることで痛み・しびれなどを改善します。ですから「あー庭いじりをしてたら今日は痛いわー」「ちょっと歩いたらほんとつらい」「冷える日はしんどいよ」「台風が来たらすごくよくわかる」そんな環境に左右される症状によく効きます。

疎経活血湯との比較

よく似た処方、痺証に使われる処方として疎経活血湯があります。補う処方である八味地黄丸・活血の桂枝茯苓丸とあわせて比較してみました。

独歩顆粒と疎経活血湯は「袪風湿+補気補血・理気活血」という点では同じような組み合わせですが、

  • 疎経活血湯:上半身に起こりやすい・瘀血を原因とした刺すような痛み・痛みが強い場合
  • 独歩顆粒:それ以外の慢性の痛み・風雪や環境によって特に痛みがひどくなる場合

という分け方でわかりやすいかもしれません。

解表(袪風湿)
・利水・補肝腎
清熱 補気
・補血
理気
・活血
その他
独歩顆粒 桂皮・細辛・防風・生姜・独活・秦艽・桑寄生
茯苓
杜仲・甘草・党参
当帰・芍薬・地黄
牛膝川芎
疎経活血湯 防風・生姜・羗活・白芷・威霊仙
茯苓・防已・蒼朮
竜胆 甘草
当帰・芍薬・地黄
牛膝・桃仁・川芎
八味地黄丸 桂皮
茯苓・沢瀉
山薬・地黄 牡丹皮 附子・山茱萸
桂枝茯苓丸 桂皮
茯苓
芍薬 牡丹皮・桃仁

独歩顆粒の中心は独活・桑寄生で、温性に偏っています。肝腎を補う処方を加えることで、骨を盛んにして筋を強くする、ご高齢の肝腎の衰えにも使えます。

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服用のポイント

通常の漢方薬は1日3回の服用が多いのですが、独歩顆粒は1日2回タイプです。朝夕に1回1包、白湯にて服用します。溶かしてもOKです。

独歩顆粒を痛いときだけ服用する、、、という方がいます。が、独歩顆粒の特徴は長期で改善していくという薬効ですから、できれば数ヶ月、半年というスパンで検討してください。

症例(口コミ)

症例1 70代女性 膝の痛み

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70代女性 主訴:膝の痛み 膝が冷えて痛むので近所の医院に行ったところ「足の運動をしたら?」と言われた。1週間程度、たくさん歩くようにしたら、背中がつっぱり、膝が余計に痛く、微熱を持つようになった。近所の医院では圧迫骨折かもしれないから総合病院を勧められ、総合病院に行ったところ痛み止めだけ処方された。5日間痛み止めを服用してもまだ改善しない。

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もともとの体質が冷え性で、冬の時期に足が冷えると痛みが強くなる、とのことでした。ついつい頑張って運動をしてしまうタイプのようです。

まずは安静にすることをお話ししたうえで、急性期に使う○○○○○と独歩顆粒を併用。その後、膝の痛みが治まってきたので独歩顆粒のみに変更し継続してもらっています。調子が良いようなのでぼちぼち頑張りましょうね、と。

冷えると膝が痛むので、その場合は独歩顆粒に△△△△を加えて服用してもらっています。

症例2 60代後半 座骨神経痛

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60代後半・男性 お尻のあたりから太ももの裏までが痛むとのご相談。病院に行くと「座骨神経痛ですね」とのこと。普段は大丈夫だけれども、少し歩き始めると痛みがだんだんとひどくなる。大きい病院では腰部脊柱管狭窄症と診断されたが「しばらく様子を見ましょう」といわれて帰された。天気が悪い・冬になると痛みがひどくなる。

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歩くとつらいから、と自転車にのって来局されていました。自転車のほうが痛くなりにくいらしいんです。最初はそれでも休み休みしか乗れなかったようですが、独歩顆粒と○○○○○という処方を半年続けていただいて、だんだんと距離が伸びてきたとのこと。1年後ぐらいには今度自転車で他府県まで行ってきます!と話されていました。

この方の場合は、ずっと同じ処方ですが、コツコツと継続して、運動も頑張ったのが良かったかなと思います。(腰痛体操など自分での努力も本当に大切です)

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グルコサミン・コンドロイチンとの違い

痛みの処方と言えば、グルコサミン・コンドロイチン(+ヒアルロン酸)が有名です。当薬局でご相談頂く方も、よく服用されています。「何を服用していますか?」と聞くと、コンドロイチンZやら皇潤やら。色々なメーカーの製品が出てきます。 「関節が摩耗した場合」は、こういった処方でいいです。ただ、「冷えると痛む」「温めると楽になる」といった場合は、独歩顆粒がいいでしょう。

独歩顆粒には、

  1. 「風・寒・湿」を改善する(外的要因)
  2. 「血虚・気虚・腎虚」を改善する(内的要因)

という内的外的要因どちらも改善できるという特徴があります。

グルコサミンなどでは「冷えて痛む状態」を改善できませんし「全身の老化を改善することも」できません。ざっくりというと「材料や補修剤の追加」です。

もちろん、使い痛みの場合に、独歩顆粒とグルコサミンを併用すると楽になる場合もありますし、痛み止めを併用している方もおられます。

独歩顆粒の歴史

イスクラ産業から独歩丸として発売されたのが1994年9月です。九芝堂製薬に委託して製造していました。今は無きシンボルキャラクターですが、中国の長沙市、馬王堆(まおうたい)の墳墓から出てきた帛画(はくが:絹に書かれた絵)の導引図からイメージしています。左の両手を挙げているのが桃源くん、右が天士ちゃんらしいです。独歩丸

その後、顆粒剤として四川華星薬業有限公司にて製造されることになりました。

独歩顆粒

商品名  イスクラ独歩顆粒
ジャンル 第二類医薬品
内容量  60包入(1日2回 1回1包食間または空腹時に服用)
商品単価  8000円(税抜)
ポイント  疲れやすく、下肢が冷えやすいものの次の諸症:腰痛、関節痛、下肢の痺れ・痛み
販売元 イスクラ産業株式会社
摂取方法など 本品1日量2包(6.0g)中、下記成分及び分量の生薬より製した独歩エキス3.9gを含有します:唐独活 1.55g、ジンギョウ 1.03g、防風 1.03g、細辛 1.03g、桂皮 1.03g、唐当帰 1.03g、芍薬 1.03g、地黄 1.03g、川弓 1.03g、党参 1.03g、茯苓 1.03g、 甘草 1.03g、生姜 1.03g、桑寄生 1.03g、杜仲 1.03g、牛膝 1.03g

この商品は店頭のみの販売商品です。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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