肝臓の機能を正常値に近づける、肝生

肝生は慢性肝炎、肝機能障害、肝臓肥大の処方

病院に行って血液検査を受けたとき。「GOT、GPT」は必ず計りますよね。GPTを肝(臓)機能の検査値と呼びます。肝臓がどれだけ弱っているか、がわかり、弱れば弱るほど高くなる数値です。西洋医学、肝臓は毒素を排出する臓器であり、エネルギーを貯蔵する臓器です。

GPT (ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ)  身体にある酵素の名前。組織が何らかの影響で壊れた場合に血液中に出てくる酵素で逸脱酵素と呼ばれている。逆に言えば、この酵素が高い場合は何らかの炎症などで組織が壊れていると言うことになる。(急性肝炎ではかなり高くなり、500を越えることも)

西洋と東洋のとらえ方は違って「肝臓=肝(東洋)」ではありません。「肝」という単語でもっと広い意味を指します 

例えば「情緒」イライラしやすい、怒りやすいといったことも「肝」機能の失調と呼びます。「血(蔵血)」。血を作ったり保持するのも「肝」の機能と考えています。「肝」は体や精神などにも関係する、とても重要な臓器です。検査数値が高値な場合はもちろんですが、それほど高くない、経過観察中、といった、ちょっと心配な方には漢方薬をお勧めしています。

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肝生を処方したときの体験談

肝生という処方があります。肝炎などの場合は、まずお勧めできる処方で、それを使って良かった症例です。軽い肝数値の悪化、例えば会社の健康診断で境界値かなぁ~と言われた程度なら「肝生」だけでもいいのですが。

実際に体がおもだるかったりしんどい、という症状が現れるようなら複数の処方を併用したり、定期的に病院に検査をお願いしたりしております。早期の場合は、特に、生活養生が重要です。

C型肝炎で症状は落ち着いている50代の女性。

この方の場合はC型肝炎でした。病院に数年前からかかるも、症状は落ち着いているため何も薬は処方されず、経過観察でした。最近になって家庭内の介護の問題でイライラすることが多く、ストレスも酷い。そうなると体調を崩してしまって、身体がおもだるく、尿が黄色く出にくいように感じる、とのことで相談に見えました。

背中のあたりに痛みが走ったり、朝に体がだるくなる、眠りが浅く寝付きにくい、そういった症状もあり漢方で、現在の体質として下記を考えました。

1)ストレスによる (肝気鬱血)

肝は「気」の流れを整える機能があります。それがストレスで乱れた状態を「気滞」と呼びます。喉のあたりに気の溜まりができたり、お腹が張る、脇が痛む、首が凝るなどの症状が起こります。川は「流れ」ているのが普通です。それを「せき止める」と「氾濫」を起こします。

2)熱や炎症による (肝胆湿熱)

体内に湿気、熱をため込むタイプ。熱の代謝がうまく行かない、ラジエーターが上手く働かないタイプでもあります。普通は外に出る熱感が、内側に籠もります。経験上、食事や睡眠などの生活習慣が悪い場合も多いです。

肝の気の流れを整える、柴胡疎肝散と黄連温胆湯をお勧めして、その後数回処方を変えつつ今は肝生+αを継続しています。1ヶ月過ぎたあたりで、眠りも楽になってきて、いまは肩こりまでとれた、、、とのことでした。

食事の改善と、自分一人ですべてを抱え込まない、そいういったメンタル的な改善も重要です。体調の改善と共に気持ちも前向きになっているようです。

※使う処方は色々とありますので、ご相談ください。また、黄疸の症状が出ている急性肝炎の場合、まずは受診するようにしてください。「急な」体のだるさ、動きにくさが出ている場合も検査を受けるようにしてください。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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